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真夜中、警報が鳴った。


「組織本部より通達。0415・0812──反逆認定。速やかに排除せよ」


その通達が下された瞬間、

翠と栞の存在は“抹消対象”に変わった。


かつての仲間たちが一斉に動き出す。

彼らを裏切り者と見なし、殺すために。


「……来るぞ、栞」


「うん」


ふたりは廃ビルの一室に潜伏していた。

そこは元・隠れ家。かつての任務で何度も使われた馴染みの場所。

その壁には、栞の最初の銃痕が、今も残っていた。


「……ここ、最初に私が失敗した場所だ」


「お前、壁に撃ったのは失敗じゃねぇ。命を選んだ“最初の証”だ」


栞が小さく笑う。

そして銃を手にし、黙って頷いた。


そのとき、足音。


「いたぞ──!」


飛び込んできたのは、

かつて任務をともにした、第二分隊のエース・亜門(あもん)。

精鋭部隊の中でも、射撃精度・情報戦ともにトップクラスの男。


「翠、栞──」


その口調に、戸惑いが滲んでいた。


「……本当に反逆したのか? 冗談であってくれ……」


「俺はただ、お前らに“選ぶ権利”があるって教えたかっただけだ」


「そんな理屈は通じねぇよ! 俺たちは……ずっと一緒にやってきたじゃないか……!」


「じゃあ、俺たちが“生きる”って決めた選択も信じてくれ」


「信じたら、俺が死ぬ!」


引き金が引かれた。


銃声。火花。壁をかすめる弾丸。


即座に反撃したのは翠だった。


「……やっぱ殺気がねぇな、お前」


「うるせぇ!!」


再びの乱戦。


だが、明らかに“殺すための撃ち方”ではない。

それはどちらも同じだった。


(──撃ちたくない。けど、殺されるわけにはいかない)


ふたりの中に、そんな共通の迷いがあった。


***


戦闘は数分で終わった。


亜門は倒れ、意識を失っていた。

急所は外され、命に別状はない。


「……ありがとう、栞」


「……ううん。最後まで撃てなかったのは、私のほう」


ふたりは亜門の身体を隠し、救助信号を発信させてからその場を離れた。


「これからもっと来るぞ。俺たちを知ってるやつらが、“俺たちを知らない顔”して撃ちに来る」


「……でも、それでも撃ち返す。生きるって、そういうことでしょ」


「……その言葉、似合うようになったな」


「え、何それ、バカにしてる?」


「褒めてんだよ。俺の“共犯者”」


ふたりは闇の中を駆ける。

次に待ち受けるのは、もっと深い裏切りかもしれない。

けれど、それでも。


もう戻らない。

もう黙らない。


命令に従うだけの殺し屋ではなく、

選んで、守って、信じる道を歩く。


──それが、翠と栞の戦い方だった

殺し屋のバディは世界一イケメンです

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