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お祈りした後に鑑定してみると、マリアベルの家族には全員女神さまの加護が授けられていた。


シロにもちゃんと家族認定されてるようで、まずは一安心。


魔法属性まで付いていてちょっとビックリしたけれど、これらも聖獣であるシロが判断しているのであれば頷けるよな。(女神さまとどういう取り決めなのかは定かでないけど)


続いては魔法属性の方だけど……。


え~と、お父さんの剛志 (つよし) さんは……。


おっ、これは珍しいな、雷属性がついてるよ。


この雷属性や氷属性、それにアンデッドに特効がある聖属性はレア属性と呼ばれている。向こうのクルーガー王国にいる貴族だって、ほとんどが 風・火・水・土・回復のどれかだったからね。また、光属性というのがあるけど、こちらは王族限定のようで他では目にしたことがない。


そして、お母さんの久実 (くみ) さんは風属性。妹の楓 (かえで) は土属性。


それぞれに違う属性がついたようだね。家族でパーティーを組んで協力し合えば、ダンジョン探索も楽に進められそうだな。


ここでも少し時間をいただいて、加護や魔法適性を授かっていることを話していく。


「チャトやったよ、魔法が使えるんだって!」


「……にゃ~ぉ」


チャトは本来念話で会話することが出来るのですが、しばらくは黙っているようです。いろいろめんどくさいので。


「あなた魔法ですってよ。どうしましょ」


「そうか魔法か……。都市伝説では30歳まで童貞だと魔法使いになれるというが……。これで私にも打てるのだな。サンダーボルトが、ミノタウロスめ待っていろよ……フフフフフフッ♪」


「…………」


みなさ~ん喜んであるところ悪いんですけど、ダンまちのベルくんみたいに、そんな簡単ではありませ~ん。


魔法に関していえば、茂 (しげる) さんや紗月 (さつき) だって地下の練習場で猛特訓しているけど、実際のところはちょぼちょぼだしね。


人間より強力なモンスターを倒すのだ。ある程度使えるようにならないと実戦ではまったく役に立たない。


それから考えると、すでに治癒魔法をガンガン使いこなしている慶子 (けいこ) は異常だな。魔法センスの塊りみたいなやつだよ。


それでもって、魔力操作がいかに重要になるかをとくとくと説明していき、魔力感知のできた者から魔力操作の訓練を課していった。


「ええ~、めんどくさ~い!」


『ローマは一日にして成らず』ですよザーボンさん。(誰だよ!)


毎晩おこなってもらう、長~い戦いの始まりである。


まあ、女神さまから授かった加護の力は魔法全般にも影響を及ぼすし、俺たちが付いているのだ。魔法をものにするまでそんなに時間は掛からないだろう。


ただ、簡単に考えてもらっても困るんだな。


魔法ひとつで、何人もの人間を一瞬で葬ることだってできるのだ。


認識の甘さから、間違って大量殺人なんて、ホント洒落にならないから。






あとコレね、


キロ Lv.19


年齢 18

状態 通常

HP 5454

MP 2525

筋力 43

防御 35

魔防 25

敏捷 36

器用 28

知力 23

【スキル】 短剣術(3) 魔力操作(4) 魔法適性(風)

【魔法】 身体強化(2)

【称号】 盲目の少女、借金奴隷、変えられし者、影の軍団、ゲンの女、

【加護】 ユカリーナ・サーメクス



食っちゃってんじゃん!


ああ、まあ、それはお察しだと思うので横に置いといて……。


注目してほしいのはスキルの欄。そう、見てわかるとおり【魔法適性(風)】を取得しているのだ。


――やったね!


しかし、隣にいた兄のフウガには何も変化がない。


やはりこの現象は【加護】持ち限定だったか。フウガの持っている【祝福】ではダメだったようだね。


んっ、なんで兄妹なのに加護と祝福で、授かったものが違うのか?


それ聞いちゃう……。


以前はフウガもキロも共に祝福で同じだったんだよね。それがある日をさかいに……ごにょごにょごにょ。


ということで、今は兄よりも全然強いキロたんなのでした。おわり。






続いては新メンバーの得物選びへと移る。


まず、剛志さんが選んだのはバスターソード。


本人曰くソードマスターを目指すそうだ。


(……ソードマスターってなんだっけ?)


ゆくゆくは大剣を背中に担ぎたいのだろうか?


いや違うな。剣聖になるということかな?


ざっくりしていてよくわかりません。なんか雰囲気で言ってるような気もするけど。


剣聖を自称したいならアーツ先生よりは強くなってもらわないとね。


アーツ先生より叩き込まれし剣技の数々を、某が余すことなく伝授してしんぜよう。


久実さんは土木スコップを選んだようだ。


うん、これも良い選択だね。


三角の持ち手は初心者でも取り扱いが楽だし、ダンジョンでの鉱石採取はもちろん、お花摘みにも便利なアイテムだよね。


指導のほうは慶子におまかせしよう。


……と言うか、先ほどから二人の会話が弾んでますけど。


壮年期における女性にとって ”アンチエイジング” は共通の話題でもあるらしい。


その二人の横には尻尾をふりふりシロがくっついている。


慶子からビーフジャーキーをもらえてシロも上機嫌のようだな。


妹さんの楓は大型ナイフを指定。


詳しく話を聞いていくと……。


――あのナイフのことでした。


ダンまちのベルくんが使っているやつね。


眼帯をはめた鍛冶神が打ったナイフだったよな。ツインテ・ロリ巨乳と一緒に。


このラノベ脳はお父さんの影響をかなり受けているとみた。


紗月とも気が合いそうだよな。年齢も一緒みたいだし。


(…………)


よし、ベルくんの【神さまナイフ】完コピしてやろう。


ブレードの素材はミスリル合金を使用したものになるが。


ヒエログリフもそれらしく刀身に彫っておいてやろうかね。


古代エジプト文字 (ヒエログリフ) で『腹が減ったら牛丼たべよう!』とでも。(^^♪


『𓉔𓄿𓂋𓄿𓎼𓄿𓉔𓇌𓏏𓏏𓄿𓂋𓄿𓎼𓇋𓍢𓍢𓂧𓍯𓈖𓏏𓄿𓃀𓇌𓇋𓍯𓍢』


どうせ読めやしないのだ……、雰囲気だから。雰囲気。


魔力を通すとヴウォン! と文字が赤く発光するようにもしておくね。


(どんなに使い続けてもナイフが成長することはありません)


いかん! カンゾー (ダンジョン) に発注をかけてたら俺も1本欲しくなってきたぞ。


予備も含めて3本作らさせることにしよう。うん、そうしよう♪






得物における細かい仕様や要望については、各自聞き取りをおこないメモをとっていく。


これ見よがしに偃月刀を取り出して、みんなにアピールしていた茂さん。


しかし、誰も偃月刀を選ぶことはなかった。


(みんな興味は示していたのだが、長物を振りまわすにはダンジョンの通路は狭すぎるのだ)


「僕が使う偃月刀って時代おくれなのかねぇ……」


「まあまあまあ」


「孤高の存在というのも有りだと思いますよ」


落ち込む茂さんを、俺と剛志さんが慰めていたのだが。


そこへ、


「ゲンさーん、話を聞いてもらえますか?」


紗月と楓が一緒に押しかけてきた。


――次はなんだぁ?


「うち、ライトアーマーがほしいです!」と楓。


(ダンまちのベル君が着ているものを言っています)


軽鎧 (ライトアーマー) ?


ああ~、ナイフに合わせる感じでね。


二型でいいのかな?


赤いラインの入ったヤツが二型だったよね。たしか。


軽くするために材質はチタンがいいかな。それを白に塗って……。


カンゾー (ダンジョン) のやつ、着色なんかできるんだろうか?


カラーチタンなら何とかなりそうだけど。


あれはチタンの表面をバーナーなどで炙って変色させているのだったか。


最悪、色塗りはこちらでやるとして…………。






「ゲンさん、私もお願いしたいことがあります!」


今度は紗月が横から乗りだしてくる。


(だ、だから、おめーさんは顔が近いんだってばよ)


紗月のおでこに指をあて、すこし押しかえす。


「できる、できないは別として話は聞くけども」


なになに、ヴァレン何某くんの? ふんふん……。


(ダンまちのアイズたんが着ているものを言っています)


対抗してきたなぁ、おい。


でもあれって、ほとんど鎧になってないだろ。


ふたりして厨二病を発症中である。


いっそのこと、それ着てビッグサイトを目指してみるのはどーよ?


すると、それを聞いてた茂さんが、鼻の穴を大きくしてにじり寄ってくるではないか。


……こちらも顔が近くて怖いっす。


と に か く みんなスト――プ!


両掌を前に広げ、俺は一旦ストップをかけた。


「みんなちょっとまって! 今は得物が優先だから。鎧や防具の相談は夕食後にゆっくり聞かせて欲しいかな」


バスターソードと現場スコップ (チタン製) はインベントリーに予備があったのでそれをテーブルに並べる。


楓には当面ショートソードで戦ってもらうとしよう。


刃物なので取り扱いには十分気をつけるように促し、それぞれに得物となる武器を渡していった。


まあ、使ってはみたけれど、やっぱり合わなかったということもあるし。


それは今晩にでも聞いてみることにしよう。


次は革のコンバットブーツを合わせてもらう。


これは各サイズが俺のインベントリーの中に揃っている。微調整用に各種中敷きの用意もある。


合わせてPUグローブをみんなに配っていく。(ポリウレタングローブ)


このPUグローブも最近では常用に成りつつあるなぁ。


革に比べたら耐久性は落ちるが低階層ならコレで十分なはず。






では、そろそろダンジョンに行ってみるとしますかね。


ブーツを履いてもらって裏口より外に出た。


本条家みんなの得物はインベントリーが使えるマリアベルが預かっている。


裏口すぐに設置してある転移台座の前にみんなを集める。


シロもチャトも居るな。


転移陣を作動させ、俺たちはダンジョン・カンゾーの1階層、階段下にある踊り場に出てきた。


さーて、レベリングの開始だな。


ビシバシいきまっせー。


まずは効率を考え、初心者を3組に分けて編成する。


俺・剛志さん・キロ


シロ・お母さんの久実さん・慶子


マリアベル・楓・チャト


メアリー・紗月組は基本自由だが、上限は10階層までとした。


探せば宝箱もまだまだ見つかるだろうし、楽しみながらレベルアップできればそれが一番だからね。


女性組は1階層から慣らしていくらしい。シロが居るから案内も完璧だろう。


俺たちは2階層からスタート。剛志さんも膝を気にしなくていいので、すこぶる張り切っている。


昼休みは特に設けておらず、各自ダンジョン内で適度に休憩を取るように言ってある。


これはダンジョンに早く慣れさせるためだな。


なにぶん今回は一週間の滞在で、あまり時間がないときている。


ダンジョン探索は夕方までおこない、帰りはダンジョンマップで位置を特定し、みんなを集めて神社に戻っていく。


さすがに初日は応えたようだ。本条家の人たちは口数も少なくフラフラしている。


夕食のあとは温泉にはいり早々に休んでもらった。

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