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午前中の授業が終わり、お昼ご飯の時間になり
いつも通り男子陣は男子陣で固まり、女子陣は女子陣で固まりお昼ご飯を食べることに。
「うぅ〜鏡ぃ〜?」
空楽王(ソラオ)が鏡に両手を向けて指を怪しげに動かす。
「うぅ〜優佳絵(ゆかえ)ぇ〜?」
子那恋(しなこ)が優佳絵に両手を向けて指を怪しげに動かす。まずは男子陣のほうから。
「なんだよ」
「今朝の出来事についてぇ〜吐いてもらおうじゃないのぉ〜」
とニマニマした企み顔で鏡に迫る空楽王。
「今朝のってなに?」
と礼王(れお)がパンを食べながら時守(ときもり)に聞く。
「あぁ。たぶんいつもは早く来る鏡がいなくて
かと思ったらほぼクラス全員が揃って、なんなら空楽王も来た後で
鏡が灰水部(ハスベ)さんと話しながら教室に来たことじゃない?」
と時守が答える。
「あぁ〜。なるほど。おもしろそうな匂いを嗅ぎつけて空楽王は詰めてるわけか」
と苦笑いする礼王。
「吐くってなにをだよ」
「とぼけちゃってぇ〜。わかるでしょーにぃ〜」
「わからん」
「そうかぁ〜。鏡くんはうちのクラスのマドンナ、灰水部(ハスベ)さんをロックオンしてると」
腕を組んでうんうんと頷く空楽王。
「は、はぁ!?」
思わず目を見開き、半分焦り、半分驚きの表情をする鏡。
「これは週刊コーミヤに載せなければ」
「まさかの週刊誌なんだ?普通は新聞とかじゃない?」
と笑いながら礼王が言う。空楽王が考える。
「…あぁ!そうか!」
「まあ、そんなリアクションすることでもない気がするけどね」
と礼王が言うと
「新聞より週刊誌より拡散力が大きいのはネット記事か!」
と礼王に「新聞」と指摘され、空楽王の頭の中では
あ、新聞ね。なるほど。週刊誌、新聞…記事…コタツ記事…ネット記事…ネット!
となっていた。
「「それは良くないんじゃないかな?」」
とハモる礼王と時守。
「おぉ〜。なに2人とも、息ピッタリでどうしたの」
驚きつつも笑う空楽王。
「いや、ネット記事はポンポン出せる分、責任感ってのが少ないから」
と礼王が言った後
「限られたスペースで、しかも紙に刷って販売するっていう責任者がある紙媒体のほうが
いろいろ考えて真偽を精査できるからいいんじゃないかなぁ〜って」
と続きを時也が言う。
「2人とも…」
鏡がいかにも「そんなオレのことを想ってくれてありがとう」と言いそうな眼差しを礼王と時守に向ける。
しかし
「そんな、実際発行するわけじゃないんだから、そこまで真剣に考えなくても」
と言い放った。礼王と時守は笑顔のままこめかみに怒りマークを出し
「よぉ〜し時守ぃ〜。ネット記事バンバン書くぞぉ〜」
「だなぁ〜。んでほぼコピペでコタツ記事載せまくることによって
あたかも注目されてるように見せかけるぞぉ〜」
とスマホをタプタプし始めた。
「なんか2人がいろいろ言ってたけどよくわかんね。
あとコタツ記事って炬燵で書く記事のことでしょ?今書けなくね?」
というアホすぎる発言に鏡も礼王も時守も表情が固まり、手も固まった。
一方女子チーム。子那恋(しなこ)が優佳絵に両手を向けて指を怪しげに動かしながら迫っていたものの
優佳絵は表情も変えず、微動だにしなかった。
「教えろぉ〜」
「…」
「え。なんか言って!?」
迫っていた子那恋が驚く展開になる。
「なんかって言われてもな」
と言ってからパンを食べる優佳絵。
「え。普通に聞きたいんだけどさ?須木弁(スギべ)くんと…朝練してたの?
…なんか自分で言ってて下ネタっぽいなって思ってしまった」
と「デヘヘ」と笑いながら照れる子那恋。
「いや、勝手に照れられても。ね?」
真風菜(まふな)が華音を見る。
「ねぇ」
同意する華音。
「で!?本題に戻るケドモ!」
身を乗り出し優佳絵に迫る子那恋。相変わらず無表情でパンを食べる優佳絵。
「須木弁くんとバスケしてたん?」
「ん?んん〜…まあぁ〜…」
歯切れの悪い優佳絵にニマニマする子那恋。
「なんだぁ〜?なんだぁ〜?バスケ以外のことをしておったのか!このこのぉ〜」
「いや。…あれはバスケではない」
と言う優佳絵にすでにニマニマ顔の子那恋の顔がニマァ〜っとなる。
「…いや、バスケか。ま、基本とか始めるキッカケも蔑ろにしたらダメだし
一応バスケにカウントされるのか」
とブツブツと言う優佳絵。
「どーゆーこと?」
と真風菜が聞く。至って普通の顔で。
「いやそもそも私1人でシュート練、ドリブルとかやってたんだけど
途中で須木弁が来て、須木弁と話しながらシュートしたり、シュートさせたりしてた」
「あぁ〜。だからバスケかバスケじゃないかって言ってたのね」
「そーゆーこと」
と優佳絵と真風菜が話す中
「バスケ部のエースと秀才くんかぁ〜。
ま、先輩後輩じゃなくて同級生だし、須木弁くんは秀才って点が違うけど
ほとんどアオの…じゃんねぇ?親の都合で須木弁くんの家に居候させてもらったり?
須木弁くん女子の幼馴染とかいるかなぁ〜…。あぁ胸が苦しい」
とニヤニヤしたと思ったら苦しそうな顔をして胸を押さえたりする華音。
「えぇ〜?シュートしたりシュートさせたりっていやらしいんだからもぉ〜」
と相変わらず下ネタ脳でニマニマする子那恋でお昼ご飯を食べた。
お昼ご飯を食べ終え、しばらくお昼休憩の時間。男子陣はバスケをしに体育館履きを履いて
空楽王は鏡に無理矢理体育館履きを履かせて体育館へ連れて行った。
しかし体育館は同じ考えを持った男子や女子、1年から3年が入り乱れていて
リングはすべて使われているし、リング周辺じゃなくとも
バドミントンのネットが立てられており、女子がバトミントンをしていたり
ネットを隔てず、ただ単純にボールを落とさないというバレーボールをしていたりした。
「おいおいおいおい。遊んでないで勉強しろよなぁ〜。なぁ?」
と言う空楽王に
「じゃ、教室で鏡に勉強教えてもらおうか」
と礼王が空楽王の腕を掴んで体育館を出て行こうとする。
「いやぁ〜…ね?」
と言っていると
「兄ちゃん」
と声がする。空楽王も礼王も時守もその声のほうを向く。鏡だけ目を逸らしていた。
茶髪のピアスをしたチャラい子と
派手すぎるピンク髪をした子と他にも男子数人でバスケをしていた。
「兄ちゃん?」
空楽王が呟き、空楽王、礼王、時守、3人はそれぞれ顔を見合わせるが
それぞれが首を横に振る。3人は「ということは?」と視線を鏡に向けた。
鏡は後頭部を掻きながらバツが悪そうな顔をしていた。
「え。兄ちゃん?」
「…。弟」
と呟く鏡に、空楽王と礼王、時守は弟という「兄ちゃん」と言った人物を見る。
「え?」
「鏡の」
「弟?」
と3人が静かに驚いていると
「あ、自分、須木弁鏡の弟で天(あまね)って言います。兄がお世話になってます」
と天が丁寧に頭を下げた。
「あ、ご丁寧に。こちらこそお世話になってます」
と礼王も頭を下げ、時守も頭を下げる。
「え。マジで?」
空楽王は鏡と天を交互に見る。
「鏡と全然違うね」
「あ、はい。なんか兄ちゃん見てたら人生楽しくなさそうだし」
グサッっと何かが刺さる鏡。
「モテなそうだし」
またグサッっと何かが刺さる。
「あとオレ単純に勉強嫌いなんで」
「それはオレもぉ〜」
「あ、先輩たちゴール使います?使うんなら」
と後輩が譲ろうとしたので
「いやいやいや!オレらは舞台でのんびりしようと思ってただけだから」
と空楽王は鏡の腕を掴み
「じゃ!またねぇ〜天くん」
と手を振り舞台のほうへ歩き出す。
「髪、綺麗だね」
とピンク髪の子に言う時守。
「あざっす。先輩もめっちゃ綺麗っす」
「ありがとう」
と言って4人は舞台の上へと移動した。
「いやぁ〜鏡の弟くんがあんなにやんちゃな感じだったとは」
と空楽王が言う。鏡は体に刺さったなにかのせいでダメージを受けていた。
「てか同じ高校だったんだね」
と時守が言う。
「あぁ…。うん。そう。オレと正反対だから、なんか嫌なんだよね」
「ま、たしかの鏡よりは天くんのほうがモテるだろうな」
と空楽王が腕を組みながら頷く。鏡は静かにないかが刺さった。
「ま…オレはそこに重きを置いてないから…」
と言いつつもダメージは負っている鏡。
「ま、鏡は灰水部さん狙いだから、モテても困るか」
と言う空楽王に
「は!?」
っと大きな声が出る鏡。体育館に「は!?」が響き、こだまし
体育館のほとんどの視線が舞台上の4人に集まり、ボールの音、シャトルとラケットが空を切る音
体育館の床と靴の擦れる音が消え、静寂が訪れた。しかしすぐに視線は散り、喧騒も戻った。
「一瞬演劇部の気持ちになったわ」
という礼王に
「わかる」
と同意する時守。
「あと校長先生」
という鏡。
「したら先生全員もそうじゃね?」
という空楽王。
「てか、マジでたまにある朝礼、意味わかんないほどダルくね?マジで眠いし、立たされてダルいし
先生たちの話でさらに眠くなるし、ふらふらしてたら怒られるし。あのイベントエグいよな」
「イベント…。まあ…たしかに」
「うん。まあね」
「…」
鏡は声に出して同意はしなかったものの、頭の中で考え
たしかに
と頭の中で同意した。
「話戻るけどさ。なんで鏡は灰水部さんなん?」
言葉を端折りすぎているものの3人には伝わる。
「はっ」
またデカい声を出しそうになったので礼王が鏡の口を抑える。
「ナイス礼王ちん」
礼王は無言で親指を立てる。
「なに言ってんのさっきから」
と空楽王に言う鏡。
「いや、え。そうでしょ?ね?」
と礼王と時守に同意を求める空楽王。
「うぅ〜ん。どうなんだろ〜ね。この中で恋愛の匂いがするのはぁ〜…」
と礼王が他3人を見て
「…いなくね?」
と言った。
「いないんだ!?」
と驚く空楽王。
「いなくね?大鍵芸常(タケゲツ)さん、音多木野(オトキノ)さん
ニ宅寺(にたくじ)さん、灰水部さんとオレら8人で遊んだけど
空楽王も…別にでしょ?時守も…んん〜…。鏡はこの中では一番行動してるみたいだけど、進展はなし。
うん。やっぱり、しっかり考えてもこの中に恋愛の匂いするのはいないわ」
と冷静に整理しながら言う礼王に対して
いや、礼王は?
と思う空楽王、鏡、時守だった。
一方女子陣はというと教室ではなく多目的ホールに移動して、卓球台を広げて卓球をしながら話していた。
「ま、優佳絵は一旦置いておこう」
と子那恋がエアーでなにかを持ち上げて右にスライドさせ、置いておくジェスチャーをする。
「華音!」
「ひゃい!」
急に大きな声で名前を呼ばれて変な声が出る華音。
「華音は六蓋守(ムコウモリ)きゅんとはどうなのさ」
「どっ」
というところで止まり、優佳絵の、スマッシュでもない、なんてことないラリーのボールで得点が入った。
無表情で拳を握る優佳絵。ボールを拾いながら
「ど、どうってなに?」
と子那恋に言う華音。
「いやぁ〜、前に「一緒にゲーセン行こうぜ…。2人きりで…(イケボ)」って言われてから行ったの?」
「いや、まだ」
「まだかぁ〜。行ってら教えて?隅から隅まで聞くから」
と鬼気迫る顔で言う子那恋。
「怖い…。というかそーゆー子那恋はどうなの?」
と本当に何気なく聞く華音。
「へ?」
華音の何気ない発言に優佳絵も真風菜も子那恋を見る。
「ほら、私がその話したときそのブレスレット貰ってウキウキだったじゃん」
華音は本当に何の気なしに、仕返しとかではなく、単純に思い出したから言っただけだが
散々言われた優佳絵はラケットを卓球台に置いて、華音に近づき
華音の手からラケットを取って卓球台に置いて、華音の腕を掴んで一緒に子那恋に近づく。
座っているも子那恋と真風菜の横に座る。
「ん?どーゆーことか詳しく」
と特に怒っているわけでも、興味津々というわけでもない表情で聞くも優佳絵。
「へ?え?そっ、そんなこと言ったかなぁ〜」
と言った後に鳴らない口笛を吹くというへたくそな誤魔化し方をする子那恋。
「華音、詳しく教えて」
と優佳絵が言う。
「うん。まあ詳しくってほどのことではないんだけど…。そのブレスレットどうしたの?って聞いたら」
と言う華音の言葉に子那恋の手元を見る優佳絵と真風菜。
「一州茗楽(イスミラ)くんに貰ったぁ〜ってウキウキだったっていう話だけど…」
というと優佳絵が子那恋に寄る。
「ん?どーゆーこと?私にどうのこうの言ってて、自分が一番なんか浮かれてんじゃないの?ん?」
と特に怒っているわけでも、興味津々というわけでもない表情で言う優佳絵。
「いやぁ〜…そのぉ〜…なんと言いますかぁ〜…」
と歯切れが悪くなる子那恋。
「一州茗楽(イスミラ)くんのこと好きなの?」
と何気なく聞く真風菜。
「は!はあ!?いや、いやいやいやいや!」
ととてつもなく否定するものの、顔はほんのりピンクになっている子那恋。
「いやいや!私が浮かれてたのは、このブレスレットがJEWELRY BOYSのやつだったから!
それをもらったから嬉しかっただけで一州茗楽がどうのこうのとか全然全然」
と真っ当な言い訳はあったものの、華音、優佳絵、真風菜の3人は
あ、脈アリだな
と思った。