終戦から2時間後、雪の無事が確認された、ロシアのカリ島で現地警察官に保護されていた。これから二つの世界は元の生活に戻るべく、大変な道筋を通ることになる
これからも貢献していこう、世界を立て直すために
クライス達は異世界へと帰還し、こう宣言した
「全ての人間を、あちらへ引き渡す」
そして2週間後、異世界へ誘拐された全ての人間が家族の元に帰ってきた
勿論、死んでいった人間も多数いる。
だが、エルフたちが人間の尊厳を認めた。これだけでも平和への第一歩は歩けたのではないか、そう思うことにした
4月2日 AM8時 浪野探偵事務所
綺麗になったソファで目を覚ますと、雪が事務所のキッチンで目玉焼きを焼いている
雪「起きた?おはよう」
悠「何だよ、起きてたのか」
おれは眠たい目を擦り、ソファに腰かけた
俺はテレビのリモコンに手を伸ばし、テレビをつけた
ドキュメンタリー番組が映り、そこには異世界に誘拐された被害者の死亡が確認された、遺族をテーマにした番組だった。
遺族父親「なんで…うちの子だけ…戻ってこないんでしょうか」
遺族母親「なんであの子はこんな目に遭わなきゃならなかったの?」
おれはそれを見て言葉を失った
いくらエルフが人間を解放しても、死んでいった人間はもう戻ってこない
本当に?
本当に諦めるしかないのか?
一つだけ、ある。
全部なかったことにしてみんな生きることが出来る手段が
雪「はい、朝ご飯出来たよ!」
悠「あ、あぁ、ありがとう」
俺たちはテーブルで朝食を食べた
悠「雪、いつもありがとうな」
雪「なぁにー?急にどうしたの?」
意外な言動にクスクスと笑い、俺に聞く
悠「いや、何でもないんだ」
雪は職場に泊ったおれを心配して朝食を用意してくれることがある。
そのまま雪は福祉の仕事に出かけた
俺は椅子から立ち上がり、大きな鉄の箱を床から取り出した
カチャリと箱を開けると、そこにはリボルバー拳銃と異世界で入手した、モシンナガン、クロスボウガン、防弾チョッキ、そして多くの弾薬が詰め込まれていた
俺はスーツジャケットの下に防弾チョッキを着て、モシンナガン、クロスボウを背中に背負った
拳銃と錆びかけのポケットナイフを自身のポケットにしまった
装備を終えた俺は深呼吸をして、宣言した
悠「リンク」
俺はカイラと話をするため、異世界へと渡った
アルタイル王国 スモーク山 墓地
春が来たアルタイル王国、桜の咲く丘の墓地でカイラはお参りしていた
悠「よう、平気か?」
カイラ「あぁ、お久しぶり、探偵さん」
カイラは墓石の前でしゃがんだまま振り返った
悠「相談があるんだ、君にしか頼めない」
俺の真剣な目を見てカイラは立ち上がった
悠「俺を900年前に飛ばしてほしいんだ」
カイラ「…何だって?」
カイラは聞き返した
悠「要は奴さえいなければ、エルフと人間は争わずに済んだんだろ?」
悠「ファーストクライスさえいなければ、こんなに犠牲者を出すこともなかったんだ…その時代に飛んで奴を殺すことの出来る手段があるなら、おれは”それ”を選択したい」
カイラ「まさか…あんた…」
カイラ「考え直してくれ、探偵。やっと訪れた平和だぞ?あんたもやっと取り戻したじゃないか、雪を」
悠「…」
カイラ「俺はもうタイムトラベルを使えない。」
悠「え?」
驚愕の事実に驚いた
カイラ「医者から、これ以上神に匹敵する魔力を使うと死んでしまうと言われてな」
カイラは続ける
カイラ「仮に時空を超えてファーストクライスを殺せても、もうクライスやおれは生まれてこない。他に別世界線で何が起こるかわからないんだ。」
カイラ「それに探偵、あんたが奴を殺しても、世界線や時間軸がずれるだけで、ファーストクライスが暗躍した俺たちの今の世界線はこのまま変わらない。」
カイラ「いいか、タイムトラベルを使えても、あと”一回限り”だ。勿論迎えにも行けない。そして一度時空を超えたら、もう二度とこの世界線に戻ることはできない。」
カイラ「それでもいいのか?」
悠「…構わない、けどあんたの身体は持つのか?」
カイラ「一度だけだ、なら持つはずだ」
悠「やってくれ、もう覚悟はできてる」
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