【⛄️side】
生まれつき彼が不治の病を患っていることは、知っていた。
僕よりも早くこの世からいなくなってしまうっていうのも分かっていた、つもりだった。
でも。
いざ君が逝ってしまうと。
全く頭が追い付かなかった。理解できなかった。
窓から降り注ぐ朝日が照らす儚く美しい彼と「おはよう」って挨拶を交わせないなんて。
一緒に遊んで、楽しい気持ちを共有できないなんて。
美味しいものを食べて、「美味しいね」って笑い合うことができないなんて。
夜、僕だけに見せるかわいい姿がもう見られないなんて。
分かりたくもなかった。
この世界に一人置いて行かれたような。
空虚。
あれから何日経ったか分からない。
時間とか、日付の感覚なんて無くなっていた。
気づいたら涙が零れて、何かを見ているようで何も見えていなくて。
気づいたら外が明るくなったり、暗くなったりしていて。
ふと我に返る。
僕は橋の上に立っていた。
無意識におんりーとの思い出の場所に足が向かっていたようだ。
春。夜に桜をライトアップすると聞きつけ、2人で夜桜を見に来た、この橋。
あの時と違うのは、身体を締め付ける寒さと彼がいない事だ。
静かに流れ、時折白い泡を立てている真っ黒な水面を見つめる。
橄欖の上に立つ。
今、行くよ。おんりー。
一歩踏み出そうとした、その時。
「…おらふくん?」
…ああ、幻聴が聞こえる。恋焦がれる彼はもういないのに。でも、最後に聞く声が彼の声でよかった。
「おらふくんってば!」
グイっと後ろに引っ張られて、尻もちをつく。
目の前には…
おんりーが座って、怒った眼をしてこちらを見ていた。
「何してるの?」
「お…おんりー…?」
「何してるのってば」
「え…」
「…ほら、俺らの家に帰ろ?」
こちらに差し出され、思わず掴んだその手は、まぎれもない、何度も繋いだ愛しい彼の手だった。
星に手が届きそうな、空に吸い込まれてしまいそうな、夜だった。
こんにちは、いるかです!
だいず様の「ねた詰め2」から、ネタを提供して頂きました!✨️
連載終わってないけど、先にこの新連載を始めて、先に書き上げます!
5話くらいにまとめる予定…もしかするとAnother Storyを書くかもしれません。
よろしくお願いします٩(ˊᗜˋ*)و
コメント
2件
わわ、見つけて下さりありがとうございます!✨️ 凄く嬉しいです(⑉• •⑉)❤︎ 頑張って書きます٩(ˊᗜˋ*)و
めちゃくちゃ好きです🥰🥰 続き楽しみです!!!!