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『群青色の心中』〜貴方となら海の底まで〜
第3話 『変わられましたね、お嬢様。』
今日もいつものように、稽古を受ける。
『メリア、今日はお前の成長ぶりを見せてもらうぞ。』
『お父様…。』
『今日はどんな稽古をするんだ?』
『旦那様もいることですから普段の行いを見せてもらいましょうか。お嬢様。今日はテストしましょう。まずピアノ、ヴァイオリン、ハープの音楽の技能のテストからです。』
『メリア、やって見せてくれ。』
『はい、お父様。』
私はピアノに指を添える。
ポロン…♪
優しい音色が部屋に響く。
『ふむ……。』
(いつも通りのはずなのに…凄く緊張する。
失敗出来ない…。もし、外したらお父様の反感を買う。嫌だ。昔のように折檻されたくない。)
私はヴァイオリン、ハープを次々と奏でる。
『素晴らしい演奏だったな。メリア。』
『ありがとうございます、お父様。』
『お嬢様、次は剣の剣術テストです。外に行きますよ。旦那様、こちらへ。』
『お嬢様には今から果物刺しをして頂きます。フェンシングで鍛えた突きを披露して頂きます。私が投げますので刺して下さい。』
『わ、分かったわ。』
(大丈夫。落ち着いて…。)
私は投げられたリンゴを刺す。
グサッ!
『刺さった……っ。』
私はニコッと微笑む。
『おめでとう、主様。』
と、ボスキは口パクで私に伝えた。
『…!』
私もそれに応えるようにありがとうと伝えた。
『ここからは俺に任せろ。』
と、ボスキは私に伝えた。
『主様、そのリンゴを私に下さいますか。』
『え?』
ボスキは私からリンゴを取り、空中に投げた。
それを剣で切り、お皿に持って見せた。
『どうぞ、旦那様。』
『おぉ…。流石だな、ボスキ。執事の中でずば抜けているな。』
『担当執事として当然ですよ。お召し上がりください、旦那様。』
(ボスキ……。もしかして、私の為に…。)
私の思い違いかもしれないけど嬉しかった。
ボスキに対するその優しさがとても……。
『……。』
私はお嬢様を見つめた。
『メリア、今日のディナーはヤーラン様とそのご両親と一緒だ。』
『ヤーラン様と?』
『あぁ。お前の未来の婚約者なんだ。ご両親とも仲良くしておいて損はない。』
『…分かりました。 』
私は馬車に乗り、ホテルのディナーの場所へと向かう。
『おやまぁ可愛らしいお嬢さんだこと。初めまして、ヤーランの母。ミラです。』
『同じく父親のリナンです。』
『は、初めまして。』
『これならうちのヤーランも安心だな。可愛い子が生まれるわよ。うちの子に似て!』
『やだなぁ母さんまだ早いよ。』
『母親を早くに亡くして男手一人で育ててきたので色々大変でしたが今はお淑やかに育ちましたよ。 』
『ふふ、見れば分かりますわ。メリアさん、うちの子をどうかよろしくね。』
『は、はい。ミラさん。リナンさん。』
『ふふ、やだやだ、お義母さんでいいのよ?未来の娘なんだから。あらヤダ私も気が早いかしら?』
『あっはっは!そう遠くないですよ、メリアももう大人になりますからね。』
早くこの場所から逃げ出したい。私は自分の好きな人と結婚したい。自分より年上の人となんて、絶対に嫌だ……。
『……主様。』
ボスキから視線を感じたけれど、私はそれを
敢えて知らないフリをした。
あぁ……ボスキが私のことを好きならいいのに。
屋敷にて。夜。私の部屋。
ギシッ…。
『ねぇ、ボスキ。』
『なんだ?主様。』
『私の勉強に付き合わせてごめんね。』
『…謝るなよ。俺は主様に触れられて嬉しい。』
『でも…ボスキは私に触れられても嬉しくないでしょう?ただの執事だし…。』
『……分かってねぇな。ホント。』
『え?』
『俺は主様になら何されても嬉しい。言っただろ。』
パサッ…。
主様の長い髪を解く。
『っ…。』
『どんな女に言い寄られても…俺には主様だけだ。』
『ボスキ…。』
『ほら、俺の事誘ってくれるんだろ?』
それでもいい。俺の好意に気付かなくても、
あんたが俺のことをなんとも思ってなくても。
『……。』
私は、貴族の一人娘。そして、貴方はその執事。この関係は断ち切ることは出来ない。
立場は変えられない。だけど、この私の気持ちだけは――。
好きだよ。ボスキ。貴方は私の事を好きじゃないかもしれない。だけど、それでもいい。
貴方に触れられる。それだけで幸せなの。
この想いにどうか気付いて。
俺の。私の。
敬愛\深愛以上の愛の気持ちに――。
お互いキスを交わす。
深く、甘いキスを。
一方その頃――。
『お嬢様の成長スピードには驚かされますね。流石お嬢様です。変わられましたね、お嬢様…。ふふ。』
自室でお嬢様の記録をまとめていた。
『…お嬢様には酷かもしれませんが。
私は貴方の為に厳しくい続ける。たとえ貴方が傷付くとしても。この私の決意だけは揺るぎません。』
次回
第4話 『最初からそのつもりで。』
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