【うさぎの魅了】
 
 
 
 
 カランカラン…
 tt『ありがとうございました〜…』
 ここは夜の地下街。階段横の細い道にある
バーだ。否、この店を知っている人も少ない。
 「よし、片付けして閉めるよ〜」
 「楽器の人もありがと、今日はもう良いよ」
 「は~い、ありがとうございました〜…」
 jp『……』
 彼はjp。ここのバーのジャズ、音楽を担当していくれている人だ。あまり喋ったことはないが容姿端麗でつい目を引いてしまう。
 「ttもお疲れ様〜、今日は一段と酔ってたね」
 tt『ホンマに…酔っ払い相手すんの苦手やねんな…』
 「まぁ、誰だっておっさん相手は嫌だよ」
 俺はここのバーテンダー。この店はバーテンダーはバニーボーイとして客の接客をする。
俺もその一人としてここのバーで経験を積んできた。…酔っ払いは慣れへんけどな。
 「俺テーブル拭くからtt床拭いて」
 tt『は~い』
 いつも思うけど、そんな客来ないのに汚れは溜まるんだよな…。…誰やキャバクラの名刺落としたやつ…。
 tt『…ふぅ………ん?』
 tt『…なにこれ?…留め具?』
 テーブルの下から何やら金属製の留め具が出てきた。見たことないものだけど、なんだか指輪みたいではめてみたくなる…。
 「tt〜?そっち終わった?…って… 」
「何しての?…なにそれ?」
tt『いや…なんかここ落ちてた…』
 こっちの床はジャズの人達が演奏していた場所だし…何かの楽器の付属品か…?だとしたらめちゃくちゃ大事なもんかも…。
 「楽器の人達のじゃない?今ならまだ間に合うかもだけど…」
 tt『ん〜…大事なもんかも知れんしな…』
 tt『急いで届けてくる!』
 そう言って俺は店の扉を開け、細い道を足早に駆けた。外の街の音はまだ騒がしい。
 
 
 
 
 タッタッタッ……
 tt『はぁッ…はぁッ…どこいった…? 』
まだそんな遠くには行ってないと思うけど…。
明日は店も定休日だし、今渡さないと困るかもしれへん…。
 tt『……って、俺この格好で出ちゃった…』
 
 
 
 
 
 
 〜〜……〜……♪
 
 
 tt『…この音』
 聞き慣れた楽器の音がした。嫌に明るい地下街から、聞き慣れた低い優しい音色が響く。
気づけば俺の足はその音の元へ歩いていた。
 
 がやがや…
 tt『うわっ…人集り凄…』
 音の方へ行くと物凄い人集りだった。
 〜〜〜♪
 あまりよく見えないけど、やはりその聞き慣れた音はサックスの音色だった。
 「ジャズの人かな?すごいね…」
 「待って、めっちゃイケメンじゃない?!」
 「ねぇ、後で連絡先聞こうよ♡」
 人集りのほとんどは女性だった。
サックス、イケメン、ジャズ……。
…………心当たりしかない…。
人混みをかき分け少し前へ出てみた。
 
 
 〜〜♪
 jp『〜〜♪』
 やはり彼だった。俺の大好きな彼が。
 〜〜〜♪…………
 演奏が終わった。
 パチパチパチパチ…!!
 溢れんばかりの拍手で俺も圧倒された。
顔がいい男は楽器もお手の物か…。
 tt『jpッ…』
 ドンッ!!!
 「お兄さん♡演奏良かったです!」
 「連絡先とか教えてもらえますか〜♡ 」
 「ちょっとずるいってば!」
 キャアキャア♡
 …………近寄れない…。
 「何あの人…うさぎ耳つけてんだけど…」
 「マジじゃん…きも…」
 おい、聞こえてるぞ💢後うさ耳は趣味じゃないからな!💢
 jp『……tt…?』
 
 
 
 
 
 
 jp『どうしたんですか?なんでこんな所に…』
 tt『あッ…いや…これ……』
 jp『!…俺のリガチャー!』
 jp『ありがとうございます!』
 良かった、jpのやったんや…。走った甲斐あったわ…。
 jp『どうりでいつもと音色が違うと思った…』
 tt『やっぱり必要なやつやったんですね』
 jp『うん…結構大事なやつ…』
 jp『…本当にありがとう』
 tt『ッ!////』
 笑った…。俺に向けて…。
かっこよ……////。
 jp『…急いで来てくれたんですか?』
 tt『へッ?!なんで…!//』
 jp『耳、付けっぱですよ(笑)』
 ッあぁ~!!外してこれば良かった!
尻尾までつけて来たから無茶苦茶恥ずかしい…
 tt『…忘れてて///』
 jp『…………これ』
 ピンッ…
 そう言ってリガチャーを俺の目の前に差し出してきたjpの顔は、無邪気な少年のような笑顔だった。
 jp『…指、はめました?(笑)』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 続く…
↑♡100
コメント
2件
リガチャーは大事だなぁ
😻😻😻😻😻😻😻😻😻😻