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親との再会と体調の悪化病院のベッドで眠っていたはるは、微かな物音で目を覚ました。意識が朦朧とする中、目を開けると、そこに立っていたのは親だった。逮捕されたはずの親がなぜここにいるのか、はるには理解できなかった。しかし、その姿を見た瞬間、はるの心臓は激しく打ち鳴らされ、胃の奥からこみ上げるような吐き気に襲われた。
はるはとっさに口元を押さえたが、間に合わなかった。昨日よりも激しい嘔吐が始まった。胃液すら出てこなくなり、喉が焼けるように痛む。親は、はるの様子を見て眉をひそめた。その表情は、はるを責めているように感じられた。
影山先生はすぐに駆け寄ってきて、はるの背中をさすってくれた。
「大丈夫、はる。先生がいるからな。」
先生の声に少しだけ安心したものの、吐き気は止まらない。あまりの苦しさに、はるは息がうまくできなくなり、過呼吸になった。ヒューヒューと喉が鳴り、全身が震える。
救急搬送と続く苦しみ
影山先生はすぐに看護師を呼び、はるの様子を伝えた。看護師ははるの呼吸の乱れと激しい嘔吐を見て、すぐに医師に報告した。医師ははるの状態を診て、迷わず救急車を呼ぶよう指示した。
救急隊員が到着し、はるはストレッチャーに乗せられた。影山先生も付き添ってくれた。救急車の中でも、はるの嘔吐は止まらなかった。わずかな揺れも、はるの体に大きな負担をかけた。救急隊員ははるの呼吸を落ち着かせようと努めてくれたが、はるの意識は朦朧としていた。
新たな場所へ
救急車はサイレンを鳴らしながら、新たな病院へと向かった。はるは意識が途切れ途切れになる中で、先生がずっと手を握ってくれているのを感じた。その温かさが、はるにとって唯一の支えだった。
病院に到着すると、はるはすぐに緊急治療室へ運ばれた。医師や看護師が慌ただしく動き回り、様々な検査が行われた。影山先生は、治療室の外で不安そうにはるの様子を見守っていた。
はるの体は限界に達していた。精神的なストレスと体の苦しみが重なり、はるは深い眠りについた。目覚め、そして繰り返される苦しみ
はるが次に目を覚ました時、口から勢いよく「おえぇぇぇぇぇうぇぇぇぇぇ」という音が漏れた。まだ気持ち悪い。吐き気は消えていなかった。朦朧とする意識の中で、はるは傍にいる影山先生の姿を捉えた。先生ははるの手を強く握り、涙を流しながら言った。
「はる、これから一緒に、この気持ち悪さと戦っていかないといけないんだ…」
先生の言葉の意味が、はるの頭では理解できなかった。なぜ、これからずっと気持ち悪さと戦わなければいけないのか。その疑問がはるの思考を巡るが、答えは出ない。再び胃の奥からこみ上げる強烈な吐き気に襲われ、「おえぇぇぇぇぇぇぇうぇぇぇぇぇぇぇげぇぇぇぇぇぇぇ」と、表現しきれないほどの嘔吐が何度も何度も続いた。
診断と影山先生の決意
担当の医師が慌てて駆けつけ、はるの容態を確認した。そして、影山先生にはるの診断結果を伝えた。長期間にわたる精神的ストレスと極度の栄養失調が原因で、はるの消化器系は深刻なダメージを受けていた。特に機能性ディスペプシアと呼ばれる症状が強く出ており、ストレスを感じるたびに吐き気や腹痛が誘発される状態になっていた。医師は、はるの回復には長期的な治療と精神的なケアが不可欠であり、専門の病院への転院を勧めた。
影山先生は、はるの現状を知り、胸が締め付けられる思いだった。しかし、先生は決して諦めなかった。はるの親が逮捕された今、はるを守れるのは自分しかいない。先生は、はるを専門病院へ転院させる手続きを進めるとともに、はるの保護者となることを決意した。
新たな生活への一歩
数日後、はるは専門病院へと転院した。そこでは、消化器内科と精神科が連携して治療にあたってくれた。最初は食事もままならず、吐き気と腹痛に苦しむ日々が続いた。しかし、影山先生は毎日面会に来てくれた。
「はる、今日は少しでも食べられたか?」「しんどい時は、いつでも先生を頼っていいんだぞ。」
先生の優しい言葉と、常に寄り添ってくれる存在が、はるにとって何よりも心の支えだった。少しずつではあるが、はるの体調は安定し始めた。吐き気の頻度も減り、ゆっくりと食事ができるようになっていった。
はるは、この病気と向き合っていくことの辛さを感じていたが、影山先生が隣にいてくれる限り、乗り越えられると信じていた。先生もまた、はるが少しでも笑顔を見せるたびに、深い愛情と希望を感じていた。二人の間には、血の繋がりを超えた、強い絆が生まれていた。