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夕飯の後、食堂から少し離れた廊下で履歴から再度(名前)に電話をかけた。
_ツー、ツー、ツー。
まだ電話中?
一時間以上も経ってんのに。
長電話なんて、(名前)は好きじゃなかったし。
かけ直すボタンを押し、連続でもう一度電話をかけた。
_ツー、ツー、ツー。
流石に寝る前なら絶対に出てくれるはずだ。
(名前)は寝る前必ずスマホを触る癖があるから。
次掛ける時は絶対電話中じゃ無いだろう。
そう思い、少しの不安と共に俺は寝るまでの間を過ごした。
時刻は十時を回っていた。
流石にもう電話はしていないだろう。
俺は確信を持って、通話画面を開いた。
部屋で電話をするとルームメイトの邪魔になると思い、廊下で電話を掛ける。
_____ツー、ツー、ツー。
…は?
まだ、電話中?
流石に無いよな。
おかしいと思った。
俺のスマホがとうとう壊れ始めたのかとも思った。
俺は通話画面を閉じ、検索アプリを出して、この状態は何なのか調べた。
調べなければ良かった。
検索結果に出された文字は、俺にとってあまりにも残酷だったから。
__相手に電話をかけても通話中の音がずっと鳴るのは、
「…着信拒否」
頭から血が抜けて全身が冷えた感覚になった。
喉が詰まって息が上手くできない。
目がまわる。心臓が変な速度で激しく脈を打つ。
息ってどうやってするんだっけ。
必死に息をしようとしても、上手くできない。
体の奥から何かが込み上げてくる。
吐き気がする。気持ち悪い。
俺は近くのトイレに駆け込んだ。
ボトボトと、消化しかけの夕飯が便器の中で音を立てた。
嘘でしょ、着信拒否とか。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…うそだ。
インハイのあの時、(名前)に手を弾かれた感覚が蘇った。
やめてくれ。これ以上俺を拒まないで。
これ以上、遠くならないで。
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