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どうも
何にも考えずにつくりました。おかしくってもあんまり気にしないでください!
フォーク🐮✖️ケーキ(淫魔)🐱
⚠︎色々注意!!!!!
「…おぇ」
今日もゴミ箱を手放せない。昔からそうだったし、慣れてるはずなのに、全然ダメ。
ぴちゃ、べちゃ
口から吐き出されていく嗚咽と今朝食べたお粥。食べても味なんてしないけど、まあ食事は取らなきゃ死ぬから。
「…あ゛〜、っんん゛」
毎日喉が胃液のせいで枯れる。痛すぎだわ、これ。最近声がハスキーになってきた気が…はあ、
この世界には“バース”というものが存在する。
フォーク、ケーキ、普通の人間という3つの人種がいる世界で、フォークの人間は何を食べても味を感じないが、ケーキの人間だけはとても美味しく食べられるという。まあなんとも残酷な話だ。自分がそうでなければなんの問題もないのだが、ご生憎様俺はフォークだ。生まれてからすぐ味覚を失った。おかげさまでご飯が何もかも不味い。
「はーぁ、もう夜は食わなくていいか…どうせもどしちまうし」
もう疲れたよ。毎日食べたらすぐ吐くし、喉が痛いし、食欲も失せるわでも腹は減るわで腹が立つ。
「ケーキとか、普通の奴はいいなぁ、味はもちろん感じれるし、匂いだってある。羨ましいこと限りねぇわ…」
…まあ羨んだって変わらないんだけどな。
「…12時50」
そろそろ1時だ。ということはそろそろアイツが来る。つっても時間にルーズなヤツだしどうせ30分は遅れてくる。気長に待つかな。
「…準備しよ」
吐瀉物が入ったゴミ袋を括って裏口のドアを開ける。そのまま家の外のゴミ箱に入れる。気温が上がり続ける外はただ立っているだけで汗が滲む。
「(ケーキ、だったら汗も味すんのかな)」
頭を振って、汚い考えを外に投げ捨てた。
「うぃ〜す。ごめんうっしー!遅れちったぁ」
「おせーよ、何時間遅れ?」
ごめんごめん、とケタケタ彼は笑うと片手にぶら下げていた某コンビニの袋を大袈裟に机の上に置いた。
「うっしー!これで機嫌なおして!!!」
「はあ?」
キヨはガサゴソ探ると2つ入りのケーキを取り出した。うっわ、しかもまあまあ高そうなやつじゃん。
「家出た時にはもう遅れてたからさぁ?吹っ切れて買ってきたんだわ!」
「なんだよそれ」
俺の不満そうな顔にキヨはクツクツと喉の奥で笑うと、「食いたくねぇの?」とニヤつきながら言ってきた。
…実際食いたくはねぇな。
まあそんなこと言えるはずもなく。しょうがないな、とでもいう表情をしてフォークと皿をを取りにキッチンに向かった。
2つ、金色のフォークを持ってリビングに向かうとキヨはもうケーキのフィルムを剥がして待っていた。
「あとは皿におくだけ〜!俺ってやっぱ有能??」
うざったらしく笑うキヨにはいはいと適当にあしらう。器用にフォークでケーキを皿に移すとキヨはうぉー!と声を上げた。たったそれだけなのに、なんか子供だなキヨって。
「うっしーってやっぱ器用だよね〜」
「そう?そんな気はしないけど」
またまたぁ、と嬉しそうにいうキヨを横目にひとくち、大きくケーキを頬張った。
…うん、やっぱ味はねぇ。むしろ気持ち悪い。柔らかいプラスチック食べてるみたい。
「…どーしたのうっしー。まずかった?」
俺が思っていた以上に自分は顰めっ面をしていたようで、キヨは心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「いや、別に。甘すぎて」
「ん?…そお?すっごい甘くはないと思うけど…」
まじか、見た目からしてゲロ甘そうじゃん、これ。しくじった、と目を伏せるとなぜか、どこかからいい匂いがし出した。
甘い、美味しそうな匂い。もう何十年も嗅いでいない、この匂い。
「………、?」
「…ん?どーしたのうっしー、なんかあった?」
「いや、っ?」
あ、コイツだ。コイツからするわ。
よくよく見るとキヨの首筋には汗がつたっていた。あ、これか。
なぜか頭は冷静に判断する。だけど体は全く制御がきかない。やばい、なんて思っている頃にはキヨの肩をがっしりと掴んでいた。
「…え、ぁ?いや、なになになにwちょ、怖いんだけどww」
「は、っごめんな、嫌だったら俺が、気絶するまで、なぐれよ」
「、なんのはな、っしぃ?!」
がりっ、
気づけばキヨの首筋に噛み付いていた。強く噛めば血は出る。キヨは痛みで悶絶しているようだが俺はそんなの気にしない。いや、気にする余裕がなかったというべきか。
べろ、と舌で血をなぞる。その瞬間、舌に甘い甘い、恐ろしいほどの刺激が走った。
「…あまい」
「っぅ、なに、や、めっ」
もう一度、場所を変えて噛む。血が滲む。血を吸う。
「…は、ははっ、やば、これ…」
「ぅ、ひぃ、うっし、やめ、」
止められない、止めるはずもない。だって何十年もの間感じることができなかったんだぞ?そりゃこうなるよな。
ギリギリと俺はキヨの肩を掴む。ふるふるとキヨは細かく震えている。怖がってる。そんなことはわかるのに、やめることはできない。
「…っまじ、!いいかげんに、しろっ!!」
ぐぐぐ、とキヨの手が握られたかと思うと、どんっ!と俺は突き飛ばされると壁に背中をくっつけた。
「って、」
「痛いは俺のセリフだわっ!なんだよお前、いきなり…!」
「だって、お前がおいしいから………….すまん、頭冷えてきた」
はあ、とキヨは怒りに満ちた顔で俺を睨みつける。だけどその顔からすぐ、慈愛に満ちたような顔つきに変わる。
「…そっか、うっしーってフォークだったんだな」
「…そうだな」
「…可哀想に、味もないご飯ばっかり食べてたんだね、」
「……それがなんだよ」
「それだったら、俺が感じさせてあげる」
は?と間抜けな声が出た。それでもアイツはフォークをもって、ケーキを彼自身の口の中に入れた。
暫く咀嚼すると、キヨはこちらを向いて、手招きをした。
「……」
俺はその誘いに乗って、体を寄せる。
と、キヨの顔が俺に近づく。スローモーションのような遅さで近づいてくると、唇と温かいものが触れた。
「…ん、」
ひらけ、とでもいうように言葉で指示をしてくる。大人しく口を開くと、ドロ、と何かが入ってきた。随分ドロドロとしているそれをまた咀嚼した。
「……あま、」
俺はキヨの頬をグッと掴み、もう一度乱暴に唇を引っ付けた。ん゛っ、と声が聞こえたが関係ない。口に入っていたケーキ、それとキヨ自身の唾液を味わうように何秒も、何秒も引っ付けた。
「、んっ、ぐ…んむっ」
ばし、と軽く背中を叩かれる。
顔を離れると、やけに瞳を蕩けさせたキヨがいた。
「ぅへ、どお?あまいでしょ、?俺、ケーキだよ…」
にこり、というよりもにやにやしているキヨ。
ケーキ、ケーキ?ああ、通りで甘いわけだわ。
「もうひとくち、いかが?」
甘い、甘い誘惑。脳が痺れるほどの快感。なんだか、俺はおかしくなったようだ。
「(…あれ)」
キヨの背後、というよりもケツあたりにゆらゆらと揺れる何かがあった。
「…あはっ、気づいちゃった?」
すると、キヨはばさり、と黒い黒いコウモリの羽を広げた。
「…知らなくってもよかったんだけどなぁ。さっさと気絶させるべきだったか…」
ちっ、と喉奥で軽い音を鳴らすと、またにこりと笑った。その笑みさえも、なんだか、妖艶で…。
「いーっぱい楽しもうね?美味しく食べてね?」
「その代わり!俺にも味わせてね?うっしー!」
机の上のぬるくなったケーキが、床の上に転げ落ちたフォークが俺たちを見つめた。
「(俺、とんでもねぇやつ引き寄せたな)」
このいやしんぼ
そんな言葉は出なかった。
結局はくいしんぼといやしんぼ。