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『群青色の心中』〜貴方となら海の底まで〜
第4話 『最初からそのつもりで。』
夜明け前。
今この想いに気付いた。貴方の事が好きというこの感情に。もう、止められない。
『すぅ、すぅ……。』
『クスッ。』
私の横ですやすやと眠る横顔をそっと撫でる。
『綺麗…。いつもはあんなにかっこいいのに寝てる時はまるで可愛いんだから。』
ねぇ、ボスキ。私は、ずっとボスキと一緒にいたい。好きだからとか関係なく、貴方のことを大切に、大事に思っているから。
『私が望んだら――。私と堕ちてくれる?』
ボスキ・アリーナス――……。
僅かな吐息を吐くその唇に淡いキスをする。
『…好きよ、ボスキ。』
あぁ。なんて残酷な主様。起きてる時に言わないなんて。起きてる時にキスをしないなんて。
本当は目を覚ましてるのに寝ていると嘘を吐くのはなんて皮肉。起きてる時にしていたらきっと抑えられなくなる。これ以上抑えるものなどないというのに。一線を超えてしまった以上。もう怖いものなどない。だけど。主様と執事。
貴族と平民。名前をつけてしまえばそれで終わりだ。この関係にだけは誰にも名前をつけさせない。俺だけの、俺とメリアだけの関係に名前をつけたい。
『儚くも愛しい恋愛関係』だと。
翌朝――。
目が覚めたらボスキは居なくなっていた。
私より早く起きて部屋を出たのだろうか。
『……。』
貴方の抜け殻でさえ愛おしい。先程までここにいて、私と情事を交わしていたという温もりが私の心を満たしていく。
身体に触れれば熱く火照る。その唇を塞げば甘い砂糖で犯されたような感覚に堕ちる。
身体に刻まれた赤い痕は愛の証。
『今日もいつものように稽古を受ける。
お父様とソウマを欺くには今は従順になっておいた方がいい。私は、お父様の思い通りにはならないわ。』
食堂。
『おはようございます、お嬢様。今日はお嬢様の好物を沢山作りました。』
『えぇ。ありがとう。』
『ところで、お嬢様。その首の……。』
『っ、これは……。』
私は首を慌てて隠す。
『もしかして、昨日の夜執事のボスキさんに…。』
『っ……。しー…。』
『ふふっ。失礼致しました。』
メイドのマルメロ。唯一私とボスキの関係を知っているメイド。優しくて可愛い信頼出来る私のメイドだ。
『まだ旦那様も来てませんからコンシーラーで隠しますね。失礼します。』
『あ、ありがとう。』
(でも、どうしてマルメロは誰にも言わないのかしら。もし告げ口すればあなたはお父様から大層な報酬を受け取れる。いくら私のメイドだからって……。)
『ねぇ、マルメロ。』
『はい、お嬢様。』
『どうして、誰にも言わないで居てくれるの?』
『!』
マルメロが私とボスキの関係を知ったのは
偶然話を聞かれたからだ。部屋でボスキと話してる時に聞かれてしまった。
だけど、マルメロは――。
回想。
『もしかして男性の誘い方をボスキさんにしてるってことは2人は恋愛関係ということですか!?そんな小説みたいな展開あるんですね…!?きゃー!///』
『マルメロ…。恋愛小説の読み過ぎよ。』
『…なぁ、マルメロ。このことはお前の胸の内に潜めておいてくれないか?』
『ぼ、ボスキ?』
『頼む。一メイドであるお前に頼むことじゃないかもしれねぇが…。 』
『…。最初から誰にも言うつもりなんてありません。』
『え?』
『私はお嬢様には幸せになって欲しいんです。お嬢様のことは幼い頃から知っています。だからこそ、幸せになって欲しいんです。本当に好きな方と…結婚して幸せになって欲しいんです。』
『マルメロ……。』
『この事は誰にも言うつもりはありません。私はお嬢様の事を守ります。そして、執事であるボスキさんのことも。』
マルメロはメイド服の裾を掴み私にお辞儀した。
『お嬢様の為に死ねる覚悟さえあります。
もしもの時は私を頼りにしてください。』
なんて献身的な心の持ち主だろうと思った。
一メイドである貴方の事を心から私は尊敬した。
『前にも申し上げましたが、私はお嬢様を守りたいだけです。大好きですから。って、お嬢様であるメリア様に大好きだなんて不敬ですよね。申し訳ございません…っ。』
『……クスッ。構わないわ。私も貴方のこと大好きよ。』
マルメロの頭を撫でる。
『̗̀ ( ˶>▽<˶) ̖́嬉しいです!お嬢様、ありがとうございます!』
『大袈裟ね…ふふっ。』
私はお父様と朝食を済ませる。
『ご馳走様でした。お父様、本日も稽古に行ってまいります。』
『その事なんだが…メリア。お前に今日1日休みを与える。』
『え?』
『昨日のお前の成長ぶりをみて感心した。1日休んでもお前の腕は鈍らないとな。』
『お父様……。』
『沢山買い物をして沢山色んな所に行って楽しんでくるといい。』
『…!はい、お父様。では馬車を1台お借りします。』
従順にしていれば、お父様を欺ける。
私は本当にお淑やかになったでしょう?お父様。最初からそのつもりで私はお稽古もこなしてきたんですから。
次回
第5話 『儚くも美しい。』