新しいクラスは賑やかだった。
中学校が同じで、元々仲が良い人たちのグループもあったし、初日早々で仲良くなってその人たちで集まっているグループもあったが、心のようにまだ友達はできずじまいの人もいた。
「ここが、新しいクラス…。とりあえず、私の席どこ?」
黒板に貼ってあった座席表で自分の席を見つけ、そこに座る。
朝のチャイムが鳴る5分前。
「おい、新入り。そこ、俺の席だ。」
「えっ?」
机の角をよく見れば、そこには「木原田心」ではなく、「小山雄二郎」と書かれていた。
「え、あ…ごめんなさいっ…」
「別に謝ってほしいわけではない。早くそこをどけと言ってるんだ。」
男の子の眼を見た瞬間、心はあることに気づいた。なんとその子は、さっき教室まで案内してくれた男の子だったのだ。
「あ、うん、分かった」
心は正しい方の席に着いた。
そして、朝のチャイムが鳴って、今年のこのクラスの担任らしい教師が入ってきた。
「このクラスの担任をすることになった、藤野香蓮です。1年間よろしくお願いします。」
穏やかそうな女の教師を前に、心は少しだけ緊張をほどいた。
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