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3段目にたどり着いたところで、キャベンディッシュの白馬、ファルルが足を止めてしまう。
それからガシャガシャという足音、ブリキの軋む音と共に、大きなブリキの人形が数体現れた。
「子供のおもちゃにしては少々大きすぎるが……それ以上に…趣味が悪い」
「斬り伏せるか?」
「…一気に突っ切る。行くぞ、ファルル!」
ファルルが思い切り嘶き、走り出す。
巨大なブリキの人形が這いつくばって俺たちに突っ込み、齧ろうとしてくる。
「気味が悪いな…」
「このまま突っ切るぞ! 自分の身は自分で守れ!」
「おう!」
俺たちは攻撃を避けつつ、ブリキを倒しながら先に進む。というかこのブリキ増えてね? そんな異変を感じていると、気づけば俺たちは囲まれていた。
「全部ぶっ倒しゃいいんだな」
「ああ!」
「そういうことだ」
「……こいつらだけでいいんじゃねえの?」
ひとまず俺はファルルに乗っておくか。なんかキャベンディッシュも降りちまったし。
ファルルの手綱を握り、ブリキにぶつからないよう駆け抜ける。ルフィたちを置いて行かないようにその場をぐるぐる回ってる感じだけど。
「悪いな、ファルル。ご主人様じゃなくて」
「ヒヒ~ン!」
ファルルは尻尾を高く振り、俺の言葉に応えてくれた。
ルフィたちがブリキたちを片付け、再びファルルに乗る。
「キャベンディッシュ、お前も早く乗れ」
「何で僕より早く乗ってんだ!」
「ッ、ファルル!」
俺が手綱を引くよりも早く、さっきのブリキ人形がファルルの首に噛みつく。
「ファルル! ……何て顎だ。頭を砕かれた。ファルル、死ぬな!」
「応急手当、人間用だがなんとかする」
「…頼む」
俺はファルルに処置を施していく。
そして己の愛馬を攻撃さえたキャベンディッシュは怒り、ブリキの頭を落とす。ブリキは落とされた頭をはめ直し、再び向かって来ようとする。他のブリキたちもそうだ。怪我など厭わず向かってくる様はまさに不死身の兵。
倒しても倒しても立ち上がってくる。これではキリがない……
――うわあああああ……
「上からなんか降ってくる」
「なんかってなんだよ?」
俺が上を見上げると、確かに何かが降ってきていて、それはひとつのブリキにぶつかってから地面に着地した。
「ああっ…ああ……油断したべ…」
「トサカ!」
「……はあ!? ロメオ!?」
「知ってんのか?」
「知ってるも何も…友達だよ、俺の」
「そうなのか!?」
そういやこいつドレスローザ編にでてくるんだったわ。す~っかり忘れてた! 会ったの2年前だし、それ以来会ってなかったもんな。すっかりすっかり…。ニワトリ大人間はロメオのことだったんだな。
「…ん? もうひとつ落ちてくる影があるな…………あ、あれは…ロビンさん!?」
ロビンの影を見て、俺は思わず受け止める形を取る。ロビンは俺の腕の中にスポッと収まった。すぐに彼女を地面に降ろす。
「ありがとう、ジェイデン。あなたたち、ここにいたのね」
「ロビン!」
「ニコ屋! おれの鍵はどこだ? すぐよこせ!」
「鍵はレベッカが…」
「何!?」
「4段目のひまわり畑に向かっているわ」
「チッ、逃がしたか…まっ、あんな小娘ひとり、王宮へ辿り着こうが何もできやしねえがな。後で追って消してやる」
「貴様!」
「俺の名はグラディウス。まずお前らを片付ける」
グラディウスと名乗った男が俺たちに敵意、否、殺意を向ける。
「ここは任せて」
「んだ!」
ロビンとロメオが俺たちの前に立ち、そう言った。
「ルフィ、トラ男くん、ジェイデンに兵隊さんも、早く行って! 4段目の、ひまわり畑へ」
「だべ!」
「ロビン」
「ロメオ…」
「レベッカが待ってる。早く!」
ブリキ人形たちがまた動き始める。ゆらりゆらりと体を揺らしてくるのを見て、ルフィは短く返事をする。
「ああ! わかった」
するとグラディウスがこちらに無数の弾丸を撃ち込んでくる。
「ゴムゴムの…」
「ルフィ先輩! ここはおらが! ――バーリア!」
ロメオが作り出したバリアに弾丸、破裂玉がぶつかり、そして爆発する。
「うわ! すげえ!」
「いや、もうそんなお言葉もったいねえだ~!」
感動するロメオを他所に、ルフィがブリキたちをJETウィップで弾き飛ばした。
「すげー! こんな間近でギア2だべ! JETウィップだべ! 感動だべ…」
涙を流して喜ぶロメオ。
「おい! 麦わら屋! さっさと片付けて上に行くぞ! グズグズやってんじゃねえ!」
「おめえ! ルフィ先輩になんて言い草だべ!」
「ロメオ、ローは俺の友達だ」
「だども! ルフィ先輩へのその口の利き方は許せねえべ!!」
「こんの限界オタクが……」
「っ! 閃いたべ! バリアビリティ、ステアーズ!」
ロメオのバリアが階段になって4段目へと伸びていた。あ、案外何でもありだな、こいつの能力……。
ルフィが無邪気に喜び、ロメオに礼を言った。
「あいつだいぶ喜んでんな……ルフィ、もう一回ありがとうって言ってやれ。そしたらあいつさらに喜んで張り切るから」
「そうなのか? ありがとー! トサカー!」
「~~~!!! こつらこそ、生まれてきてくれてありがとうだべ…」
「ローは俺が運ぶ。ルフィは先頭を行ってくれ」
「ちゃんとついて来いよ!」
「わかってるさ」
俺はローをすくい上げるように抱えて走りだす。