(ng視点)
鼻を衝く血の匂いに思わず顔を歪める。
床や腕は血まみれで、自分でも流石に切りすぎたと反省する。
(まあ、どうせ見えないし。早めに治療して寝てしまおう)
そう思い立ち上がろうとする。
それと同時に、
『聖来、、、?』
ふいに名前を呼ばれドキリとする。
ゆっくりと振り返ると、
そこには
夕日を閉じ込めたような瞳に
ピンクブロンドの髪をした
長身の男が立っていた。
「美園、、、!?」
思わず声をあげてしまう。
(起こしてしまったのだろうか、?)
「すいませんね、すぐ片付けますから。」
美園のことだからどうせスルーするだろう。
そんなことを頭の片隅で思いつつ
掃除をしようと立ち上がる。
急に立ち上がったせいか思わずよろけてしまう。
するといつに間に隣にいたのか彼が体を支えてくれた。
「ありがとうございます。」
お礼をしつつ彼の腕から離れようとする
が、
なぜだかビクともしない、
「美園、?」
そう声をかけてみるが反応はない。
大人しく離してくれるまでじっと待つことにした。
体感で数分ぐらいだろうか
ようやく彼が口を開く。
『聖来はさ、』
『そんなに俺のことが頼りない?』
そう発せられた声は、
怒っているようにも悲しんでいるようにも聞こえた。
ーーーつづく
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