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彼が朝食用にストックしているというリンゴやオレンジなどを受け取って、包丁で切り分けながら、
「朝にフルーツって、健康的ですね。私も見習わないと」
自分は今日のように寝坊して遅刻しそうになり、よく朝食を抜いて家を飛び出して来てしまうことも多く、少なからず反省しきりだった。
「仕事の効率をはかるためにも、朝は食べておいた方がいいからな」
「そうですよね……」デキる上司は、やっぱり違うなと、改めて尊敬の念を抱く。
「よかったら、出勤時に、君にもカットしたフルーツを持って行こうか」
手を止めて言う彼に、「いえ、そんな……面倒かけちゃいますから」と、首を左右に振った。
「気にしなくていい。カットするだけで、別に面倒でもないから。それに仕事を始める前に、しっかりと食べることも大切だからな」
あったかくて大きな手の平が、ぽんと頭に乗せられて、
「はい……ですよね。では、お言葉に甘えますね」
と、はにかんで答えると、こんな風に他愛のないおしゃべりをしながら、共同作業をするのって理想的な関係にも思えて、また彼への恋心がキュンと募るようだった……。