テラーノベル
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九月。
夏の暑さが少しずつ和らぎ始めた頃。
校内は文化祭の準備で慌ただしくなっていた。
蘭「ということで!」
放課後の天文部。
蘭が黒板の前に立ち、声高らかに宣言した。
蘭「今年の天文部はプラネタリウムをやります!」
こさめ/捺『おぉー!』
こさめとなつが拍手する。
いるま「まあ定番だな」
いるまが頷く。
尊琴「でも普通のプラネタリウムじゃつまらないよな~」
尊琴が首を傾げた。
須千「確かに」
こさめ「なんか面白いことしたい!」
こさめが身を乗り出す。
蘭「例えば?」
こさめ「えっ」
聞かれて固まった。
こさめ「……今から考える!」
捺「勢いだけやん」
なつが笑う。
こさめ「えっとえっと~じゃあ全部スルメイカ座のプラネタリウム!!!!」
捺/いるま『却下』
須千「でもこさめちゃんらしいね」
須千も少しだけ微笑んだ。
最近、須千はよく笑うようになった気がする。
転校してきたばかりの頃はどこか遠くを見ているようだったのに。
今はみんなと一緒に笑っている。
それがなんだか嬉しかった。
◇◇◇
文化祭当日。
教室いっぱいに貼られた黒い布。
天井には星型の飾り。
プロジェクターで映し出された夜空。
こさめ「完成だー!」
こさめが歓声を上げる。
いるま「思ったよりいい感じじゃん」
いるまも感心したように言う。
蘭「でしょ?」
蘭が得意げに胸を張る。
こさめ「まあほとんどみこちゃんがやったけど」
蘭「言うな!」
尊琴「事実やで」
尊琴の一言に全員が笑った。
文化祭は大盛況だった。
次々とお客さんがやってくる。
「すごーい!」
「綺麗!」
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「本物みたい!」
そんな声を聞くたびに、こさめは嬉しくなった。
自分たちが準備したものを誰かが楽しんでくれる。
それは思っていた以上に気持ちのいいことだった。
◇◇◇
文化祭終了後。
校内はすっかり静かになっていた。
後夜祭の音楽が遠くから聞こえてくる。
天文部の六人はいつものように屋上へ集まっていた。
こさめ「終わっちゃったね」
こさめがフェンスにもたれながら言う。
いるま「早かったなぁ」
いるまが頷く。
捺「なんか寂しい」
その言葉に蘭が少しだけ笑った。
蘭「文化祭ってそういうもんだよ」
卒業を控えた三年生らしい言葉だった。
こさめは少しだけ胸がざわつく。
『卒業』
その言葉を聞くたびに、どこか遠い未来だと思っていた。
でも蘭にとってはもうすぐそこにある。
こさめ「らんくん。」
蘭「ん?」
こさめ「卒業したら寂しくなるね…」
思わず口に出していた。
一瞬だけ静かになる。
しかし蘭は笑った。
蘭「まだ半年あるじゃん。」
こさめ「そうだけど。」
蘭「それに。」
蘭は夜空を見上げる。
蘭「別れたら終わりってわけでもないし。」
その言葉は不思議と優しかった。
須千も静かに空を見上げている。
何かを考えているようだった。
◇◇◇
その時だった。
夜風が吹く。
須千がふと空を見上げた。
須千「……綺麗。」
小さな声。
こさめ「何が?」
こさめもつられて空を見る。
そこには天の川が流れていた。
秋の夜空を横切る、淡い光の帯。
まるでどこまでも続く道のようだった。
須千はその光をじっと見つめる。
懐かしむように。
恋しがるように。
そして――
須千「もうすぐだ。」
誰にも聞こえないほど小さく呟いた。
こさめ「え?」
こさめが振り返る。
こさめ「何か言った?」
須千は首を振った。
須千「ううん。」
いつもの笑顔。
だけどその瞳の奥には、ほんの少しだけ寂しさが揺れていた。
秋の夜空には無数の星が輝いていた。
まるで六人を導くように。
コメント
12件
すごい神作に出会った…! 受験生なんですね! れうは今年受験終わって今中1です! 大変ですよね〜! ♡は勝手にいっぱい押すので、無理せず頑張ってください! 受験はある意味人生の分岐点でもあると思うので、後悔のないように頑張ってください! 正直テラーノベルは息抜き程度で気が向いたり、時間が余ったときとか、ゆっくり更新してくれたらいいと思います。 これからも読み続けますね! 応援してます!
いやもう…最後の須千の「もうすぐだ」ってセリフ、一瞬だったのにめっちゃ心臓掴まれたんですけど😭💔天の川と銀河鉄道の比喩がエモすぎて読み終わったあとしばらく呆然としちゃいました…。文化祭の賑やかさと、屋上の静けさのギャップがまた良いです。須千の笑顔の奥に寂しさが揺れてる描写、すごく好きです。🌟 (追伸) 3e1さん受験生なんですね…無理せず自分のペースで続けてください!でも次もめっちゃ楽しみにしてます📖✨