コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
週末。
言っていた通り、平野は名古屋に帰ると言って出かけていった。
海人「あれ?風ちゃんどこ行くの?」
風「え…っ、あ~、ちょっと買い物」
なんとなくじっとしていられなくて、平野に続いて寮出る。だけど声をかけることができなくて、尾行するような形になってしまう。
そういえば、平野と一緒に岸くんを尾行したことあったなあ。あの時は全然平野を意識してなくて、夢中になりすぎて平野の腕にしがみつくようにして引っ張りまわしてた気がする。(7話:岸くんと妹)
それにその前に、平野に抱きしめられたこともあったっけ。岸くんが女の子と歩いてるのを私に見せないようにって、平野が気を遣ってくれて。(6話:岸くんはプライベートが謎!?)
今考えると、これまで考えられないような近さで、平野と接してたんやな。あの頃は楽しかった。純粋に友達として、1番身近で安心できる存在だった。
好きだなんて思わなければ、私たち、すごくいい関係やった。
平野が駅前の花屋に入った。
お花買ってくんや?
「俺たちにとってどれだけ大事な日だと思ってんだよ!」
平野が彼女に言っていた言葉を思い出す。
もしかして付き合い始めた記念日とか?彼女にお花のプレゼント持ってくんかな?
「風ちゃん」
風「ギャッ!( ゚Д゚)」
急に後ろから声をかけられて、ビクっとする。
廉「何してんの?紫耀の尾行?」
風「れんれん!違っ…!れんれんこそ何してんの!?」
廉「俺?俺は風ちゃんの尾行!」
風「え、尾行って…そんなキッパリ言われても怖いんですけど…(苦笑)」
廉「ゆうたやろ?俺、もう見境ないくらい、風ちゃんのこと好きやから!」
うぅ~そういう赤面するようなことお平気で言う…。
れんれんって、すごいクールそうな見た目してるのに、こーゆー甘いことをさらっと言う。これって女子が弱いギャップってやつだよなぁ。
廉「紫耀、今日彼女に会いに名古屋行くんやろ?風ちゃんそれ気になっちゃうやろ?だから風ちゃんも、俺とデートしよ!」
風「えっ?」
戸惑う私を、れんれんは「行こう行こう!」と言って、強引に手を引っ張る。
ちょうど平野がお花屋さんから出てきて、駅に向かって歩き出すのが見えた。
私は、反対方向に引っ張られ歩いていく。
私たち、本当に反対の方向に歩き始めてしまったんやな。
廉「どうする?風ちゃん、”理想のデート”ってある?
俺の理想のデートはな~、部屋で2人で1日中ゲーム!」
風「え~っ、めっちゃ不健全…」
廉「じゃあ、風ちゃんの理想のデートは?」
風「うーん、そうやなぁ。普通に街ブラして~、お買い物して~、オシャレなカフェとか入って~、とか?」
廉「おっしゃ!じゃあ、それやろ!」
それから2人でショッピング。服が大好きなれんれんが、私に似合う服をコーディネートしてくれる。
廉「うん!めっちゃ可愛い!」
風「私、あんまりこういう系の服持ってないよ…」
いつもと違う雰囲気の服にちょっと照れていると、
廉「えーのえーの!俺色に染めたいから!」
とか、また赤面しちゃうようなことを言う(///ω///)
でも、なんかこういうさわやかなデート、楽しいな…。
前から気になっていたカフェに連れて行くと、
廉「こんな女子しか居ない店入るの恥ずかしいわー」と嫌がったけど、
風「前から気になってたんだけど1人じゃ入りづらくて入ったことないんだよね」
と言ったら、
廉「え!俺とが初めて!?よし、入ろう!」
とあっさりご機嫌になって入ってくれた。
なんか単純でかわいい…。
かと思えば、あっという間にドリンクを飲み干し、もう飽きてきたのか
廉「なーなー、もう帰らへん?そいで、まったりお部屋デートしよ!」
ストローをちゅーちゅーしながら上目遣いで言ってくる。
なんか、King & Princeのメンバーでいるときは、みんながバカやって、れんれんは「お前らほんまバカやなぁ~」なんて笑いながら見ていて、ひとり大人な感じなのに、突然自由奔放で子供っぽい部分をのぞかせたりもする。
そして、その無邪気さと勢いで、今はいつの間にか手を繋いで歩いている。(れんれんのせっかちさんのせいで、結局カフェでゆっくりさせてもらえなかった)
でも、こういう自然な強引さ、ちょっとドキドキしている自分がいる…。
れんれんのペースにすっかり振り回されちゃってるなぁ、私。
廉「風ちゃんは、好きな男のタイプとかってあるん?」
風「え?うーん、そうやなぁ…例えば、ちゃちゃっと料理ができちゃうとか。凝った料理じゃなくて、シンプルな男飯!みたいな感じの。そういうのかっこいいなぁと思うけど」
廉「…それ、完全に岸くんやん。」
風「えっ!?あ、そんなつもりは…(°口°๑)」
廉「しかも料理が全くできない俺へのダメ出しですかーそれ」
風「えっ違う違う!れんれん、料理全然できないのなんて知らなかったもん!」
廉「ほんっと風ちゃん、俺に全然興味なかったんやなー(ー_ー)」
風「そ、そんなことないよ~(^^;」
やば、拗ねちゃったかな?
廉「あ!わかった!ヤキモチプレイか(`・ω・´)!俺にヤキモチ妬いてほしいんやな?」
えっ、そう解釈する?めっちゃポジティブ~…( ̄▽ ̄)
廉「じゃあ、今日の昼飯、俺が作ったる!」
風「えっ!?だって、寮でお昼御飯でるやん?」
※寮では土日も三食ご飯が出ます。
廉「大丈夫大丈夫!海人の母ちゃんに融通きかせてもらうから!」
岩橋「キャー!なんか鍋焦げてる!」
海人「ちょっと誰、こんなにたくさん麺入れたの!?」
キッチンの片隅を貸してもらって、私達2人分だけ自分で作るということで始めた”れんれんクッキング”だったけど、あまりの料理レベルの低さにみんなが駆け付け大騒ぎ。
廉「おい、お前ら勝手に手出すなよ!これは俺と風ちゃんのふたりっきりのデートなんやぞ!」
神宮寺「そんなこと言ったって、これ、手出さないわけにいかないレベルですよ」
風「もぅ~れんれん!?乾麺っていうのはね、水吸ったらちょっと膨らむから、水はたっぷり!あと、このひとまとめになってるのが1人前やからね?麺入れすぎ!」
「黙って見ててな?」と言われていたけど、結局私もキッチンに入る。
廉「あ~、こうやって”こらこらぁ♡”って怒られながら一緒に料理すんの、なんかええなぁ~」
みんなに怒られているのに、どこ吹く風でニヤニヤしているれんれん。
岸くんは普段はポンコツっぽくてみんなにイジられてたのに、対”人”となると急に大人っぽくて頼り甲斐あったり、家事力高めのしっかり者のお兄ちゃんだったりするギャップがたまらなく好きだった。
でも、れんれんは真逆。
一見器用で、何でもそつなくこなしちゃいそうなのに、こういうザ!男子!みたいな部分を見ると、なんかちょっとかわいいって思ってしまう。
これから”好きなタイプ”聞かれたら、”全然料理ができない男の子”って答えてしまいそうにかわいいかも…。
海人母「もぉ~じゃあ、今日はみんなで自分達のご飯を作りなさい!後片付けもちゃんとするのよ!」
みんな「はーい!」
結局ワイワイ言いながら、みんなでカルボナーラを作った。なんか合宿みたいですごく楽しかった。
廉「午後はどうするー?」
風「でも私、宿題やらなきゃ」
廉「じゃあ一緒にやろう!部屋で!”2人っきり”で!」
風「なんか”2人っきり”を強調すると、やらしいこと企んでそうに聞こえるんですけど…」
廉「フッ…」
風「否定せんかーい!(>ㅁ<` )」
結局またれんれんの強引さに押されて、部屋に入れてしまった。
廉「はぁ~!つっかれた~!ちょい休憩~」
れんれんがゴロンと寝っ転がる。
風「もぉ~、れんれん、さっきから休憩してばっか!」
廉「風ちゃんもちょっと休憩せんの~?」
風「う~ん、もうちょっとキリのいいとこまで…」
廉「つまんないな~」
ツンツン。
横っ腹あたりに、刺激を感じて振り向くと、寝っ転がったままのれんれんが指先でツンツンしている。
廉「なぁなぁ~、かまってや~?」
風「ちょっと集中できんから、ちょっかい出さんで!」
廉「へいへい…」
ちょっと拗ねながらゴロゴロと転がりながら離れて行ったかと思ったら、今度は…
ピラ。
風「ちょっ…!何しとんの!!?」
廉「え、だってこんな目の前に太ももあったら、スカートめくりたくなるやろ、普通」
風「だからって…!部屋に入ってもやらしいこと何もしないって…」
廉「約束してないけど?」
そ、そうやったー…。さっき、「やらしいこと企んでそう」って言ったとき、むしろ肯定していた態度やったやん…。
なんで私、今日ミニスカートなんて履いてんのー( ゚Д゚)!一気に身の危険を感じる…。
れんれんって、これまた見た目に似合わず、普通に下ネタ大好きな健全な男の子!って感じやし。
ここはちょっと強気に…
風「れんれん!ちゃんと宿題やらないんなら、もう自分の部屋帰って!」
廉「俺、もう宿題終わったけど?」
風「えっうそっ!?」
見ると、確かに全部終わってる…。
風「れんれんって、ほんと頭いいよね」
廉「英語じゃ風ちゃんには叶わんかもしれんけど、数学なら絶対勝てるで?」
風「じゃあ、この問題教えて?」
廉「ふんふん、ええよ?」
やっと起き上がったれんれんが、座りなおして問題を解き始める。
真剣な表情すると、ほんっと整った顔してるなぁ。れんれんがうつむいているのをいいことに、めっちゃ隅から隅まで凝視しちゃう。
この顔でインテリ、反則的にヤバいやつやん…。
廉「わかった?」
風「うん!すごくわかりやすい!」
廉「うし!じゃあ、ここからここまでの問題、どっちが先に解けるか、勝負しよ!そんで、買ったほうがご褒美もらえんの!」
風「えぇ~、それ絶対れんれん有利やん!」
廉「えーからえーから!ゲーム性あったほうが、楽しく早く終わるから!よーいドン!」
もう~っ、どこまでも強引…!!
勝手にレースが始まっちゃったから、慌てて問題に取り組む。
でも、結果は案の定…
廉「はーい、俺の勝ち」
風「早っ!!」
廉「ご褒美は、何もらおっかなぁ~(ニヤニヤ)」
なんか、絶対エロいこと考えてるー!!
廉「でも、風ちゃんもがんばったから、俺からもご褒美あげよっかな」
風「え?」
なんか、予想外の展開。
また変なこと言ってくるかと思った…。
廉「じゃぁそろそろおやつの時間なので、廉特製デザート食べる?」
風「えっ!?も、もう料理はいいから!(.,,゚Д゚) 」
さっきはキッチン、ハチャメチャになって片付け大変やったんやからぁ~(>_<)
廉「心配せんで!もう作ってあるから!持ってくるわ!」
え?
廉「ジャジャーン!」
風「ん?なに?」
廉「永瀬廉特性!いちごフルーチェ~!」
風「あ~!フルーチェなら確かにれんれんでも作れる!」
廉「さっき片付けしてる時、海人の母ちゃんが教えてくれたんよね!ほんまこれ簡単!まじか!めっちゃ神アイテムあるやんけ!って思ったわ~」
(※海人母は廉が自分の息子の恋敵であることを知りません)
廉「どぅ?どぅ!?」
風「うん!めっちゃ美味しい( ‘ч’♡ )」
廉「っしゃ!」
フルーチェやからね、まずく作ることの方が難しいと思うんやけど、無邪気に喜んでるれんれん、可愛い…(^-^;
廉「今、俺のこと可愛い思ってる?」
風「えっ…!?」
びっくりしたぁ、心の声、漏れてたかと思った。
風「うん…思った」
廉「じゃ、ご褒美もらうな?」
ちゅ。
え?
今、キスされた…?(๑°⌓°๑)
廉「あ、思ったより、怒らへんのな?もしかして、俺のこと、ちょっと好きになっちゃった?」
風「…うん…ちょっと」
廉「それ、惚れ薬入ってるからな」
れんれんがニコニコ無邪気な笑顔を浮かべて言う。
本当に惚れ薬入ってたのかなと思うくらい、不思議と全然嫌じゃなかった。
廉「キス、初めて?」
え…。
突然海ちゃんの顔が浮かぶ。しかもこのベッドで…。
廉「ん!?なんやねん、その間は!?初めてじゃないん!?」
れんれんの顔がサーッと青ざめる。
廉「だって、風ちゃん、アメリカではずっと引きこもってたし、アメリカ行く前は小学生やったし、ってことは、こっち帰ってきてからやん!?」
突然れんれんが名推理を始める。
廉「岸くんは…絶対浮気とかする人やないから、まさか紫耀!?しかもなんで今ちらっとベッド見た!?まさか紫耀とこのベッドで…!?だから、寮で同棲なんて危ない思うてたんやー!!(;゚Д゚))もっと早く寮に入っとくんやったーー(>ㅁ<` )」
風「ちがっ違う違う!平野とはなんにもないってば!」
廉「紫耀やない!?じゃぁ誰やねん!?」
う…海ちゃんなんて絶対言えない。
風「あ、あれは事故みたいなもんやから。自分の意思がなくて、唇が当たっただけ!そんなのキスのうちにカウントしてないから!」
廉「そうなん…?くっそー、事故にしたって風ちゃんを巻き込むなんて、そいつ絶対許せへん…」
本当に転んで唇当たっただけというシチュエーションと解釈したらしいけど、それでも気に入らないらしくまだイライラしてる。
廉「じゃあ、風ちゃんのファーストキスもらっていい?」
風「え?」
廉「さっきのもオレが勝手にしただけやから、風ちゃんの意思は入ってなかったやろ?だから、ちゃんと風ちゃんの意思で、本当のファーストキス、俺にくれ」
真っ直ぐに見つめるその大きな目にはもう冗談の色は全くなくて、いつものように強引に私を引き寄せることもせず、じっと私の答えを待っていた。
私、ちゃんとこの人のこと、好きになれる。
そっと目を閉じた…。
ファーストキスってイチゴの味って聞いたことあるけど、ほんとにほんのり甘いイチゴの味がした…。