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それから数ヵ月後……僕は退院することが出来た。しかしまだ歩くことは出来ない。だから車椅子生活だ。リハビリも兼ねて今は柊さんが一緒に歩いてくれる「ごめんね……僕が歩けるようになればすぐに終わるのに……」僕が謝ると彼女は微笑んで言う「全然大丈夫だよ!むしろ新海君と一緒にいられて嬉しいし……!」そしてそのまま歩き続ける「……それにさ、もし歩けなくても私がいるから安心して欲しいな」
そう言って笑う彼女を見て僕も思わず笑顔になった。木漏れ日の下夏の日差しが降り注ぐ中、僕たちはのんびりと散歩をしていた。
「気持ちいいね……」柊さんが言う「うん、そうだね」僕は頷く。今日は休日なのでこうしてゆっくりしているわけだが……ふとあることを思い出した「……あ……!私、目が見える様になってから行きたい場所が1つあるの!新海君と一緒に行きたいんだけど……いいかな……?」柊さんが聞いてきた。「うん、もちろんいいよ」僕は笑顔で答えた。
次の日、僕達は朝から出かけることになった車で駅まで行き電車に乗って1時間半ほど揺られていると目的地に着いたそこは海だ。「わぁ……!綺麗……!」柊さんが嬉しそうに言う僕も同じことを思った海は太陽の光を反射してキラキラと輝いている「すごいね……!」僕達はしばらくその景色を眺めていた。それから僕達は砂浜に座って海を眺めた「綺麗……」柊さんが呟く。その横顔はとても美しく見えた「……ねぇ、新海君」突然彼女が口を開いた「……何?どうしたの?」僕が聞くと彼女は少し恥ずかしそうに言う「私達……付き合ってるよね……?」「うん、そうだね」僕は即答する。
すると彼女は顔を真っ赤にした「そっ……!そっか……!」そしてまた黙り込んだしばらくしてまた口を開く「……私ね、新海君と出会えて本当に良かったって思ってるの……!だってこんなにも素敵な人が側にいてくれるなんて……私、幸せだなぁ……」そう言って彼女は笑う「柊さん……」僕もつられて笑顔になった。そして彼女の手を握る「……ありがとう」僕は一言だけ伝えた その後、僕達はホテルに泊まることにした。チェックインを済ませ部屋に入ると柊さんはすぐにシャワーを浴びに行ったので僕はその間に荷物を整理していたするとふとある物を見つけた。それは数枚の写真だった。一枚ずつ見ていくうちに僕はある事に気づいたそれは僕と柊さんが一緒に写っている写真だしかも何枚もある中には手を繋いでいる写真もあったそれを見た瞬間、思わず顔が熱くなった「こ……これ……!」
そう言って僕の顔はさらに赤くなる「……どうしたの?」いつの間にか戻ってきた柊さんに声をかけられたので慌てて写真を隠した。はぁ……こんな写真撮るのなんて姉ちゃんしかいないよな……
「……ねぇ、新海君?」柊さんが聞いてくる「な……なに……?」僕は動揺しながらもなんとか答える「その写真見せて欲しいんだけど……」「え……?いや!これはダメ……!」そう言って僕は写真を後ろに隠した。しかし柊さんは諦めずに言う「……お願い!」彼女は真剣な眼差しで僕を見るそしてそのまま僕の手を掴んだ「ちょ……!ちょっと待ってよ!」僕が抵抗しようとするが彼女の力には勝てなかった。結局、僕は彼女に負けて写真を見せてしまったすると彼女は目を輝かせて言った「わぁ……!懐かしいなぁ……これ、私達がまだ高校生だった頃に撮ったやつだよね!」柊さんは嬉しそうに言う「そ……そうだけど……」僕が答えると彼女は言った。「えへへ……!私、この写真すごく気に入ってるんだ〜!」「そ……そうなんだ」僕は動揺しながら答えた。すると彼女はさらに続ける「……ねぇ、新海君?これからもずっと私と一緒にいてくれる?」柊さんが聞くので僕は迷わず答える。「うん!当たり前だろ……!」それを聞いた柊さんは嬉しそうに笑った。そして僕達はそのまま眠りについた。翌日も朝から出かけることにした昨日と同じように電車で1時間ほど揺られて着いた場所は遊園地だった「わぁ……!すごいね!」柊さんは目を輝かせている僕も同じ気持ちだ「うん、そうだね」僕達はチケットを買って中に入る。中はとても広くて人も多かった。
しばらく歩いていると柊さんが突然立ち止まった「……どうしたの?柊さん?」僕が聞くと彼女は言う「ねぇ……新海君……?私ね、新海君にお願いしたい事があるんだけど……」「ん?何?」僕が聞き返すと彼女は恥ずかしそうに言った「……あのね、手繋いで欲しいなって……」僕は思わずドキッとしたがすぐに平静を装って答えた「いいよ……!」そして彼女の手を握ったすると彼女は嬉しそうに笑ったそれから僕達は手を繋いだまま遊園地を見て回った。お化け屋敷に入った時、柊さんが僕に抱きついて来たのには驚いたけどそれ以上に嬉しかった。そして最後に観覧車に乗った時、彼女は言った「ねぇ……新海君?私達が付き合い始めた日の事覚えてる……?」僕は少し考えてから答えた「……うん、忘れる訳ないよ」すると柊さんの顔が赤くなった「そ……そっか……!良かった……!」彼女は安心したように言った「うん、だって僕にとっては大切な思い出だから……」僕が言うと彼女はさらに赤くなった。
「……あ、あのさ……!新海君……!」柊さんは突然大きな声で言った「ん?何?」僕が聞くと彼女は言う「……その……私ね!ずっと前から言おうと思ってたんだけど……!」そして大きく息を吸ってから言った。
「大好きだよ」そう言って僕の目を見る彼女の目には涙が浮かんでいた僕は思わず彼女を抱きしめた。すると彼女も強く抱きしめ返してくれたそれからしばらくして観覧車を降りた僕達はそのまま手を繋いで家に帰った。「ねぇ……柊さん」帰り道に僕は聞く「どうしたの?新海君?」柊さんが聞き返してきたので僕は意を決して言う。
「僕、これからずっと君の側にいるから……!」「……うん!」彼女は笑顔で答えたそれから僕達は家に帰る。あぁ、僕が両腕あって下半身が動いたらどれほど良かったか……でも、今だけは彼女の側に居られるだけで幸せだ。
それから数ヶ月後……
「ねぇ、新海くん」柊さんは僕に言う「ん?何?」僕が聞き返すと彼女は言う「……またあの時みたいに抱っこして」僕は思わずドキッとする「え……?でも……」僕が躊躇っていると彼女は言う「お願い!1回だけでいいから!」そして僕の手を掴んで強引に引き寄せた
「……わかった。いいよ、おいで」そう言って僕は車椅子の上に柊をのせて抱きしめる。すると柊は幸せそうな笑顔を見せた「えへへ……ありがとう……!」そう言って彼女は僕の胸に顔を埋めた「……ねぇ、新海くん」柊さんは突然僕の顔を見上げた僕は不思議に思って聞いた「どうしたの?」僕が聞くと彼女は言う「一回だけでいいから一緒に寝たいな……?」彼女が上目遣いで聞いてくる。そんなのに耐えられるはずもなく僕は柊さんと一緒に寝た。次の日、目を覚ますと隣には柊さんが居た幸せそうな寝顔を見て思わず微笑んでしまう「おはよう、新海君!」起きたばかりの僕に彼女が言う「……うん、おはよう」僕が答えると彼女は笑顔になった。そしてそのまま僕に向かって飛びつくように抱きついてきた。僕は咄嵯にそれを受け止める「ちょ……!ちょっと!危ないよ!」僕が慌てて言うと彼女は笑って言った「大丈夫だよ……!」そう言ってさらに強く抱きしめてくる僕は思わずドキッとしたがすぐに冷静になって言った「……ねぇ、柊さん」
すると彼女は不思議そうな顔をして聞いてきた。「ん?何?」
「……その、昨日みたいなのって……またするのかな……?」と聞くと彼女は少し考えてから答えた「うーん……そうだね……」そしてしばらく考えた後、こう続けた「私はいつでもウェルカムだよ!!」そう言ってニッコリと笑ったその顔はとても輝いて見えた僕は思わず見惚れてしまった「な……なにさ……!」僕が照れて言うと彼女はさらに続ける「……それに、私は新海君となら何回でもしたいもん!」それを聞いた僕も恥ずかしくなると同時に嬉しくなった。
それから数ヶ月後……
柊さんは車椅子になってからも毎朝僕の車椅子を押して登校してくれていた。そして卒業の日……僕は自分の卒業証書を持って校庭にある大きな桜の木の下にいた。そしてそこに柊さんもいた。彼女は僕を見つけると嬉しそうに笑って言った「新海君!卒業おめでとう!」それを聞いた僕も微笑んで答える「……うん、ありがとう」僕達はそのまましばらく他愛ない話をしていたすると突然彼女が切り出した「……ねぇ、新海くん?覚えてる……?」
「ん……?何を?」僕が聞き返すと彼女は言った「初めて話した時の事だよ……」それを聞いて僕は思い出した確かに初めて会った時、彼女が盲目だったあの時から僕達の運命は大きく変わり始めていたんだ……
「……ねぇ、新海くん?覚えてる……?」柊さんが聞くので僕は思わずドキッとする「うん、もちろんだよ……」僕が言うと彼女は嬉しそうに笑った。そしてそのまま僕に向かって飛びついてきた「わぁ!?」突然の行動に驚いてバランスを崩しそうになるが何とか持ち堪えた。しかし次の瞬間には僕の唇は塞がれていた「んっ……!」突然の事に驚いたがすぐに冷静になる「ちょ……!ちょっと!何するんだよ!」僕が慌てて聞くと彼女は言った。
すると突然、僕は地面が崩れたかと思うとそのまま落下していった。「う……うわぁぁ!!!」
俺は思わず叫び声を上げたそんな俺を見て柊さんは僕に手を伸ばして何かを叫んだ気がした。そして次の瞬間には俺の意識は途切れたのだった。