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俺達にあてがわれた部屋は8畳ほどの、高校生の男2人が生活するには少し狭い部屋だった。
いや、生活には問題はない。問題は思春期真っ盛りだというのに、突然出来た義理の兄弟と一緒の部屋にしては狭すぎるということだ。
仕切りは無く、俺の幼馴染であるシューマくん兄弟のお下がりである2段ベッドが押し込まれた部屋はさらに狭く感じた。
少し大きめのマイ デスクも、タンスの間に設置してしまったらあいつの作業机が置けないかもしれないと思い、少し申し訳ない気持ちになり、いっそ買い替えようかと思う。
「美鶴くぅん、俺ベッド下の段でいい?机おっこちたら困るし。」
なんと驚いたことにこいつは折りたたみテーブルをベッドに跨るように置くつもりらしい。病院のベッドに備え付けられてるテーブルのような見た目だ。
まあそれは好都合とデスクを組み立てると、教科書の置き場に困ったらしい行野のものと並べて、デスク下に教科書のフルセットが二つ置かれる。
選択授業の教科書とか捨てちゃってもいいかな。俺は音楽でこいつを見たことがないので、おそらく美術なのだろうし。
2段ベッドの上段は、小さい頃憧れてた想像よりもずっと地面から近いような気がしたが、それでも中々楽しい。下を覗けば、早速ベッドでくつろぎながら漫画を読むあいつの姿がある。
足を乗っけている机にはデカデカと『シシル』と書かれており、その周りには『獅』の文字を練習した跡がある。おそらくあれは油性ペンなのだろう。
そこで俺の謎が一つ解けた。
もしやこいつの名前の読みって『シシル』なのか?
行野と呼ぶと宣言した時は、もちろんお近づきになりたくない気持ちでいっぱいだったが、まずこいつの名前が読めなかったのだ。
獅子が流れると書いて『獅流』
確かにそう読めば読めてしまうが、『シシル』だとは中々考えないだろう。
「シシル?」
試しに名前を呼んでみると、漫画に集中していたそいつは2度3度と瞬きした後、ぱあっと笑って勢いよく起き上がった。顔が近い。
「なに?美鶴?」
「呼んでみただけだよ。」
「美鶴くんてそんな恋人みたいなことするタイプなんだね。」
言わなければ良かった。なんて気持ちの悪いことを言うのだろうこいつは。
言葉を返さずに目を逸らすと、シシルもいそいそと元のポジションに戻って行った。
その時チラリと見えた漫画の中には、小説が挟まっていて、シシルという存在がわかったようで、またわからなくなった。
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雑につけた名前を略して、爪切りと申します。
兄受けのタグを付けていたのですが、私の好みの都合上でリバになる可能性もあるため、新しくタグを追加しました。
この作品自体、過去構想していた創作を元にしたBL練習作品でもあるので、これからどうなるのか全くわかりません。
今決まっていることは、いずれこの2人は熱きバトルを繰り広げ、血と汗を流した末に拳を合わせ、漢の戦いというものを悟るということです。嘘です。でもこんな感じの話も入れたいです。