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「中島ァ。
今日、地球終わるってよ」
「は?」
その一言から一日が始まった。
中島 春菜。16歳
高校2年生の7月前半。
もうとっくに朝礼時間は過ぎているというのに、誰も教室に来ないのを疑問に思っていた9時半頃。ようやく教室に来たクラスメイト…兼幼馴染の、佐藤 健吾に伝えられたのだ。
「は……?いや、何言ってんの」
と笑い、夏のじりじりとした暑さが照らしている校庭を眺める。
たしかにコイツはホラ吹きだし冗談が好きなやつだが、この状況でのその言葉は洒落にならない
「そんな訳ないじゃん…、」
「いやマジだって。ほら…見てみ?ネットニュース」
と私は彼が見せたネットニュースに釘付けになる。
7月8日。午後23時頃地球、滅亡か。
原因は隕石……?
このニュースが発表されたのは7時
昨日用事があり出来なかった美化委員の仕事を終わらせるべく家を出たのは7時。
「…だから、気が付かなかったんだ…。」
この学校は地元の人ばかりが通う高校。その為、だいたいの人が近所に住んでいて、ギリギリに家を出る。
みんな、学校に来なかったのは…家を出る前に地球滅亡のニュースを確認したからなのだろう。
「…っ、でもさ…まだ確定したわけじゃ、」
「…それらしき流れ星がさ、こんな朝っぱらから確認できんだよ。外見てみ?」
いやいや、まさか……
「うーわ…」
ある。たしかにそこに。
彗星のような感覚で空一面に広がるそれは…
「…なんで…。昨日まで…ってか、今日の朝まで無かったじゃん…」
「それもさ、今日1日で視認できる範囲に超速攻で流れ込んで来たんだと」
「もう何でもありだね」
「それより。中島は……今日1日…どうすんの?」
「どうするって?」
「こんな冷房も効いてない…暑苦しい教室で、最期の日を過ごすわけ?」
「あー…それはやだな。
ま、行く場所も無いけどさー…」
「ならちょっと付き合って欲しい場所あんだけど」
地球最後の日だって言うのに変わらず騒いでいる蝉の声と気持ちのいい風が通り過ぎる。
自転車を漕いでいる彼の背中は案外大きくて、なんというか…
「寝心地がいい…」
「寝るなや」
「いや…私は漕がなくていいからさ、極楽だわ〜」
「交換するかコラ」
「交換したら私はどこ行くか分かんないよ。迷って山奥行くかも」
ペダルを漕いでいる彼の後ろに座り、流れゆく景色を眺める。
普段なら怒られないかちょっと怖い二人乗りだって、こんな状況ならへっちゃら。
どーせみんな自分のことばっかで、私たちのことなんて見ちゃいないんだから
「ねー、どこ向かってんの?」
「海」
「海!?
…随分と遠いとこ行く予定だ。
自転車で行くつもり?」
「ん。どーせ電車なんて通ってないだろ、こんな時に」
「言えてる〜…。
海かぁ。一体何時間かかるのやら」
「さぁ…」
「…ん…?
ね!!佐藤、あれ!」
「あ?」
指を指した先に映るのは停まっている電車
「人いる!車掌さん!」
「まじか!?」
「えねぇSuica持ってる?」
「こんな終末世界に要らなくね」
「いや万が一地球が終わらなかった時ヤバいじゃん」
なんてワタワタしながら改札を通り、車掌さんの元へ駆ける
「あの…電車、動くんですか?」
電車が動くなら、海にだって行けるかもしれない。そんな淡い期待を胸に私は問いかけた
「……運行予定の電車はないですよ」
…まぁ。それもそうか…
こんな世界の終わりに電車が動くことはないだろうし
「ま、僕が運転しますよ。てかする予定だったので」
と車掌さんは続ける
「…え?」
「僕は小さい頃から電車が好きで好きでね。地球の終わりだって…」
好きなもので終わらせたい。
恋人も友人も居ない僕は。電車が唯一だったから。
「…どこまで行きたいですか?」
「…じゃあ…その、海まで。」
____こうして。片道列車の旅が出発した。