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放課後、教室には二人の教師と、ほんの数名の生徒が残っていた。
生徒たちはそっと机の影から二人の動きを観察している。
そのとき、生徒のひとりが決定的な瞬間を目撃した。
コビーがミユの肩に軽く触れ、資料を渡す際に手がわずかに重なったのだ。
「……あっ！」息をのむ音もなく、生徒の目はその瞬間に釘付けになった。
ミユはすぐに気づき、鋭い目で教室の隅を見渡す。
「……見ていたの？」その声には厳しさが滲み、緊張感で教室全体がピリリとする。
コビーは微笑みを絶やさず、冷静を装う。
「ええと……これは資料を渡しただけです。本当に、何でもありません」
ミユは生徒に近づき、低く冷たい声で告げる。
「余計な詮索を続けるなら、掃除当番を倍に増やすわよ」
生徒はたじろぎ、思わずうつむく。だが、目はまだ二人を観察している。
「……でも、やっぱり怪しい……」小さな声が聞こえる。
コビーはわずかに微笑み、資料整理を口実にミユの肩に手を添える。
「大丈夫です。今日はもう片付けも終わりですから、心配しなくていいですよ」
ミユは厳しい表情のまま、少しだけ肩の力を抜く。
「……今日のところは許してあげるわ。でも次はないから」
二人の連携で、生徒は決定的な瞬間を目撃したにもかかわらず、秘密はなんとか守られた。
教室の静けさの中、二人はわずかに肩を寄せ合い、互いの存在を確認する。
秘密の恋は、生徒の目の前で揺れながらも、まだ完全には明るみに出ていなかった。
しかし、次はいつ見抜かれるかわからない――その緊張感が、二人の日常にさらなる刺激をもたらしていた。
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