テラーノベル
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館での暮らしにも慣れたし、そろそろ実家の片付けを考えたいんだけど、何から手を付けていいか全然わからない。一応、本とか思い出の品とか、残しておきたいものだけ選り分けて館に持ってきて、あとは売るなり捨てるなりしたいなとは思ってるけど……。 ヤカに相談したら{まず、館のどこに実家からのものを置くか決めてはどうだろうか}と言われた。それはそう。
で、午前中に2人で館の部屋を見て回って、どこに置くのがいいだろうと相談しあったんだけど。いろんなものをまとめて置いとける部屋、なかなかないなあ。使わない部屋はたくさんあるんだけど、やっぱり長年人が住んでただけあって、どの部屋にも家具がそこそこあって、まとまったスペースがない。
ビリヤードルームを見て、私はボヤいた。
「このウイスキーコレクションがなかったら、いい感じのスペースが空くのになあ……」
もともとは、お酒を嗜みつつビリヤードをやる部屋だったみたいだけど、そこにびっしり棚を創設してあって、高そうなウイスキー瓶がギッシリ。ほとんどが未開封。
{ウイスキーについては、私が摂取して処理することはできるが、入手した値段からすると、それはあまりにももったいなさすぎる}
「そうよねえ、でもこの量だと売るのも手間だし……」
どうしたもんか。
お昼ご飯の時、矢車ちゃんと薄荷ちゃんにも話を振って、実家の荷物の運搬と整理は快諾を得たものの、スペースのなさはやっぱりどうにもできないみたいだった。
「ご実家のものを入れるためのお部屋の整理なら、いくらでもできますけど」
「本気出せばそこそこ力仕事できますしね、私たち。どうしますか?」
「そうねえ、まず館の方の整備が必要よね……まず、候補の部屋を選ばなきゃね……」
どうしたもんかなあ。
九さんち産の栗の炊き込みご飯をもぐもぐし、セリとお揚げの煮物をもぐもぐし、シーフードミックスと白菜の生姜炒めをもぐもぐし、エネルギーを補給しつつ考えても、なかなかいい案が出なかった。まあ、1階の部屋の方が荷物運びやすいから、1階の部屋の中から選ぶべきだと思うけど。
とりあえずお昼ご飯を終え、舘に戻り、自室でのんびりしつつ庭の写真をSNSにあげてヤカに喜ばれようと考えたとき、視界の端にチラッと赤いものがよぎった。
「ん?」
なんだろ?
すると書斎の扉がひとりでに開き、そして閉まった。
「え? ヤカ何かした?」
{いや、何も……というか、おかしい}
「え?」
{誰もいないのに、書斎の床を踏んで歩いている者がいる}
「!?」
何!? また強盗!?
「あ、あわわわわ、ヤカ、ごめん、助けて!守って!」
{いや、踏む重さからして、せいぜい子供だ}
「子供?」
矢車ちゃんが「あの」と私に声をかけた。
「多分、人間じゃないです」
薄荷ちゃんも言った。
「妖怪とかその類……いわゆる、人ならざるものです」
コメント
1件
いやあ、日常のほのぼのとした片付け話かと思いきや、最後の“誰もいないのに床を踏んで歩く者”で一気に不穏な空気に! しかも「せいぜい子供」「人間じゃない」って畳みかける展開、めちゃくちゃ引き込まれました。ヤカの冷静な対応と、矢車ちゃん・薄荷ちゃんの確信ある口調の対比が絶妙で、続きが気になりすぎます!
6
マキ
100
#あやかし
がくじゅつてき・あかげ
1,186
ねこさん⛄️
3,517