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“…貴方の優しさが、私を苦しめるんです”
貴方は、誰にでも優しい。
だからきっと、
私だけが特別だなんて──
最初から、ありえなかったのだ。
今日も、彼は皆の中心にいる。
誰にでもすぐ笑いかけて、すぐ褒め言葉をかける。
──私は、その隣にいる。
……別に、一番じゃなくていい。
あの方は、…誰にでも優しいから。
米「にほーん!!」
元気な声が、フロアに響いた。
日「…アメリカさん」
米「また仕事か?ほら、これ差し入れな!」
そう言って彼は私が好んでいる銘柄の缶コーヒーをテーブルにことん、と置く。
日「……これ私の好きなやつじゃないですか」
米「おう!それくらい覚えてるぜ!」
──あぁ、またそんな言葉を投げかけて。
…期待してしまうじゃないか。
米「じゃ、まだ俺回るとこあるから!」
日「……はい、お疲れ様です」
軽く手を振って、彼はまた別の誰かの元へ向かっていく。
そして少し離れた場所で、また明るい声が響いた。
米「よ!差し入れ!」
「えっ、これ好きなやつです〜!!」
……あぁ。
そうでした。
この人は、誰にでもこうなのだ。
そう思いながら、視線を落とした。
……けれど。
書類へ向けた指先が、不意に止まった。
缶コーヒーを持つ手が、少し震えていたからだ。
──寝不足、ですね。
自覚は、あった。
米「……日本、お前最近ちゃんと寝てるか?」
日「…え?」
米「最近クマ酷いぞ」
日「……そうでしょうか」
米「そうだって!ちゃんと休めよ?」
そう言って、彼は私の顔を覗き込むように笑った。
──やめてください。
そんなふうに。
まるで、私だけを見ているかのような顔をしないでくれ。
期待してしまうから。
勘違いしてしまうから。
貴方は、誰にでも優しいだけなのに。
嗚呼。今日も貴方は誰かに笑いかけている。
……また、誰かを特別にしてしまうのですね。
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