第12話
夏休みの昼下がり。蝉がジリジリ鳴いてる。 机の上には、プリントと課題ノートの山。
私のやる気は……ゼロ。
いや、マイナス。
「終わらない! 全然終わらない!!」
国語の読書感想文、数学の課題プリント、英語のワーク。
どいつもこいつも敵だ。
特に数学、お前はいつも裏切る。
「なんで“x”は毎回逃げるの!?もう知らないからね!?」
プリントをにらみながら、私は机に突っ伏した。
ペンが転がっていく音が、やけに虚しい。
「黒瀬がいたら、“ここはこうだろ”とか言って終わるんだろうなぁ……」
思わずつぶやいて、ハッとする。
「な、なんで今、あいつのこと思い出してんの私!?ばか!」
顔が熱くなって、クッションに顔を埋める。
「もーっ!課題も恋も、どっちも難しすぎ!!!」
そのあと、30分昼寝して、課題1ページも進まなかった。
……でもまぁ、いいか。
どうせ明日、黒瀬が見かねて助けに来るだろうし。
――なんだかんだ、そういうの、嫌いじゃないんだよね。
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