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それからというもの穏やかな時間が過ぎていき、妊娠七ヶ月を迎えたある日の事。
鬼龍組を取り巻く環境が大きく変化を見せていた。
基本組織の内部事情は真彩に知らされる事は無いのだけど、ここ最近の理仁たちのやり取りを間近で見ていれば何かが起きている事は明白で、不安があった。
そんな真彩の不安を察していた理仁だけど、お腹の子供や真彩の心身に負担を掛けまいと詳しい事は伝えず、極力時間を作っては傍に居て安心させるように努めていた。
しかし、それすら難しい状況が理仁に降りかかる。
以前から敵対関係だった箕輪組や砂山組とは和解して協力関係になり、元から協力関係にあった柳瀬組を入れた東区域を仕切る四組織は今現在、ある組織の対応に頭を悩ませていた。
以前西区域を仕切っていたとある組織の元組員が数名集まり、東区域で色々と悪行を重ねつつあった穂積会という組織を束ね、上位組織へ成り上がろうとしているのだ。
その為鬼龍組を初め、柳瀬、砂山、箕輪組は穂積会に狙われる事になった。
元から四組織に不満を持っていた人間も一定多数いる事から、穂積会は日に日に勢力を増していき、その分危険が増えていく。
それに伴い、鬼龍組でも真彩や悠真に危険が及ばないよう対策が施される事になった。
「悠真、悪いが暫くの間、学校は休んでくれ」
楽しみにしていた遠足を数日後に控えていた悠真にその話をした理仁は、物凄く申し訳なさそうな表情を浮かべている。
「え? なんで?」
勿論、組織の事を理解出来るはずはなく、突然学校を休めと言われて納得出来る訳も無い。
そこで助け舟を出したのは他でも無い真彩だった。
「あのね、実は、これから暫くパパや他の皆はお仕事が忙しくなるの。いつもは皆がママに付いててくれてるけど、それが無理になっちゃうの。でも、ママ最近ちょっと体調が良くなくて、出来れば悠真に傍に居てもらいたいなって……思ってるの。駄目かな?」
真彩も詳しく事情を聞いた訳じゃないけれど、悠真に学校を休めというのは余程の危険が迫っているという事で、それを理解しているからこそ、何とかして悠真に家に居てもらおうと考えた。
真彩の話を聞いた悠真は、
「そっか、それじゃあ、ゆうまがママのそばにいるね! がっこう行けないのさみしいけど、ママと赤ちゃんのためにがまんする!」
大切なママを守りたいという思いから、学校を休む事を納得したのだった。
悠真と真彩の安全は確保出来た事で、ひとまず理仁は安心して問題に取り組める事になったのだが、事態は芳しくない状況が続いていた。
近頃ニュースでも組織絡みの事件が多発していると取り上げられ、屋敷に居ても気の抜けない日々が多くなっていた。
そんな中でも真彩の体調やお腹の子供に問題無く、これで抗争も早く落ち着いてくれれば安心出来るのにと真彩は常日頃思っていた。
けれど、それからひと月半が経つ頃には事態が悪化の一途を辿ってしまう。