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玉ねぎを切り進めていた咲の目が、じわじわと熱くなってきた。
「……っ、うぅ……目が……」
涙で視界がにじみ、思わず手を止める。
するとすぐに横からタオルが差し出された。
「ほら、無理するなって」
悠真が穏やかな声で言う。
「す、すみません……」
タオルで目元を押さえると、隣で悠真が代わりに包丁を握っていた。
「こういうのは俺に任せとけ。妹ちゃんは人参でも頼む」
冗談めかした調子なのに、当たり前のように助けてくれるその姿に、咲の心臓はまた強く跳ねた。
(……なんでこんなに、嬉しいんだろう)