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魔王と私

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魔王と私

1 - 未来異世界

2025年01月19日

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「痩せません」

気がつくと10年で10kg体重が増えた。

「いやいやいや…」

食べ物を気をつけたり、ジムに通ったり、サプリを試したり、しかし全く痩せる兆しがない。

「はぁぁぁぁぁ〜」

頭を抱えながら、パンイチでその場でしゃがみ込んだ。

現実は目の前の体重計にある。

世界の終わりだとばかりに落ち込んでいると、後ろのドアを開けて、そんな私の様子を眺めているのは、

「リリア、そんな可愛いかっこうで何を落ち込んでいる?」

その声でびっくりして声をあげた。

「シュナイザー様?!」

「ああ」

あまりのびっくりさにブラ無しの胸を両手で押さえるだけで、クマのバックプリントがついたおパンツをシュナイザー様にバッチリ見られてしまった。

あわあわしている私をよそにシュナイザー様が着ていた上着を背中に羽織らせてくれ、

「風邪ひくなよ」

と言ってからドアを閉めて部屋を出ていった。

私は顔から炎が出るんじゃないかと思ほど、熱くなり恥ずかしさに悲鳴を上げた。

「イャャャャ〜!」


魔族と一言でいうと、悪党の集団と捉える人が多い。魔法を使う一族だから魔族。本来はそう言う事なのだけど、人間は私達の事を悪党集団の一族と認知している。

愚か者ばかりだ。

私は吸血鬼と人間のハーフ。凛々しい吸血鬼のパパはママにぞっこん。ママは人間でミーハーであり細かい事は気にしない、今さえ楽しければ良いと思う人なのでパパが吸血鬼って聞いてもどうでも良かったみたい。

吸血鬼の中でも純血種にこだわる一族もいるけど、我が家の一族はあまりこだわらないので私も生きやすいし安心な場所である。ハーフの吸血鬼なんてバカにする同族もいるけど、実はハーフは両方の可能性のいいとこ取りで、能力はハーフの方が上だと言う事を知らない。もう少し勉強して欲しい。

今住んでいるのは、魔王城の一室。どういうわけか魔王様、シュナイザー様と婚約しているのである。


この世界は魔法の力によって、様々な空間を出入りできる扉がある。

我屋敷の先代様の部屋に、その扉があるのだ。

未来異世界(人間界)•貴族異世界(人間界)・魔界、その他にもいろいろな世界があるらしいけど、パパにその扉を開くのを止められている。その中でも私のお気に入りは、未来異世界である。


シュナイザー様と初めて会ったのは、私のお気に、未来異世界の東京は新宿でのことだった。

テイクアウトしたコーヒーを持って歌舞伎町にある雑居ビルの屋上でコーヒータイム。

なぜこんなところで飲んでいるかと言うと、魔族ハンターから隠れているのだ。

魔族ハンターが未来異世界には存在する。ママの話によると、時々魔族がママの住んでいた未来異世界に現れ、悪さをしていたと言う。エクソシストとか陰陽師とか言う魔族に対抗する組織が魔族ハンターを設立したとか。あまり興味が無かったのでそんな話しか知らないけど、パパに出会ったのも、未来異世界の調査で鎌倉というところに行った時、ゴブリンに襲われそうだったママを助けた。その時、パパはママに一目惚れをして、このまま離したくなくて眷属にしようと思ったと言っていた。眷属にするには吸血をしてから自分の血を相手に飲ませるという。

吸血する寸前で、ママが覚悟を決めて首を差し出したという。パパはそんな潔いママに更に惹かれて、吸血をやめて唇にキスをしたんだって。ママのびっくりした顔が可愛くて、パパはその場で求婚したという。ママは超美形のヴァンパイアに一目惚れしてどうでも良くなってたと言っていた。幸せそうにそんな話を聞かされたっけ。両親の馴れ初めは置いといて、ハンターの歴史はまだ浅く、質はあまり良く無い。


見つかると厄介だけれど、未来異世界の食べ物や便利な道具もあってここは魅力的な世界である。

私は時々来てはコーヒーの香りと味を堪能しているのだ。

とそこへ、

『助けて…-…』

ヘルプを知らせるテレパシーの波動を拾った。

「このテレパシー…」

テレパシーの電波は一般の魔族と高貴な魔族のテレパシーの波長が少し違う。今のは後者の高貴な魔族の波動である。

私はスクっと立ち上がると、波動があった方へ体を宙に浮かべ飛び上がり向かう。目立たない様にパーカーのフードをかぶっていたが、風で頭から外れてしまう。魔法で黒色に変えた長い髪をなびかせて、空を飛びながら波動を探した。

街のネオンが体の下でキラキラ輝いている。

「ハンターに見つかったのかしら?」

少し緊張しながら進むと、また波動が私の頭を突き抜けて、今度は場所の特定ができた。

『助け…』

「分かった。今向かっているから」

と心の中で答えると、人気の少ないラブホテル街についていた。

ネオンが煌びやかなホテル、廃ビルと化したホテル、そして解体中のビル。その辺りから追い込まれたと思える波動の主を見定める為に使い魔を呼んだ。

「フィ」

すると煙の様に紫色の渦が現れ、コウモリが現れた。

「キュー?(呼んだ?)」

「ちょっと見てきて」

「キューっ(了解)」

ハンターの中には過激な奴もいる。焦って近寄ったら、魔族を囮にして呼び集めて、釣られた魔族の姿を見るなり対魔用の武器で瞬時に仕留める。どっちが魔族だかわからない所業をする過激なハンターである。

「キュキュー!(来てリリア!)」

フィの合図に助けを呼ぶ波動の主の元へ加速して向かった。

そこには大柄の男と若い細身の男、壁に追い詰められた魔族の小柄な女の子の姿があった。

私は直ぐに目眩しにコウモリの群れを男達に放った。その隙に女の子に近寄り、お姫様抱っこをして顔を覗き込んだ。

「あなた様は?!」

「そなたは私の事を知っているのか?」

「はい。とにかくここを離れましょう」

そう言って飛び立とうとしたら、大柄の男は対魔用のマグナム銃をぶっ放し、私は即座にスローのシールドで交わすが、対魔用の弾では貫通してしまう。風を起こして弾の軌道を外した。

弾が外れた途端、大柄の男は腰に掛けていたハンドルを掴むと、光の剣を作り走りながら剣を振り上げる。

私は亜空間を作り女の子をそこに入れる。

「私はヴァンパイア族、リリア•ララドールです。ご挨拶は後ほど」

亜空間の扉を閉めると、斬りつけてきた刃を風圧で飛ばした。

大柄の男は悔しそうに声を上げる。

「冬夜(とうや)!お前も加勢しろ!」

冬夜と呼ばれた細身の男は、やれやれといった感じで握り拳を右手に作るとこちらに向かってくる。

大柄の男は最速で光の剣を振り上げるが、私には遅く見える。剣を持つ手を手刀で叩き落とし、その流れで顔面の中心を渾身の力でグーパンチした。

「グハァ!」

とのけ反りながら吹っ飛んでいく。

冬夜は吹っ飛ぶ仲間を横目に、作った握り拳をふいっと方向を変え、意識がモウロウとしている大柄の男の腹にその拳をめり込ませた。

「内臓破裂、だな」

あっけに取られる私。

「仲間を殴ってどういうこと?」

冬夜は振り向き言った。

「ララドール家の姫、リリア」

名を呼ばれ緊張が背筋にはしる。使い魔のフィが私の緊張感に反応して肩に乗った。

「あなた誰?」

冬夜は右手の指をパチンと鳴らすと見ていた姿がグルリと歪んで変化した。

「?!ーなんて事!」

それは魔界の城がある、アルガナラ城の主、シュナイザー・サイドル・アルガナラ 魔王様である。

私は直ぐに膝を折りこうべを垂れると目を伏せた。

魔王の姿は頭の横から強そうな角をはやし、顔には面をつけ、黒い軍服とマントを着けている。漫画で読んだような、まんまの魔王像である。

学校の授業で、魔王様の姿はイメージした姿が目に映る。人によって姿は違うのだと言う。

それは魔王の持つユニークスキルの一つ「三者三様」の技。

「リリア顔をあげよ」

「はい」

すると魔王様は指を鳴らし、また違う姿をみせた。

その姿は私のどストレートのイケメン。姿形をいとも簡単にやってしまう。さっきから驚いてばかりだ。それに違う意味で緊張してしまう。

「…」

「リリア、そうかしこまなくてもいい。ここは魔界ではないからな。それより、姫を出してやってくれ」

「!」

すっかり忘れていた。

亜空間から女の子を出してあげる。

私の記憶が確かならば、彼女は魔王様の腹心で四天王の1人「ララドールの知恵の魔女」である。

我ララドール家は歴史が長く、コンタノール王国の初代王族であった。そこから、姫が無名のヴァンパイアと駆け落ちし、授かった男児の力があまりにも強く、魔界でもヴァンパイアの王となり純血種の姫を嫁にもらった。それと同時にララドールを名乗る。人間貴族のララドール家当主とヴァンパイア当主との会談でどうもめたか分からないけど、お互いにウィンウィンの関係を導き出し、今の様なややこしい状態になっているようだ。なので私がハーフという点で問題は無いのはそういう歴史があるからだという。

ヴァンパイアは寿命が長く、パパはこの方を大叔母と呼ぶ。私は面識は無いけど、この方は私を知っているかも知れない。

「リリア久しいな」

幼子の姿はしているが、見た目より100は超えた年齢だろう。

「はい、大叔母様」

と言っても記憶にございません。

「すまぬな、名前を聞くまで気が付かなかった。両親は息災か」

「はい、元気で毎日楽しそうです」

大叔母様は目尻を緩ませ笑った。

「ほぅ、お前がそんな顔をするのは珍しいな、姫よ」

魔王シュナイザー様は珍しい物を見る目で腕組みをしている手を外して顎を触った。

て!、こんな話をしている場合ではない。

私は危なく2人に流されるところだった。

「なぜこんな事になったのですか?」

大叔母様は腕を組み、

「まさか助けられるとは思っていなかったから驚いたぞ」

いやいや驚いたのはこっちの方ですよ。

と心でツッコミを入れる。

「魔族ハンターの質の悪いヤツをハントしていたのだ」

「え?」

「シュナイザーが冬夜になって、ろくでなしの魔族ハンターをおびき出す。囮には我が適任だったようだよ。ハンターには魔法は効かないから肝が冷えたぞ」

とシュナイザー様の方をチラッとみた。

「悪かったよ。他の奴らじゃ腕力があり過ぎてミンチにしてしまうから適任を選んだんだ。まさか、ララドールの姫が助けに来るとは」

チラッと私を見て鼻先で笑った。

「えぇーっと、なんですか?」

「リリア」

シュナイザー様は私の頬を指先で撫でて

「俺と婚約しないか?」

と突然口説いてきた。

「はぁ?」

大叔母様は片眉をヒクッと上げると言った。

「シュナイザー誰もかれも口説くでない」

「姫よ、俺は本気の相手しか口説かない。リリアは戦い慣れしている。ララドールは姫を戦場におくる教育でもしているのか?肝が座っていたぞ。それと使い魔まで操れるなど」

「あの〜…」

いろいろとツッコミたい。

「リリア遠慮するな、言ってみろ」

とシュナイザー様。

「私の婚約話は置いといて、この男はどんな所業をしたのですか?」

「ああ、こいつは魔族の女を捕まえては、ここ(未来異世界)の人間に売ってたと報告があってな。陰陽師の代表と取引して始末する事が決まっていたのだ。リリアの戦いは見事だったぞ」

「え、あ、ありがとうございます?」

お礼を言って良いのか分からない。

「テレパシーを使ったのは?」

今度は大叔母様が答える。

「たまたまだ」

「たま…?」

たまたまって、正直人騒がせである。

シュナイザー様は私の額を指で突くと言った。

「質問タイムは終わりだ」

そして指をパチっと鳴らすと私の意識を奪ったのだった。


シュナイザーはリリアの体を抱き上げる。

「ララドールの知恵の魔女」スーリア•ララドール今年300歳(人間年齢50歳)はシュナイザーにチクリと言う。

「シュナイザー、我の姪をたぶらかすつもりか?」

「姫よ、俺はリリアと会ったのは初めてじゃ無いんだよ」

「だからどうした」

「子供の頃、リリアの血を貰っている」

「シュナイザー、事と次第によっては…」

スーリアは右手に強めの風玉を作った。

「まぁ待て。城に帰ったら説明しよう」

スーリアは手に作った風玉を消すと、ゲートを開いてアルガナラ城へ帰還するのであった。



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