テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『愛重恋愛-アイジュウ レンアイ-』〜愛が彼を狂わせる〜
第7話 悪魔は目を覚ます
『ロノ君!アモン君!!』
裏山を駆け抜け、目に入った光景は――。
『…おや。ルカスさん♪血相変えてどうしたんですか?』
『っ…ベリアン…。2人に何を……っ!』
『…あぁ。これ、ですか?2人に施しを与えただけですよ。主様と私の関係が偽りだと罵られたので……逆鱗に触れたので。』
『っ、アモン君!ロノ君!』
私は2人に駆け寄る。
『――。』『――。』
『そんな…っ。』
(息をしてない、脈もない…。)
『っ、本当に2人を……っ。』
『えぇ。私の手で殺しました。もっとも苦しい死に方で。』
『なんで…なんでこんなことを…君はそんなことる人じゃなかったはずだ。』
『…そうですね。強いて言うなら私を変えたのは主様ですね。あの方の魅力が……私を狂わせるのです。』
『主様が……?』
『はい。あの方に心を奪われて、恋に落ちて決めたんです。この方を私だけのものにしようって。』
『っ、主様はものじゃない。私達の特別な主様だ。この命をかけて……守りたい人だ。それは私たちも君も同じのはずだよ。』
『……いいえ。違いますよ。私のは愛。ルカスさんは忠誠心。守りたいという気持ちも愛も私の方が上です。誰にも負けるつもりはありません。』
(ダメだ……今のベリアンは話が通じない。)
『それより、お2人のことを気にした方がいいですよ?』
『……アモン君、ロノ君…。』
私は2人の瞼に手を添えて目を閉じさせる。
『……。』
『2人とも最期まで言ってましたよ……』
『ぐはっ!』
『撤回すれば楽に殺してあげます。ほら、撤回してください。』
『っ、嫌っです……。こんなの、主様は望んでない……っ。俺達がいなくなったら主様は悲しむ…。』
『…2人が居なくなっても困りません。さよなら、ロノ君。』
グサッ!
私はロノ君の急所に双槍を刺す
『はぁ、はぁ……っ。』
俺は胸に手を当てる。
『出血が酷いっすね…これはもう助からないっすよ。』
『あぁ…可愛い後輩を2人も殺すなんて胸が痛みますよ。ふふ、アモン君は赤色が似合いますね。』
『っ……。ベリアンさんの思い通りには…絶対にならないっす。主様は…絶対にベリアンさんを許さないっす、絶対に――!』
グサッ!!
『……主様が私を許さない?ふふ、そんなことありません。主様は私の事が好きなんですから。』
『……。』
私は鎌を構える。
『…ルカスさんと本気で戦うなんて何千年ぶりですかね。』
『…2人の仇は私が取る。君を許さない。ベリアン。』
『…ふふっ。あはははっ!!いいでしょう。貴方に私を殺せますか?ルカスさん。』
『っ……。』
3階執事部屋。
ガシャンッ!!
『え……?』
『ルカス様のお気に入りのワインが割れた…?』
僕はワインの破片を拾う。
『ルカス様……?』
僕は曇かがった空を見上げる。
『ラムリ…?どうしたの?』
割れた音で主様が起きてしまう。
『あ、いえ、ルカス様のお気に入りのワインが割れてしまって…。今片付けますから。』
『…。』
私は嫌な予感がしてベットから飛び起きる。
『ルカスが…危ない。』
『え?』
『っ、助けに行かなきゃ……』
バタンっ!
疲弊した体は上手く動かない。
『ダメですよ無理したら!』
『ダメ!!今行かないと手遅れになるの!!』
ガチャ!
『騒がしいが何かあったのかラムリ。』
『主様?まだ安静にしてろ。』
『ハウさん!ボス!』
『離して!お願い行かせて!』
『どうしたんですか主様。』
『ルカスが、ルカスが危ないの、早く行かないと…!!』
『…わかった。連れて行ってやる。』
俺は主様をお姫様抱っこする。
『おい、ボスキ!』
『主様の命令に従うのが俺達執事だ。違うか?ハウレス。』
『っ、分かった…。主様、俺も付き添います。』
『行くぞ、ハウレス。』
『ラムリ、お前はみんなに知らせてくれ。』
『う、うん!』
ダッダッダ…!
私はベリアンに貰ったネックレスを握り締める。
(…これを貰った時から覚悟はしてた。ネックレスは相手を所有し、縛りたいという意味。
ずっと一緒にいるという証…。私のネックレスについてる宝石はベリアンの瞳の色。
そして彼のネックレスの宝石も私の瞳の色。付き合った記念日に2人で作ったものだから…。)
『…ベリアンが望むならずっと一緒にいてあげる。』
次回
第8話 手にかけてしまった愛の印