テラーノベル
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2 × 3
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土砂降りの夕方、駅前の小さな商店街。
傘を忘れた 稜雅は、軒先で立ち尽くしていた。
そこへ、同じゼミの海がやってきた。黒い折り畳み傘を笑みとともに差し出される。
「稜雅、お前また傘忘れただろ」
海は気さくに言いながら、「入れよ」と傘の下へぐいっと稜雅を引き込む。
狭い空間で、海の体温とシャンプーの香りがふと際立ち、稜雅の胸は高鳴る。
傘の影が雨音を遮る中、海が少しだけ声を震わせて言った。
「……こうやって近づくと、なんかドキドキするな」
耳元で囁かれ、思わず視線を上げると、カイの顔はすぐそばにあった。
雨のリズムに紛れて、唇が静かに重なる。
冷たく濡れそぼる世界とは対照的に、傘の内側だけがやけに熱かった。
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