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俺は横たわった状態でマサさんに背中を向けて、怒っていることを示す。ちなみに今は日曜日の朝で、待ちに待ったデートの日なのに、気分はとても最悪だった。
「瑞稀、本当に悪かった。反省してる」
「…………」
「瑞稀の怒った顔もかわいくて、ついからかってしまったというか」
(――俺の怒った顔もって、どこがかわいいんだか!)
マサさんは俺の背中に額を押し当てて、ほかにもモゴモゴと言いわけを続ける。
「大好きな瑞稀のいろんな顔を見たいと思ったら、手を出さずにはいられなかったんだ」
「吸血鬼の姿でシたら、俺が大変なことになるの、マサさんが一番わかっているのに!」
「だって気持ちよくてどうにかなりそうって、この前言ってたし……」
「だからって、進んで吸血鬼の唾液を与え続けるのは、どうかと思います!」
マサさんとの接触を避けるべく、勢いよく起きあがり、ベッドから抜け出した。
「瑞稀……」
「キッチンお借りしますね。お昼のお弁当を作りますので、邪魔しないでください」
のっそりと起きあがったマサさんは、なにも言わずに寝室から俺を見送ったのだった。