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📖 第二章:「意外な一瞬」
放課後。
教室は少しずつ静かになり、生徒たちはそれぞれ帰り支度を始めていた。
○○も荷物をまとめながら、なんとなく窓の外を眺めていた。
その時——
運動場から、軽快なボールの音が聞こえてきた。
カツン、カツン——
リズムよく弾むサッカーボールの音。
○○の視線は自然とそちらに向かう。
運動場には、数人の男子部員がボールを追いかけていた。
そして、その中心に——
凛がいた。
ユニフォーム姿、汗で少し髪が乱れ、鋭い目はピッチの中で真剣そのもの。
普段の教室で見せる冷たい態度とはまるで別人のようだった。
○○:(……え、凛?)
信じられない思いで見つめる。
凛は、誰とも目を合わせず、ボールを正確に蹴り、仲間にパスを出している。
表情は真剣で、まるで集中の塊。
○○:(……かっこいい…)
思わず、声に出さずに呟く。
あの冷たい、無愛想な凛が、スポーツのフィールドではこんなに生き生きしているなんて——
ボールを追いかける凛の動きは、速く、無駄がなく、見る者を惹きつける迫力があった。
○○は知らず知らずのうちに、運動場に釘付けになっていた。
その時、凛の視線が一瞬だけ○○の方に向く。
チラッと、ほんの一瞬。
そしてすぐにピッチに戻る。
○○:(……視線、合った……?)
心臓が、思った以上に早くなる。
普段は近寄りがたい距離感なのに、こんな
一瞬で心をかき乱すなんて——
気づくと、○○は無意識に足を運んでいた。
教室の外、運動場のフェンスに沿って歩きながら、凛のプレーを見続ける。
周りの男子部員たちも、
「やっぱり凛、うめーな」
と声を上げていた。
でも凛は、誰の言葉にも反応せず、ただボールと向き合っている。
○○:(……関わりたくないけど)
そう思いながらも、なぜか目が離せなかった。
——最悪の第一印象のあの凛と、こんな意外な一面を同時に知ることになるなんて、誰が想像できただろう。
夕陽がピッチをオレンジ色に染める中、凛はまだボールを追い、汗を光らせていた。
○○:(……今日だけは、見逃してもいいかも)
そんなことを考えながら、○○の中で微かに何かが動き始める——
それはまだ、ほんの小さな、気づかぬ始まりだった。
コメント
1件
え、目合った?!合った?!!