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第二章 四つの欠片
ドズルとおらふくんは、公園のベンチで銀色のプレートを見つめていた。
「絶対偶然じゃないよね。」
ドズルが言う。
「ですよね。」
おらふくんも頷いた。
二人の持つプレートには同じバラの模様。
そして番号。
ⅠとⅡ。
まるで何かの続きを示しているようだった。
「でも誰がこんなものを……」
その時だった。
遠くから慌ただしい声が聞こえてきた。
「うわぁぁぁ!」
振り返ると、一人の青年が大量の箱を抱えながら走っている。
そして。
ドンッ!
見事に転んだ。
箱が散乱する。
「大丈夫!?」
ドズルが駆け寄る。
「い、痛たた……」
青年は眼鏡を直した。
MENだった。
「ありがとうございます……」
「怪我ない?」
「はい。」
そう言いながら荷物を集め始める。
その時。
一つの箱から銀色の何かが転がった。
カラン。
ドズルとおらふくんが同時に固まる。
「え?」
MENも驚いた。
地面に落ちたのは。
バラのプレート。
『Ⅲ』
だった。
数秒。
全員が固まる。
「え?」
「え?」
「え?」
沈黙。
そして。
「なんで持ってるんですか!?」
「そっちこそ!」
その後。
近くのカフェで事情を話すことになった。
三人の前には三枚のプレート。
Ⅰ。
Ⅱ。
Ⅲ。
綺麗に並んでいる。
「怖いくらい揃ってる。」
ドズルが呟いた。
「これ父の倉庫から出てきたんです。」
MENが言う。
「父さんが亡くなる前に『大事に持ってろ』って。」
「おらふくんは?」
「祖父のスケッチブックに挟まってました。」
「僕は怪盗ローズが落とした。」
「え!?」
MENとおらふくんが同時に驚く。
「怪盗ローズ?」
「うん。」
ドズルはあの日のことを話した。
夜空。
時計台。
落ちてきたプレート。
二人は真剣に聞いていた。
すると。
おらふくんがふと呟く。
「もしかして。」
「ん?」
「怪盗ローズが関係してるんじゃ。」
三人の空気が変わる。
確かに。
怪盗ローズはバラのマークを使う。
プレートもバラ。
そして怪盗ローズが落とした。
偶然とは思えない。
「探してみよう。」
ドズルが言った。
「怪盗ローズのこと。」
その頃。
おんりーは屋根の上を走っていた。
息が荒い。
追っ手がいる。
後ろには黒服の男たち。
「逃がすな!」
怒号が飛ぶ。
おんりーは路地へ飛び降りた。
だが。
ズキッ。
右腕が痛む。
足が止まりそうになる。
「くそ……」
一人だから。
誰も助けてくれない。
いや。
助けを求めていない。
だから当たり前だった。
幼い頃。
父は街の不正を暴こうとしていた。
正しいことをしようとした。
だが結果は違った。
誰も助けなかった。
誰も信じなかった。
父は裏切られた。
母も巻き込まれた。
そして。
二人は帰ってこなかった。
「信じても無駄だ。」
それがおんりーの答えだった。
なんとか追手を撒いた頃には夜明けが近かった。
人気のない広場。
誰もいない。
そう思った。
しかし。
ベンチに誰かいた。
「……?」
おんりーは足を止める。
そこにいたのは。
ドズルだった。
眠そうな顔で欠伸をしている。
どうやら考え事をしていたらしい。
おんりーは変装した状態なので正体はバレない。
そのまま通り過ぎようとした。
だが。
「待って。」
ドズルが声をかけた。
おんりーの心臓が跳ねる。
「何。」
低い声で答える。
「怪盗ローズ知ってる?」
おんりーは一瞬固まった。
「……知らない。」
「そっか。」
ドズルは少し寂しそうに笑った。
「でも。」
「?」
「怪盗ローズってさ。」
ドズルは空を見上げた。
「たぶん一人で頑張りすぎてる人だと思う。」
おんりーの目がわずかに揺れた。
「なんでそう思う。」
「なんとなく。」
ドズルは笑う。
「誰かを助ける人って、自分を後回しにするから。」
その言葉が刺さる。
深く。
痛いほど。
「……知らない。」
おんりーは背を向けた。
「そういうの。」
そのまま去ろうとする。
だが。
ドズルが最後に言った。
「もしその人に会ったら伝えて。」
おんりーは止まる。
「一人じゃなくてもいいって。」
静寂。
おんりーは振り返らなかった。
そのまま夜明けの街へ消えていく。
だが。
胸の奥が少しだけ苦しかった。
その日の夕方。
三人はさらに情報を集めていた。
そして。
森の外れの小屋で。
最後の人物と出会う。
「おー。」
薪を割っていた男が振り返る。
ぼんさんだった。
「何しに来たの?」
「これを探してて。」
ドズルがプレートを見せる。
すると。
ぼんさんは一瞬だけ目を見開いた。
「それ。」
「知ってるの!?」
ぼんさんは黙って小屋へ入る。
そして。
一枚のプレートを持って戻ってきた。
『Ⅳ』
四人が揃った。
運命のように。
しかし。
その時。
誰も知らなかった。
怪盗ローズ――おんりーが今夜。
過去最大の危険に向かおうとしていることを。
そして。
四人が初めて本気で
「おんりーを助けたい」
と思うことになるのを
コメント
1件
ドズルくんとおらふくんがプレートを見つめ合うところから、もう引き込まれました。そこにMENくんが加わってⅢが出てきて「怖いくらい揃ってる」——その台詞、思わず声が出ました。偶然じゃない、何かが動き出してるって感じがしてどきどきします。 おんりーの孤独な背中と、ドズルくんの「一人じゃなくてもいい」は、ああいう優しい言い方で届くからこそ胸に響くんですね。ぼんさんも含めて四人のプレートが揃った場面、運命的でゾクゾクしました。次、どうなるんだろう…!