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土曜日に名古屋に帰り1泊して、日曜日の昼間に静岡に帰った。寮の部屋に帰り、思わずベッドを二度見した。
廉のベッドの布団の乱れ具合が、俺が昨日の朝見たものと全く変わっていないのだ。
まさか、あいつ昨日、舞川の部屋に泊まった…?(٭°̧̧̧ω°̧̧̧٭)
そもそも今もどこにいんだよ?なんとなく落ち着かなくなって、部屋の外に出る。
ドアを開けると、ちょうど隣の部屋から舞川と廉が一緒に出てきた。
廉「おぉ~紫耀、帰ってたんか?」
平野「お、おぅ…!」
廉「そろそろ昼飯だな?食堂行くか」
平野「そ、そうだな!よし!行こう…!」
バイーン!
風「わっ!平野、大丈夫!?(゚’ω’゜)゚」
勢いよく振り返って、そのまま開いていたドアに激突してしまった。
平野「あ、だいじょぶ、だいじょぶ~、アハ、アハハ~」
ごまかしながら、その場から逃げ去った。
廉「相変わらずアホやな、あいつ…」
学校でも。
風「ねぇ、れんれーん」
れんれんが私の口に人差し指をキュっとあて、首を横にふってニヤリとする。
風「あ、そやった。ねぇ、”れん”」
れんれんが…あ、”廉”がニッコリと満足そうに頷く。
ありさ「え、風って”廉”って呼ぶようになったんだ…?」
ドンガラガッシャーン!
風「え?平野?大丈夫?」
平野が机につまずき、派手に机と椅子をなぎ倒している。
廉「紫耀、何しとんねん」
ありさ「ティラノが暴れるのは日常茶飯事でしょ?」
風「でも、平野、昨日からなんか様子変よね?」
平野「あ、だいじょぶ、だいじょぶ~、ハハ、ハハ~」
ガンッ!
平野「いてっ!!((+_+))」
またあちこちぶつかりながら、行ってしまった。
廉「名古屋に彼女に会いに帰ったんやもんな?彼女となんかあったんか?」
ありさ「えぇっ平野って彼女できたの!?」
廉「それが、噂の中学の時に付き合ってた忘れられない彼女と元サヤで…」
昨日から平野の態度がおかしいこと、ちょっと気になっていた。
そっか、彼女と喧嘩しちゃったんか。せっかく名古屋まで行ったのに。記念日やったっていうのにな。大丈夫かな?
でも、それは平野と彼女の問題や。私が口を出せることではない。
それに今私が考えなきゃいけないのは、一番大切にしなきゃいけないのは…廉だから。
おととい、廉と初めてキスをした。
その後もなかなか廉は自分の部屋に帰らなくて、ずっと私の部屋に入り浸っていた。その時に、
「廉って呼んで」
と言われた。
今まで呼んでいる呼び名を突然変えるのって、なんかこっぱずかしい、恥ずかしがる私を見てニヤニヤ喜んでいる廉は、ほんと”ドS”だなと思った(。>﹏<。)
廉「だって、みんな俺のこと”れんれん”って呼ぶのに、彼女の風ちゃんが同じじゃ特別感ないやん。なんか専ニク欲しいやん。
あれ?そういや、中野って俺のこと”廉”って呼ぶよな?なんでお前が特別な呼び方しとんねん!」
ありさ「はぁ~!?なんで私があんたのこと、”れんれーん♡”なんて可愛く呼ばなきゃいけないわけ!?」
廉「お前、相変わらず可愛くないなぁ!」
わっ!れんれん、ダメ!なんかそれ、傷つく…!いつもの喧嘩口調も、ありさが廉を好きだったって知ってからだと、なんか切なくなってくる。
しかも私が気まずいよー!(>ㅁ<` )
廉が離れて、私が気まずくて黙っていると、ありさがバシッと背中を叩いてきた。
ありさ「ちょっと何気遣ってんの!言ったでしょ?私はもう風と廉を応援することにしたんだから!もう、気持ち吹っ切れたし!」
風「ありさ…」
「なんかごめんね」って言ってしまいそうになったけど、言葉を飲み込んだ。多分それって、もっと地雷だと思う。
ありさのためにも、私にできることは…やっぱりただただ、廉を大切にすることだけなんだ。
ありさ「風はさ、風が転校してきてからの廉しか見れないから知らないと思うけど、本当にあいつ、風が来て変わったんだよね。今までは、口がうまくて人付き合いもよさそうでいて、本当は全然心開いてないっていうか、上辺だけのトークって感じで。すぐに付き合うけど、彼女といてもなんか面倒くさそうで。すぐ”飽きた”とか言ってふっちゃうような、めちゃくちゃひどいやつで」
へえぇ、それでよくそれだけモテてきましたね…(。´・ω・)
ありさ「でも、風が転校してきてからピタッと彼女作らなくなったし、それに何より、風と一緒にいるとき、ほんとアイツ、幸せそうな顔するんだもん」
なんか本人から「好きだ好きだ」と言われるよりも、周りからのこういう評価の方がすごく信憑性があって嬉しかったりする。
うん、大切にしていかなきゃ。
部活。
岩橋「俺の予想、外れちゃったな~」
タオルを用意しながら、いわちが話しかけてきた。
岩橋「俺はね、風ちゃんが岸先輩を好きだって言ってた頃から、言ってたでしょ?
風ちゃんと相性が良いのは絶対紫耀先輩だって。
でもね、風ちゃんと廉先輩の関係知ったら、ちょっと話変わってきちゃうよね。いじめで辛かった時に救ってくれた存在って、すごく大きいじゃん?」
風「いわちにとっては、それがジン君だもんね?」
岩橋「そう。俺にとってはジンが1番特別で大切な人」
風「いわちとジンくんみたいに同性同士やったら、一生親友っていう関係性になるんやろうね、お互いに彼女ができても」
もし私が勘違いしていたように、renちゃんが女の子だったら、再会した後も普通に親友になって、私が平野を好きだという気持ちはそのまま残ったのかな?
いわち「んー…。でも俺は、彼女作ろうとか全然思えない。神宮寺の存在が大きすぎて、他の人が自分の中に入ってくるとか考えられない。神宮寺に彼女ができても、ちょっと複雑だな…」
風「そっか、いわち、最初私がジンくんと仲良くしてたらやきもち焼いて私に意地悪してたんやもんね?(笑)ほんと2人、カップルみたいに仲いいもんね」
岩橋「ちょっと茶化さないでよー!でもほんと、それくらい神宮寺は俺にとって大きな存在ってこと。やっぱり1番辛い時を救ってくれた存在って、別格に大切じゃん?本当に大切な存在って、男でも女でも、そう何人もいるもんじゃないと思うんだよね」
風「うん、そうやね…」
「これ以上、フラフラするなよ」って、クギを刺されたように聞こえた…。
岩橋「ま、俺はどっちと付き合おうと、風ちゃんが決めたことなら応援するし、風ちゃんの幸せを願ってるからね!」
部活終わり。
タオルを洗っていると、平野が水道にやってきた。
平野「わっ…!舞川、いたのか…。よ、よぉ…!」
風「あ、平野。名古屋どうやった?お母さんもう大丈夫?」
平野「うん、もう退院してだいぶ元気。舞川のおかげで、ママの彼氏も家に出入りするようになって、リハビリ手伝ってくれてる」
風「そっか、それはよかった(^^)」
ブシャー!
突然、平野が水道を全開にし、水をかぶる。
平野「わ、わぁ~~~っ(≧_≦)」
蛇口を間違えて反対にひねったらしい。
風「何しとんの!?ねぇ、これ前にもあったよね?私が転校してきてすぐの時!キャッハハハハ!」
平野「確かに、デジャヴだ…。あん時は、舞川もずぶ濡れだったけどな!」
そう言って、平野がブシャーっと水をかけてきた。
風「キャー!何すんねん!」
平野「ギャッハハハハ!」
風「なんか、こうやって平野と2人で話すの久しぶりやな」
平野「うん、そうだな」
今までは、気づけばいつも隣にいたような気がするのに。
廉「それは、俺が風ちゃんの隣をがっちりガードしてるからです!」
風「わっ!びっくりしたぁ~」
突然、廉が水道の反対側からヌゥっと顔を出しびっくりする。
廉「なんかやけに二人で楽しそうにしとったやんか~?紫耀、風ちゃんは俺のやから、あんまり近づかんといてな?”俺の彼女”なんやからな!」
廉が私を後ろから抱きしめながら、じとーっと平野を睨む。
平野「わぁってるよ!」
廉「じゃ、風ちゃん帰ろ!ふ・た・り・で!」
風「あ、うん。じゃぁ平野、バイバイ」
廉「じゃーなー」
平野「おぅ、死ぬなよー!」
風「平野っていつも”死ぬなよ”って言うよね?あれなんなんやろ?」
廉「あいつの口癖っていうか、バイバイの意味やろ?」
風「そういえば、岸くん見送る時も言ってた。面白いね」
廉「ま、紫耀の話はもうええやん!せっかく俺と二人でおるんやから、他の男の話すんなや。ちょっと目離すとイチャイチャしとるし…(ごにょごにょ)」
廉がちょっと不機嫌になる。
風「廉ってさ、いつもは平野がバカやってるのをクールに笑って見てる大人クールな感じなのに、時々わがままな弟みたいになるんやね」
廉「は!?どこがやねん!?」
風「なんか、さっき平野がすっごくお兄ちゃんに見えたもん(笑)」
廉「風ちゃん、そういや岸くんのお兄ちゃんっぽいところにやられてたやん…(;゚Д゚)! ヤバ…!言うとくけどな、俺やって弟おるからな!?あんま弟の話せんけど!俺もお兄ちゃんやで!」
風「そうやってムキになるところが、子供っぽいんだってば(笑)」
でも、そうやってやきもち妬いてくれるところが、可愛くて、たまらなく嬉しい。
神宮寺「なんかいつの間にかラブラブですね~、あの二人」
平野「わっ!ジン!みんないきなりヌゥっと出てくんなよ(#゚Д゚)びっくりすんだろ!」
神宮寺「俺、てっきり舞川先輩は、紫耀先輩といい感じなのかと思ってたんですよね」
平野「な、何言ってんだよ…(.,,゚Д゚) 」
ジンは大きな目できらりと俺を見てくる。
ジンは後輩だけど、しっかりしていて頼りがいがあって、何より凄く優しいから、よく2人で話をすることも多いし、プライベートで遊びに行ったりもする仲だ。
神宮寺「紫耀先輩は、これでいいんですか?」
平野「な…っ!いいも何も、俺は2人のこと応援してるから。めっちゃお似合いじゃん」
神宮寺「そうですかぁ?俺は紫耀先輩って、なんだかんだいつも舞川先輩の近くにいて守ってあげてて、本当はけっこう前から舞川先輩のこと好きなんじゃないのかなーって思ってたんですけどね~?
でも、舞川先輩の岸先輩への気持ち知ってるから遠慮してるのかなーって。それで今度は廉先輩に遠慮してるように見えますけど?」
めちゃくちゃ見透かされてるぅ~…( ˃ ˂ )
神宮寺「でも、意外です。紫耀先輩って、普段男らしいし、もっと恋愛に対して肉食系なのかと思ってました」
恋愛に肉食系…。
平野、中学時代。
「よっしゃー!平野の負けー!罰ゲーム!罰ゲーム!」
「誰!?誰!?」
男友達とゲームをして負けたやつが、罰ゲームで”今一番気になっている女子”の名前を白状するというルールだった。
俺はその頃、まだまだガキで、男子とか女子とか関係なく、みんなでワイワイ遊ぶのが楽しかった。だけど、周りの女子が急に色気付いて俺のことを恋愛対象として見るようになり、学校では”モテ男”としてもてはやされるようになっていた。
そんな俺が誰の名前を言うのか、みんな興味深々といったところだが、正直特に気になっている女子なんていなかった。
平野「まあ、顔だけで言ったらA組の佐伯桃かな?」
顔が可愛くて男子の中では話題になっていて、俺も確かに可愛いとは思っていたけど、それだけ。話したこともないし、性格も知らない。
「佐伯桃かぁー!マジかー!俺も狙ってんだよなー!平野とカブッたら、勝ち目ねーじゃん(>ㅁ<` )」
「あれ、〇〇も確か佐伯桃のこと可愛いって言ってなかったっけ?」
「あぁ、うん…」
曖昧に返事をしたのは、俺の親友。
「相手が親友でも容赦しないんですか~!?平野さん!」
他のダチが茶化して言う。
平野「たりめーだろ!恋愛は弱肉強食!俺は、ダチと好きな女がかぶっても、絶対譲らないね!たとえ、親友のお前でもな!(笑)」
「うわー!超肉食発言出ましたー!」
「ギャハハハ!さすが平野~!ちょっとは手加減してくださいよー!」
そんなこと言いながら、俺はまだまだ女や恋愛よりも、こうやって男友達とバカやってる方がよっぽど楽しかった。
「好きです」
そんな会話の1週間後くらいだった。
佐伯桃から告白された。
すっげぇ、タイムリー…。
こんなことってあるんだ?
「ずっと好きだったの」
ぱちくりと大きな目で上目遣いに俺を見上げてくる。うん、やっぱ顔可愛い。
その時好きだった人も特にいないし、性欲真っ盛りの中学生。こんな学年のアイドルみたいな子に好きだと言われて、あえて断る理由もない。
桃「付き合ってください!」
平野「まぁ、いいけど」
別に付き合った後で好きになればいいか。それくらいの気持ちだった。
平野「おい〇〇!一緒に帰ろうぜ!」
親友「あー、今日はちょっと別のやつと帰る約束してるから…」
平野「え~。俺、今日傘忘れちゃってさ~、入れてってもらおうと思ってたのにー(≧ω≦)」
ふざけて体をクネクネさせてぶりっ子してみせるが、親友は全然笑ってくれない。
桃「紫耀くーん、今日傘持ってきた…?よかったら一緒に…」
桃が向こうからやってきて、角度的に親友が見えてなかったのか、気づいて言葉を止める。
親友がじっと俺を見て、「じゃ」と背中を向けた。
平野「あっ、うん、じゃあな」
なんだか最近親友の様子がおかしい。
ちょっと避けられてるような気がするのは気のせいか?
「おー、〇〇!行こうぜ!今日さ…」
ちょっと不良ぶってるクラスメイトが親友を連れて行った。なんだ、約束ってあいつらか。
その頃、俺らもちょっと不良ぶって髪を染めたり、ズボンを太くしたりしていて、不良グループともクラスではそれなりに喋る仲だった。
でも俺らがやることなんて、見た目をイキがるくらいのかわいいもので、不良グループのやつと学校外での付き合いはなかった。だから、親友がわざわざあいつらと一緒に帰るなんて、ちょっと違和感はあったけど、特に気にもせず、親友の背中から目を移した。
それが、俺が見る親友の最後の姿だとも知らずに…。
その夜、親友が死んだ。
クラスメイトの不良グループと無免許で海岸線をバイクを走らせていて、ガードレールに突っ込んで海に落ちた。
お通夜では親友の母親が、「どうして、どうしてぇー!?」と泣き叫んでいた。
どうして?不良グループとそんな付き合いをするような奴じゃなかったのに、どうして?
そのすぐ後に、クラスの女子から聞いた。
親友は少し前から桃と付き合っていた。
平野「どういうことだよ!?」
桃「だってだって…私ずっと紫耀くんのことが好きだったの。だけど、紫耀くんは手の届かない人だから告白する勇気なんてなくて…。
それで〇〇君に告白されて付き合い始めたけど、そしたら紫耀くんが私のこと、”学年で一番可愛い”って言ってくれてたって聞いて。それで〇〇君に別れてほしいって…」
聞いてない、俺はそんなこと、あいつから何も聞いてない…。
あの罰ゲームの時の会話にいたダチに聞いてみたけど、やっぱり誰も親友と桃が付き合ってることを知っている人はいなかった。
俺が”一番可愛い女子”として桃の名前を挙げたことを桃に喋ったのは、親友ではなくて、その場にいた別の友達だった。
そいつは本当に何の悪気もなく話ししただけで、そいつも桃と親友が付き合ってることなんて知らなかったらしい。
「あいつは絶対一番最初に平野に話そうと思ってたはずだよ。お前ら本当に仲良かったじゃん?」
確かに、女子は恋愛の経過報告を逐一友達にするけど、男はそんなことしない。
別に隠していた訳じゃないとは思うが、まだ付き合い始めて間もなかったし、これから話してくれようと思っていたのかもしれない。
「でも平野があの時、佐伯の名前言ったから、あいつ、言い出しにくかったのかもしれないな…」
嘘だろう?
どうして俺はあの時、「親友だからって容赦しない」なんて言ったんだろう?
どうして俺は、桃に告白されたとき、好きでもないのに付き合うことにオーケーしたんだろう?
どうして俺は…。
色んな後悔が次々に浮かんでは消えていく。
なぁ、何を捧げれば、時は戻る?
戻らない。
何をどう後悔したって、親友も、あの楽しかった日々も、もう二度と帰ってこないんだ…。
「どうして、どうしてぇー!?」親友の母親の声が頭の中で鳴り響く。
どうして、いつもは付き合わないやつらと、無免許でバイクになんて乗ったんだ?あんな雨の夜に。
俺の誘いを断って。
一つの理由に行き当たったが、恐ろしくてとても口にはできなかった。
”もしかしてあいつは自殺したんじゃないのか…?”
俺と親友と桃の間に何があったのか詳しく知る者は少なかったし、表だって俺を責める者は居なかった。だけど、自分の中にはその思いはくっきりとあった。
ー俺は親友から好きな子を奪って、親友を自殺に追い込んだ…ー
だから俺は逃げるように名古屋を出た。
親には、「サッカーの強い高校に行きたいから」と嘘をついて。
それから俺は、「バイバイ」「じゃあな」という言葉の代わりに、「死ぬなよー!」と言ってしまう癖がついた。
大切な人と別れる時には、いつも心がザワザワする。
「この背中を見るのが最後になるんじゃないか?」そんな不安で押し潰されそうになる。
だから、人と別れるとき、相手が振りむかなくなっても、まだその背中を長く見送る。
そしていつも思い出す。雨の中、遠ざかっていく親友の背中を。
それからもう二度と恋愛なんてしないと思ってた。
だけど、ちょっと暗い影のある転校生がやってきて、初めてその子が笑顔を見せた時、多分俺の中で何かが弾けた。
(2話)
でも、そんな自分の気持ちに蓋をした。だってその子はその日、俺の大切な友達を好きになったから。(3話)
友情よりも欲しいと思う恋なんてない。だからずっと彼女を応援してきた。友達として。
だけど彼女がその恋を終え、もう障害はなくなったと思ったとき、もう自分の思いが止められないところまで膨らんでいることに気づいた。
それなのに…。
俺はもう同じ過ちは絶対に犯さない。大切な親友を失いたくない。
そのためなら、この気持ちに蓋をすることぐらい、全然、全然…。
「死ぬなよー!」
いつもの別れの挨拶の声をかけて、しばらく去っていく二人の背中を見送っていた。
仲良さそうに、笑い合いながら歩く二人。
胸の奥がズキっと痛む。
でも、これでいい。
2人とも、大切な人だから。
ただ生きてほしい、幸せでいてほしいんだ。