テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
3章:ポポハスの青
21話:争いの地
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
加和夏希
→嗅覚 時の凍結能力
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〈注意〉
3章では暴力表現を扱うのシーンがあります。 原作より柔らかい表現にし、注意喚起をするのでセンシティブ設定を付けていませんが、苦手な方はお気をつけ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ー成長中の大陸 カフリーア大陸
「ま、マジで砂漠じゃん!すげぇここ!」
「お前…静かにできないのか…?」
私たちが来た港からもその砂景色が見えるほどにこの地は砂に覆われている。
広大な砂漠の中には、数キロメートル間隔で町が点々とあるようだった。その町一つ一つが険悪なムードを漂わせている。
「あ、夏希。ついてきてくれてありがとう。孤児院のこともあったのに。」
「ううん。私が行きたい!ってじぃちゃんに頼んだの。…それに秀蘭達の旅には私が必要でしょ。」
…感生の子だからってことを言いたいんだろうな。
でも、夏希は利用するための仲間じゃない。
そんなことを考えていると…
「なになになになに!?」
いきなり数人の大人達が向かいの町に攻撃した。
それを受けて相手の大人達が反撃を始める。
それは相手の生死を問わない攻防で、まるで小規模な戦争をみているようだった。
「こ、このままじゃやばいよ!」
「あんた達!何してるんだい!?早くこっちへおいで!」
「あ、あなたは…?」
「いいから!」
私たちは声をかけてきた女性の方へ逃げこんだ。
「はぁ、はぁ…。ありがとうございます。」
「いや、無事で良かったよ。」
ここは元々飲食店だったらしく、沢山の人が身を隠していた。
「ところであんた達、何しにこの地へ来たんだい?こんな争いの地へ。」
「僕たちマーサル神社に行きたいんです。」
「マーサル神社だって!?」
シュウが神社の名を口に出すとお店にいた人たちが口々に騒ぎ出した。
その内容は「敵だ」とか「何しに来たんだよ」とかで、私たちへの視線が一気にキツくなった気がした。
「あんた達、あたしらへの挑発かい…!?」
わけも分からず狼狽えていると、奥から一人の少女が出てきた。
「すみません。私がお呼びしたのですよ、店主。」
その少女は神秘的な声を放ち、一瞬で全員の視線を集めてみせた。
「神社から奇妙なものが出てきて。ほら、皆さんの嫌いな神社のものは専門家に見てもらった方がいいでしょう?」
「…。あぁ。俺らはその調査に来たんだ。伝えるのが遅くなってすまない。さっきの攻防で俺らも少し混乱してな。」
少女の発言とダインのカバーで周りの人も「なんだ。」「レタリーが言うなら」と落ち着いてくれた。
どうやら彼女はレタリーと言うらしい。
「だったら早く連れて行きな。この地はまだ安全じゃないんだから。」
「はい、店主。ありがとうございます。」
レタリーさんと店を出て少し歩く。
激しい金属音や爆発音から、まださっきの争いは続いているのだろう。
「あの、さっきはありがとね。」
「いえ。…あぁ自己紹介がまだでしたね。」
そう言うと彼女は花が舞ったかのように振り向く。
「私はレタリー。マーサル神社で双子神様の下で働いております。ようこそ!ここカフリーア大陸へ。案内役として皆様をご案内しますね。」
レタリーさんは笑顔で答えてくれた。けど…
「案内役…?」
ダインは何かに気づいていそうだったが黙っている。
「シサイ様・テサイ様直々のお客様ですから。双子神様はすごくあなた方に興味を持たれているのですよ?」
「え…?」
レタリーさんはこれでも自然に接しているのだろう。彼女の笑顔からは悪い気が少しも感じられない。
「じゃあ、よろしくね!」
「…はい!」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!