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オフィスでキーボードの打つ音が響く
こんな時間に会社にいるのは
私かドイツさんぐらいでしょう
🇯🇵「はぁ…今何時だ…?」
午前2時14分
🇯🇵「は!?やば…ッこれ…もしかしなくてもヤバいんじゃ…?」
ことの重大さに気付いたとしても遅い
私はある人と…いや国と約束していた
阿蘭陀。
江戸時代からお世話になっているお兄さんだ
私を気にかけてくれるいい国で
唯一近くに来られても大丈夫な国でもある
🇯🇵「ヤバい…ヤバい…ッ蘭さん絶対怒ってる…ッ」
🇳🇱「誰が怒ってるって?」
上からの圧
デスクに置かれた私の何倍もある手
そしてあかつきには低く、
諭すような声色
🇯🇵「ら…蘭さん……?先に帰ったんじゃ…?」
🇳🇱「何言ってるんだ。一緒に帰ると約束しただろ?
まぁ…”10時に”だがな」
🇯🇵「……ぐうの音も出ません…」
蘭さんは淡々と話していて
声色は全然変わらなかった
その変化の無さに恐怖も覚えるが
それよりも自分が約束を破ってしまったことに
不甲斐なさを感じてる
🇳🇱「…まぁいい。ほら帰るぞ」
🇯🇵「え…?で、でも仕事が…ドイツさんも
頑張ってるのに…」
🇳🇱「ドイツは先に帰らせた。あとは俺らだけ」
🇯🇵「…!そうですか…じゃあ…」
私は蘭さんの大きな手を取り
椅子から立ち上がる
少しフラつくが、蘭さんが支えてくれて
倒れずにすんだ
🇯🇵「ていうか、なんで迎えに?」
🇳🇱「あー……」
数時間前…
プルルル…プルルル…
スマホのコールが鳴ってる
電話…江戸からか?
🇳🇱「もしもし」
🍡「和蘭か?」
🇳🇱「ジジイ、要件はやく言ってくれ
年長者の話に付き合ってる暇は…」
🍡「それが聞いてくれ!!
日本が電話にでてくれんのよ!!」
🇳🇱「…は?まて、今朝の2時すぎだぞ。
なんで電話が繋がらない?」
🍡「知らないよ!!兎に角、日本連れ返して!
連れ返してくれたらかすてぇらやるからの!」
🇳🇱「カステラは俺の……はぁ…わかった」
🍡「おぉ!ありがたやな!!」
そして現在へと至る
🇯🇵「爺様…ッ!!心配性すぎなんですよ…」
🇳🇱「ま、こんな自己犠牲型の孫いたら
心配性にもなるよ、あのジジイは」
🇯🇵「んも~……すみません…」
🇳🇱「もう慣れた。謝るな」
🇳🇱「それに、お前を迎えに行くのは楽しい」
🇯🇵「…?なんでそんな面倒なことが楽しいんですか…」
🇳🇱「……さぁ?なんでだろうな」
迎えに行く、それすなわち”恋人”と言ってもいいだろう
そしてオフィスにポツンと光っている蒼白い光
画面と睨み合っている日本
こいつを見れるのは俺だけだと思うと
胸の高鳴りが止まらなくなる
声を掛けると
上目遣いでこっちを見てくる
手は俺より小さく、声だって少し高い
……schattig
🇯🇵「蘭さんは遠回しに言うからわかりにくいんです!」
🇯🇵「もっと素直になればいいのに…」
🇳🇱「俺より奥手なお前が言うのか」
🇯🇵「……否定できない…」
こんな日常が送れている
楽しい、楽しすぎる
でも、なんだか心臓がうるさい
なんだ…?こんなの初めてでなにもわからない
🇯🇵「……?」
🇳🇱「日本、どうした?」
🇯🇵「あぁ…すみません。少し…
胸がドキドキしてまして」
🇯🇵「歩いていればいつか収まりますよ。」
🇳🇱「そうか。無理はするなよ」
🇯🇵「恐れ入ります、すみません」
何分か歩いたのち、自宅へ着いた
…いや、実家に着いた
格子戸が、が らがらと音を立てて開く
靴を脱ぎ蘭さんと一緒に土間へ入る
🍡「日~本!!!」
🇯🇵「ぐぇ…ッ爺様…苦しいです…ッ」
🇳🇱「ジジイ、離れぇ」
実家がこんなに賑やかなのは久しぶりで
なんだか私の中に高揚感がある
蘭さんがいてくれたなら…
残業してて良かったかもと
少々思ってしまった。
この時間が…もっと
もっと…続けばいいなぁ…