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ライブのリハ後、急な夕立に襲われた。 二人で駆け込んだある店の屋根の中。濡れたシャツが肌に張りつき、リョウガは溜息をついた。
「最悪……傘忘れた」
「俺もです」アロハが笑って肩をすくめる。
いつもはお調子者で賑やかな彼が、濡れた髪をかきあげる仕草は妙に大人びて見えて、リョウガは視線を逸らした。
「……そんなに見るなよ」
「見てない!」
声が裏返る。アロハはにやりと笑った。
「リョウガくんって、わかりやすいですね。俺のこと好きでしょ?」
「はぁ!?」
返す言葉を探している間に、アロハは一歩近づき、濡れた指先で頬に触れる。
「俺も好きだよ。だから、こうして雨の中二人きりになれて……ちょっと嬉しい」
降りしきる雨音にかき消されながら、唇が重なった。