テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
548
📖 第一章:「はじまりは、最悪」
朝。
まだ空気が少し冷たくて、教室の窓から入る風がカーテンを揺らしている。
○○は、自分の席に座りながらぼんやりと外を眺めていた。
新学期、二日目。
クラスにはまだぎこちない空気が残っていて、あちこちで小さな会話が生まれては消えていく。
○○:(……なんか、疲れるな)
誰かと話すのが嫌なわけじゃない。
でも、無理に馴染もうとするのはもっと嫌だった。
そんな時——
ガラッ。
教室のドアが少し乱暴に開く。
一瞬で、空気が変わった。
ざわついていた声が、ピタッと止まる。
男子A:「……来た」
女子B:「あの人でしょ…?」
視線が一斉に、入口へ向く。
そこに立っていたのは——
糸師 凛。
黒髪、鋭い目つき。無駄のない動きで教室
に入ってくる。
誰とも目を合わせないまま、まっすぐ歩くその姿には、近寄りがたい空気があった。
○○:(……なにあれ)
正直な感想だった。
怖い、というより——
関わりたくない。
凛は自分の席に向かって歩いていく。
その途中。
カツン。
○○の机に、軽くぶつかった。
○○:「……え」
バランスを崩して、ノートが床に落ちる。
静かな音がやけに響いた。
一瞬の沈黙。
でも——
凛は、止まらなかった。
そのまま何事もなかったかのように通り過ぎる。
○○:「……は?」
思わず声が漏れる。
周りがざわつき始める。
女子C:「え、無視…?」
男子B:「やば……」
○○はゆっくり立ち上がると、落ちたノートを拾った。
そして——
振り返る。
○○:「ちょっと」
教室の空気がまた止まる。
凛の背中が、わずかに止まった。
でも振り向かない。
○○:「今、ぶつかったよね」
沈黙。
数秒。
凛:「……だから?」
低くて、冷たい声。
○○の眉がピクリと動く。
○○:「だからって、普通は一言くらいあるでしょ」
凛はゆっくりと振り返る。
その目が、まっすぐ○○を捉える。
凛:「邪魔なとこにいる方が悪い」
空気が、凍る。
誰も息をしないみたいに静かになる。
○○:「……っ」
言い返そうとして、言葉が詰まる。
でも、引く気はなかった。
○○:「……感じ悪」
小さく、でもはっきり言う。
その瞬間——
凛の目が、わずかに細くなる。
凛:「別に。お前にどう思われても興味ない」
そう言って、席に座る。
完全に、会話終了。
○○はその場に立ったまま、しばらく動けなかった。
○○:(……なにあいつ)
最悪。
第一印象、最悪。
関わりたくないランキング、ぶっちぎり1位。
なのに——
なぜか。
頭から離れなかった。
窓の外から風が吹き込む。
カーテンが揺れて、光が揺れる。
その中で、凛は何事もなかったかのように前を見ていた。
○○:(……絶対、関わらない)
そう思ったのに。
——それが、全部の始まりだった。
コメント
1件
わああああああああ、凛ちゃんっ?!めっちゃ凛ちゃんっぽくて好き…