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どーも


昨日の続きですわ




引っ越してきた🦀✖️隣人🐱


どうぞ!!
















おそらく数時間後


ばりんっ!

きゃあぁぁぁぁっ、うわぁっ、ぁああ゛あ゛あ゛っ!!


いきなりの轟音と喚き声にとろとろしていた意識が覚醒した。


飛び起きて時計を見てみると午後5時。やば、凄い寝てたじゃん。


って、そんなことよりも、音の正体の方が問題だ。隣から聞こえてきた、それはわかる。普通に考えれば何か物を落としただけだと思うのだろうが、今回はそのあとが問題。あれだけの悲鳴を上げるのは絶対何かあっただろ。女性のように甲高い声、そのあとすぐに子供のような声、しかも泣き叫ぶような。


…子供、いるんかな?

いや、それはないか。指輪とかつけてないし、しかも奥さんとか見たことないし。


じゃあなんだ?


…ぐすっ、うわぁぁぁぁぁあ、ずび、うぁぁあ


また聞こえた。流石に心配すぎる。


ベットから急いで立ち上がり、玄関に向かう。やや乱暴に扉を開けると隣のドアの前に立ってチャイムを押した。


…出ない。2度目、また押す。…それでも出ない。


どんどんっ。扉を叩くが特になにもなく、軽く引けばそれはなんの抵抗もせずにゆっくりと開いた。


「…開いた、セキュリティどーなっとるん…」


玄関で雑に靴を脱ぎ、廊下を急いで進む。リビングの電気は付いておらず、ドアを開けるとシンとした空気だけがおれを迎え入れた。


…いない。幻聴?いや、なわけ…


どんっ、

どこかから鈍い音が聞こえてくる。


…風呂場?かな、?


音がした方に走って行ってみると、そこには全裸で倒れている彼がいた。周りには血に濡れた剃刀と、使用済みの…ゴム。床に血が流れていて嫌な予感がした。ゆっくりと視線をずらすと深い、骨まで見えるのではないかと思うほどの腕の傷が何本も。


口を覆う。匂いが凄まじい。グロテスクな光景に思わず目を塞ぎたくなる。


「…救急車、呼ばないとやばいよな、」


震える手でスマホを取り出すと洗面所に向かいタオルを引っ張り出す。彼の腕にそれを押し付けた。昔習った気がする、止血方法だ。片方の手で緊急連絡先に電話をかける。そして何回かのコールが鳴ったあと、男性の声がした。10分後にはきてくれるようだ。


「キヨ、くん。もう少ししたら救急車来るから、頑張って」


幸い息はしているようだが不規則で、荒れている。呼び方なんて今はどうでもいいから、どうにかして生かさないと。


「ひゅ、は、は、ひゅー、っ、は、」


苦しそうに必死に息を吸い続けている…このままだったら酸欠で死ぬかも。血は止まったかな、だったら、とタオルをのけるがまた血が溢れてくる。相当深い傷だ。


ごめんな、と謝りながら口を手で覆う。ぎゅっと力を入れて息をこれ以上吸わないように。苦しそうに身を捩ると目から涙がたくさん。


見ているこちらが苦しい。でも生きてもらうためだから。


暫くするとやっと呼吸が落ち着いてきた。それにもう少し遠くだが、救急車のサイレンの音が聞こえてきた。タオルを濡らす血も大体は止まったようだ。安心すると体の力が抜けてくる。


ドアが叩かれる。来た。よかった。取り敢えず扉の前までは連れて行こうとバスタオルでキヨくんを包み、抱えて横抱きする。綺麗な顔がおれの肩に寄りかかってきた。


その後担架で救急車内へと入って行ったのだが、なぜか付き添いをお願いされた。まああんな風に出てきたのなら恋人同士のようにも見えないこともない…のか?


数時間後、彼の意識はまだ戻らないようだ。俺はただの隣人であることを看護師さんに伝えると微妙な表情をした。


「…では電話番号を教えてくれませんでしょうか?キヨさんの意識が戻りましたらまた連絡いたしますので」


「…はい。」


結局電話番号を教えてしまって、家に帰った。もうそろそろ8時だ。随分長くかかった。


「…つかれた。ねむ」


布団に潜り込むと目を瞑った。眠い気持ちだけが頭を支配していて、深い深い眠りにすぐに入って行った。




ぷるるるるる、ぷるるるるる


…なんだよあさから、ねむすぎるんだけど…ねたい、にどね、するから、しずかに、しぃや


ぷるるるる、ぷるる、


「あー、!もう、なんなんよ!うっさいなぁ!」


「もしもし?!?!」


『もしもし、おはようございます。◯◯病院です。キヨさんの意識が回復しました。今日来ていただくことは可能でしょうか?』


「…はい、今から行きます。」


『ありがとうございます。115室にいらっしゃいますので。』


よかった。よかったけど、めんど、いやなんでもない。


はあ、一つため息を溢すと適当なTシャツを選んで着る。財布とスマホをもって近い時間にあったバスに乗り込む。時々揺れる車内は眠気を誘ってくる。こくり、こくりと船を漕いでいるとゆっくりとスピードが遅くなってきて、やがて止まる。眠い目を擦ると急いで降りた。早く行った方がいいのだろうから、ここから近い病院内に走って行った。


「おはよーございます…」


病室に入って小さく挨拶をした。すると、看護師さんと鉢合わせになった。おはようございますとひとつ、その後いろいろな話をされた。


結果は軽い鬱みたいな感じらしい。そして手首を切ったのはショックなことがあったから、とか色々。相槌をしながら聞いてたものの、あんまり分からなかった。


「では」


「あ、はい。ありがとうございます…」


去って行った看護師さんに頭を下げて、ベットに目をやるとじっとキヨくんがこちらを観察していた。


「レトさん、おはよ。きてくれたんだ」


「え、あ、はい」


「ごめんなさい、あの時は」


「いえ、別に…」


なんだか変な気分だ。妙に馴れ馴れしい気がする。


「俺、今日退院できるみたい」


「そう、ですか」


「レトさん、手、貸して?」


「え、」


いやいやいや、なんだいきなり。怖い怖い。


「はい…」


「ん、レトさんの手って結構がっしりしてるね。かっこいい。んふ、でも顔は可愛いの、なんか変」


にへ、と笑うと俺の手を優しく撫でる。…こんなになんか、やらしい感じだったっけ?違和感がすごい、やな感じ。


「…ね、レトさん?今日レトさんの部屋に入ってみたい。俺、結構料理できるからさ、お礼も兼ねて、ね?いい?」


え、家に招く?料理します?いや、ちょっと安静にしいよ。まだ絶対腕も痛むやろうし。第一家に入れるのはまあいいとして料理させてくれはちょっと…。それに材料費とかめんどくさいし。


「…部屋に遊びにくるのは、まあいいですけど。料理まではちょっと…」


「……そっかぁ。でも遊びに行っていいの?本当?それならすっごく嬉しい。俺、レトさんと遊んでみたかったの」


「あ、はい」


「あとさ、遊ぶなら敬語なんか辞めちゃわない?俺は嫌だ。ね?お願い」


「まあ、わかまし…」


「敬語!」


「…わかった」


「それでよし!」


ニコニコ、こちらの気持ちも知らずに嬉しそうに笑う姿は全く悪気がなさそうで。ちょっとだけキュンとした自分を締め上げたい。でもこんなに色気あったっけ?いや本当に謎。


「じゃあ夜頃、楽しみにしてて。チャイム鳴らすから、待っててな」


うん、と曖昧に返すと手を振られた。そのまま釣られて俺も手を振る。後退りのように後ろに下がって、扉を開けて逃げるように病院から出た。


「はあ、なんか色々ありすぎやない…」




数時間後。取り敢えず来客が来るならばと部屋を軽く掃除した。元々ミニマリストだったのでそこまでゴチャついてはないからすぐ終わったが。


「ふう、そろそろかな」


なに楽しみにしてんのや俺、とかなんとか思っていると、丁度チャイムがなった。


まあ人は決まっているがインターホンからのぞく。そこには肩が出ただるんとしたTシャツを着ている彼がいた。堂々とスマホを触っていて、ちらりとこちらをみた。


はーい、と短く返事をすると玄関へ向かい、扉を開く。ぱっと彼の表情が明るくなり、嬉しそうに微笑んだ。そのまま家に入れると俺は彼より少し前を歩く。


すると、いきなり背中にあたたかい感触が。

なんだ?と後ろを向こうとすると…キヨくんのサラサラした茶髪が顔にあたる。


え、後ろから抱きしめられてる…


「え、なに…」


「俺、すっごい嬉しかった、助けられたの」


「…うん」


「だからさ、お礼させて欲しいの」


「…別に、そんなんいらんよ」


ううん、と曖昧に返事を返されるとぎゅっと包まれる感覚がもっと強くなった。やめろ、と言おうと、俺の体に巻き付けている手をとろうとする。そして後ろを向くと、急に視界が黒くなった。意味がわからずにいると唇に柔らかな感触が伝わる。


「っ、は?」


視界が明るくなると、妖艶に微笑む彼がこちらをみていた。


「お礼。この先もいいよ?好きなようにしなよ」


ふつふつと怒りの感情となぜか呆れの感情が湧き出てくる。なんなんだコイツ。初めて会った時と全然違う。


「…帰って」


「なんで?」


「帰れ」


「えー、せっかく来たのに」


「帰れよ」


怒りに任せたまま、玄関に引き摺るように連れて行く。いつのまにかしまっていた鍵を開けて彼を追い出す。閉める直前にちぇ、と残念そうに舌打ちする音が聞こえた。












次で終わらせます!その前になんかだすかもです!

ky🐱さん右短編集!

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