テラーノベル
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文化祭が終わってから数日後。
季節は十月へと移り変わっていた。
夜風は少し冷たくなり、空気も澄んできている。
この日も天文部の六人は屋上に集まっていた。
こさめ「今日は星よく見えるね」
こさめが望遠鏡から顔を上げる。
夜空には無数の星が輝いていた。
天の川も薄く見えている。
いるま「観測日和だな」
いるまがフェンスにもたれながら言った。
蘭「秋の星座も見えてきたね」
蘭が星図を開く。
尊琴「らんらん、また方向間違えてる」
蘭「えっ」
尊琴「それ南じゃなくて北」
蘭「うそ!?」
尊琴「本当」
蘭「みっちゃん冷たい!」
いつものやり取り。
いつもの笑い声。
こさめは思わず笑った。
すると。
ふと気づく。
須千だけが空を見上げていた。
じっと。
何かを待つように。
こさめ「すっちー?」
呼びかけても返事がない。
こさめ「すっちー?」
もう一度呼ぶ。
その時だった。
須千「……来た。」
須千が呟いた。
「え?」
全員が空を見上げる。
次の瞬間。
夜空を横切る一筋の光が現れた。
流れ星ではない。
もっと大きい。
もっと長い。
銀色の光が天の川をなぞるように伸びていく。
こさめ「なに……あれ……」
こさめは息を呑んだ。
光はどんどん形を変えていく。
まるで線路のように。
夜空の向こうへ続く一本の道。
そして――
汽笛が聞こえた。
ボォォォ――――ッ。
夜空から。
星々の間から。
黒い機関車が姿を現した。
捺「は……?」
捺が固まる。
捺「夢?」
いるま「いや俺も見えてる」
いるまの声も震えていた。
誰も理解できない。
ただ一人を除いて。
須千だけが静かだった。
こさめ「すっちー……」
こさめが振り返る。
須千は列車を見つめながら微笑んだ。
どこか懐かしそうに。
須千「迎えに来たんだ。」
こさめ「迎え?」
須千「銀河鉄道。」
風が吹く。
誰も言葉を失っていた。
やがて銀河鉄道は屋上のすぐそばで止まる。
まるで最初からそこに駅があったかのように。
ドアが開いた。
誰も乗っていない車内。
暖かな明かり。
木製の座席。
そして窓の向こうには宇宙が広がっていた。
こさめ「……すごい。」
こさめは思わず呟く。
怖いはずなのに。
不思議と目を離せなかった。
須千「みんな。」
須千が振り返る。
その瞳は真っ直ぐだった。
須千「一緒に来てくれる?」
一瞬の沈黙。
しかし。
こさめ「行く!」
真っ先に答えたのはこさめだった。
捺「こさめ!?」
こさめ「だって気になるじゃん!」
捺「それはそう」
捺が頷く。
捺「俺も行く!」
いるま「お前絶対そう言うと思った」
いるまが苦笑する。
いるま「でも置いていくのも心配だしな。」
蘭「いるませんせー優しい!!」
いるま「うるさい。」
尊琴「俺も行くよ」
尊琴も笑う。
蘭「部長が行かないわけないでしょ!」
蘭が胸を張る。
蘭「面白そうだし!」
いるま「理由が軽い」
全員が笑った。
不安もある。
怖さもある。
でも。
六人なら大丈夫な気がした。
須千はそんな仲間たちを見て、少しだけ目を細めた。
須千「ありがとう。」
その声は夜風に溶けていく。
六人は列車へ乗り込んだ。
扉が閉まる。
ボォォォ――――ッ。
汽笛が鳴る。
車輪が動き出す。
そして銀河鉄道は夜空へ走り出した。
窓の外には星の海。
流れる星雲。
輝く惑星。
見たことのない銀河。
こさめ「すご……」
こさめは窓に張り付いた。
その時だった。
車内アナウンスが流れる。
――まもなく、流星駅。
――まもなく、流星駅。
捺が顔を上げる。
須千は静かに呟いた。
須千「始まるんだ。」
こさめ「何が?」
こさめが尋ねる。
須千は窓の外を見つめたまま答えた。
須千「ほんとうの幸いを探す旅が。」
銀河鉄道は星々の間を走っていく。
その先に待つものをまだ誰も知らない。
夜空の果てで、最初の駅の灯りが見え始めていた。
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コメント
4件
今回は初めから♡2000にしといたよー! みんなの反応好き! 書くの上手いねぇ,,,。 うん。上手い。 な・に・た・べ・た・?☆ まじで気になる…! 何を食べればこんなに上手く書けるんですか!(泣) 続き楽しみです! 何年でも待てる( ᐕ)
うわあああ銀河鉄道来たー!!😭💕 すっちーの「迎えに来たんだ」が静かすぎて鳥肌立ったよ…! しかもみんな迷わず乗るの尊すぎるでしょ。こさめの「気になるじゃん!」に捺もいるまも続く流れ、この6人の絆感じてエモすぎた。星の海とか汽笛の描写が綺麗で、ワクワクとちょっと切なさが混ざる感じがたまらないです✨ 次話「ほんとうの幸い」が気になりすぎる…!