テラーノベル
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「し、失礼します‥っ」
むかでやまのドアが開いた。
入ってきたのは、ショートカットの眼鏡っ娘だ。
「あらまあお嬢さん、今日はどうしたのかしら」
「‥音無カナ、昨日溺死したばかりです。15歳で死んでます」
「昨日溺死したばかりなのね、よく来たわ、今日はあなたに人生をチョイスさせていただきます夏田ホノカよ」
店主・ホノカは、煙草の煙が消えていくのを見つめながら、カナを光のない眼差しで見つめた。
「あらやだ。あんたさ、傷だらけじゃあない」
カナの体には、アザや擦り傷があった。話を聞くと、彼女はギャルの「朝雛ユキ」などの1軍の女子に、暴行を受けたり、過度の嫌がらせをさせられていたという。
「あんた。そのユキってやつをどうしたくてここに来たの?それ言われないと、何にもできないけれど」
カナは俯いた顔をこっちに上げて、言った。
「できれば‥できればなんですが」
「朝雛さんの娘になりたいです」
「ああら、娘さん?」
「朝雛さんって、弟がいたんですよ。親のように溺愛してたんで。年もすごく離れていて、すぐに可愛い弟のはなしを幸せそうにしていたの、今でも覚えてて」
ホノカは、さっきまで死んでいた目に、不気味な光が出た。
「いいじゃない。あんたはすごく賢いわ」
ホノカは、カナの頭をそっと撫でてやった。カナは、さっきまで真顔だった顔が、急にリラックスしてにかっと笑っていた。
「じゃあ、この鏡に向かって、私は朝雛ユキの娘になり、溺愛されたいです。って呟いてごらん、さあ」
カナは、笑った。真面目そうだった顔が、急にこわばり、不気味にっていく。ホノカは、笑顔になったカナを見て、喜ばしい顔をしている。
「‥。私は、朝雛ユキの、娘になり、溺愛、されたい、ですっ」
鏡の中に、ニコニコし、固まっているカナは、吸い込まれていった。
「ふふ」
ホノカは煙草をもう1本吸いながら、笑って副流煙を吐き出した。
その後。現在カナは「カナデ」という名前になりユキの自慢の一人娘になり、9歳になった今でも、愛されている。
「カナデ‥学校なら、いつでもサボっていいのよ‥」
あの時とは全く違う、ユキのか弱くて優しい声。
あの時溺死した「カナ」は、満足したように、自分のいじめっ子に甘やかされた体で、楽しんでいる。
終わり
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レオン
コメント
3件
読み終えたわ。第1話からわりとガツンと来たな……。 いじめられてたカナが、相手の「娘」になって溺愛されるって発想、すごく歪んでて好き。鏡に吸い込まれて「カナデ」になるラストの切り替えし方、じわじわくるわ。 ただ、彼女がこの幸せにどんな決着をつけるのか——それが気になって仕方ない。続き、めっちゃ待ってる🔥