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「す、すみません、取り乱してしまって·····。大丈夫です」
「そうか」
取り敢えず落ち着きはした。が。
「あの·····苦しいいです」
そう。落ち着いたのはいいが、別の問題が発生していた。
取り乱した私を落ち着かせるために、なら仕方がないと思える。でも、大丈夫と云ったにも拘わらず抱きしめられたままなのは如何なものか。
そうしている間にも爆発は近づいているし。
「·····中也さん、本当に急いで逃げないと!だから」
「よし、脱出するか」
「えっ!?如何やって?と云うより、離して下さ·····わっ!」
私が問いなどに答えてくれることも無く、中也さんは扉を開けて廊下に出た。と思えば、壁目掛けて蹴りをかました。見事に粉砕。外の景色が善く見える。
と、体が軽くなった。
「しっかり掴まってろよ」
「え。真坂·····」
そして、私を抱えたまま迷いなく、飛んだ。
因みの此処は、五階。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
私は恐怖のあまり、思い切り中也さんに抱きついていた。
「もう二度と突然飛び降りないでくださいね!!!!!」
私は怒っていた。
なにせ、何の前触れもなく突然飛び降りられたら、余程の変わり者でなければ誰だって怒りたくなるだろう。私は普通だ。
「飛び降りだけでなく、危険を伴う事をする際には一言云って下さいよ!絶対ですからね!!」
怒り方が必死過ぎるかもしれないが、私はそうは思わない。何故なら·····
「·····お前、怖かったのか?」
「そ、そんな訳、無いじゃないですか!!あれ位の高さなんて、全然平気です!!!」
「怖かったんだな」
そう云って、中也さんは私の頭に手を乗せてニヤニヤしてきた。おまけとばかりに、ぐしゃぐしゃと撫でてもきた。
「何ですか、止めてください!」
「いや、可愛いとこあんなと思って」
「·····子供扱いは止めてください。そう云うからかい方はモテませんよ」
「なっ·····!」
「ふふっ。随分と仲が良ろしいこと。けれど、何故貴方達は此処に居るのかしら?確かに爆発音は聞いたのに。真坂、本当に脱出したと云うの·····?」
振り返った先に居たのは、先ほどの余裕な笑みではなく、困惑した表情の、黒い着物を着た女性。
「夕稀、さん·····」