テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ジェード王国の片隅に小さな村点々と存在していた、そこの「K」の称号を持つ領主「チェーン・K・ミルク」は子供に恵まれず、妻にも愛想尽かされたという。終い目には、村人に「領主様のお子様は死産になられお加減を悪くされた」などと噂をさてられる始末。しかし、ある日の早朝、1人の男が訪ねてきた。手紙を持ったずぶ濡れのその男は懐からずぶ濡れの手紙をその領主に渡した。かろうじて読めたその手紙の内容はいないはずの娘に婚約を申し立てるものだった。
地下、光も何も入らない部屋で僕《呪われた姫》は閉じ込められていた。誰にも会わせないためだろうか、この部屋には全て整っていた。食材も、家具も全て揃っていて。小説も週に1度5冊ほど買って来てもらうので、かなり重宝はしてもらっていた。ただ、親は娘とは思っていないようで、誰も僕のことを知らない。まるで最初から存在していなかったかのように扱われていた僕……。そんなある日、いつも通り顔を固形石鹸を手で溶かしたもので洗っていると。部屋をノックする音がが聞こえた。ガチャリと扉が開き、綺麗に団子にされた髪、綺麗に整った制服、そして僕より断然高い身長。侍女のリリィだった。にしてもリリィが来るとはいつぶりだろうか、全てひとりでしているせいで全くと言ってこの屋敷の侍女に会ったことがない。すると、リリィが僕宛ての手紙を渡してきた。宛先は「呪われた姫様」と書いていた。内容は僕への婚約の申し立てだ。相手は……「祝福の王子」様……。なぜ?そう思うまもなくリリィは口を開き少し躊躇うが、
「お嬢様、この婚約受けるようにと領主様から伝言を預かっております。」
と少し申し訳なさそうな顔で言う。しかし、祝福の王子と呪われた姫が婚約など……。
世間的には呪われた姫はどこの娘とは言われていないが、外見は公表されていた。よって、僕は外出の時はウイッグを外していた。理由は、僕は呪われていても外見には出ていないため。そのため、僕が公表されるまでは家ではウイッグをつけて呪われているフリをしろと言われていた。まるで僕の居場所を無くすかのように、父親は動いていた。
祝福の王子は、女神に魅入られた王子。僕と同じ歳の男の子。でもただの王子ではない。地位も名誉も何もが我がものにした王子だ。到底僕が釣り合う相手ではない。そう思っているのに、心は喜んでいた。今度こそ僕を見てくれる人かもしれないと、そう思ったのだ。しかし、世間的にはやはり認められないだろう。親は厄介払いができていいのだろうが、僕は下手したら奴隷となってもおかしくない。というかそれは嫌だ、断じて拒否をしたいところだが。僕にはなんの権力もない。
最後まで文章を読もうと手紙に再び目を向けると。面談したいと言う申し出があった。そしてその日程は……、今日だ……。しかも時間的にはもう30分もない。慌てて寝巻きから、ドレスへ着替えると。もう20分もなくなってしまった。慌てて上に行く途中で、魔王「ヒルデン」が声をかけてきた。「間に合うの?」と嫌味を言うように笑いながら言うので。「うざい!間に合わせんだよ!」と声をはりあげて言うと。「ちなみに、あんたウイッグとカラコン忘れてるよ」と魔王が今更なことを言うので、慌てて下に駆け下り。ウイッグとカラコンをつけて再び、応接間へ行くと。もう20分も遅れていた。すると、廊下の奥の方から声が聞こえた。1人……?いや……。もしかするとと思い。魔聴を使い聞いてみると……
「うるさいよ!僕は呪われた姫と婚約するんだ!」
と王子が言っている相手をよく聴く と女神だった。女神はこっちを見るやいなや姿を消し。王子はこちらを見て居た。そして王子は、顔を真っ赤にしてこちらへつかつか歩いてきた。そして僕を見て手を取り。
「可愛い!君!呪われた姫かい!?」
と言っていた。訳が分からない。この王子はなぜ僕を見ても怖がらない。そう思って僕は王子を突き飛ばす。そして、できるだけ笑顔を心がけ
「ご機嫌麗しゅう、王子様。私、シュリア・K(カード)・ミルクと申します。今回の婚約の申し立て、何かの間違いと思い。なかったことと……」
「間違いではないよ?」
と続けて言おうとすると、王子様は被せてきた。少し不機嫌そうな声に僕は「はぁ!?」と大きな声を漏らしてしまう。王子は少しにこりと微笑み王子は僕を壁に追い詰め
「僕が、君を好きだということは変わらないのだよ?政略結婚でいいとは思っていたのだけれど、やはり、君でないといけないと考えてしまったのだよ」
そう言って、僕の顔は真っ赤になってしまう。そして、王子が僕の顎をもつや否や口を近づけようとしたその時。女神が王子の首根っこを掴み。不服そうな顔で。
「まだダメ。」
と王子を引っ張った。王子は子供のようにじたばたし、ムスッと頬を膨らませ。女神の方を向かずに。
「だって一目惚れなんだよ!?キスしたくはならないのかい!?」
この王子は軽いのだろうか。僕の意見を考えていないかのような……。そう思い、王子の股間を思いっきし蹴った。そして悶える王子に僕は。
「僕は、僕より強い男でないとなびきません。それでは、失礼いたしました。」
と冷静に言いその場を後にしようとすると、後ろから女騎士が切りかかってきた。僕は闇魔法で、結界を貼り。女騎士の攻撃を防いだが、女騎士はものすごい形相で睨み後ろへ飛び、何回も結界に切りかかっていた。すると、王子様が起き上がり。
「ふっ、威勢のいい女の子も嫌いじゃないよ!」
と鼻血を垂らしながら言っていた。この期に及んで興奮しているのだろうか。……変態だ。そう思いながら、結界を女騎士に向かい投げ。呪剣を取り出し、女騎士を追い詰め。振りかぶり女騎士の真横へぶっ刺した。こんな僕でも人を殺すことだけはしたくない。呪われた姫に、人殺しの姫……なんて異名などつきたくない。そして、そのまま自分の部屋へ戻り呪剣を取り消した。あの王子は一体何を考えているのだ。僕と……僕と婚約したいなど……
照れてしまう……。