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a™様からのリクエストです。遅くなってしまいすみません…の気持ちです。リクエストありがとうございました!!
家族パロ。皆忙しくて相手をして貰えず辛くなっている💡のお話です。呼び方に違和感あったらすみません!!
長男🐙🌟
次男👻🔪
三男💡
末っ子🥷🔫
友情出演🤣🐝
inm視点
「ライやんな…!?」
大学からの帰り道で偶然、大親友のマナに会った。久しぶりに会ったのに全然気まずさは無く、その場ノリでカラオケに行くことになってから数時間、喉の疲れがまだやってこないオレたちは短針が10の数字を過ぎたことに気が付かなかった。
「次何歌おうかな」
「やっぱあれちゃう?」
「え〜ひばちさんいっちゃいます??」
「なんでオレなん!!そこはライやろ」
「はいはい、デュエット曲選んだので強制で歌ってもらいます」
「なんでや!!おかしいやろ!!」
大学の友達も楽しいが、やっぱり持つべき友だちは緋八マナ。ゲラゲラ笑って、歌って、のどが渇いてドリンクバーを何往復もした。次に飲むジュースを見つけるためにコップを手に取った瞬間、スマホが震える。
「ごめん、電話きたから出てくる」
「ええよ!いってら!!」
スマホには見知ったアイコンが映し出されていた。
「もしもし?」
「あ、もしもし」
「どうしたの?」
「いや、こっちの台詞。10時すぎたけどご飯いらないの??」
「え!?もうそんな時間!?!?」
「どうする?帰って来る?」
「うん、ごめん!!今すぐ帰る!!!」
喉の渇きなんて忘れてダッシュで部屋に戻り、マナに事情を説明する。マナは22時という時間に少し驚きつつも、ええんやで!と手を振ってくれた。フリータイムにしたのがまずかった。マナとなら何時間でもカラオケに居ることができてしまう。
「次の電車、5分後らしいで!ライなら間に合う!走れーーーー!!」
マナの全力応援を背中に浴びながら、駅までガチダッシュ。きっとボルトよりも速かっただろう。なんとか乗ることが出来たので、切らした息を電車の中で整える。
『電車乗れた!今日めっちゃ楽しかった!』
『途中で帰っちゃってごめんね』
マナとのラインのトーク履歴を数ヶ月ぶりに更新した後、スマホの画面は課題提出用のタブへ移動する。この課題、今日までだっけ。ん〜、なんとか間に合いそう。
ふと顔を上げると、電車はいつもの駅に到着して扉が開いていた。焦って鞄を背負いホームへ飛び出ると、電車内とは違いエアコンの効いていない空間にうんざりする。6月の夜でこんなに暑いのか。
「ただいま」
三者三様のおかえりが聞こえる。それとともにやって来たのは、誰もが惹かれる美味しそうな香り。カレー、だろうか。
「ごめん、今日みんな忙しいから自分でよそって」
「はぁい」
生温い返事をして、コンロに火を付ける。鑑定士の仕事を持って帰ってきてしまったのだろう、オレの見たことのない金属の塊のようなものを虫眼鏡で眺めているのは、長男のるべ兄。パソコンとにらめっこしながらドキュメント―あれは暗殺リストだろうか―を作っているのは、次男のロウ兄。そして、眠い目をこすりながらクナイの手入れをしているのは、末っ子のカゲツだ。最近みんな忙しそうで、今日マナと出会ったことすら話せそうにない。
「ねぇ」
割と大きな声で言ったつもりなのだが、誰にも届かなかったみたい。少し悲しくなりつつも、片手にスプーンを持つ。誰が作ったのかは分からないが、絶品のカレーだった。一口、もう一口、とスプーンを進めていると、いつの間にか食べ終わっていた。
「ごちそうさま」
3人とも食べて暫く経っているのだろう。オレ以外の分の食器は既に乾燥していて、布巾を使わずとも片付けることができるくらいだった。洗剤をスポンジの上で泡立てる。この香りは、オレのリクエスト。こういう当たり前の、ふとした瞬間に感じる香りが好きだ。食器を洗い終わった直後、スマホが震える。ラインの通知だった。マナがスタンプを送信している。今、今しかない…。こころの中に抱えている違和感は、マナにしか吐き出せない気がした。
『マナ』
『どした?』
『今時間ある?』
『なんや、相談か?相方の俺に任せんかい!』
心強い。スマホから離れて3人を見ると、まだ忙しそうで。相談しようとしていたことを拙い文章でライン上に作り出した。
『ほぉん、なるほどな』
マナも4人兄弟で、話を聞いているといつも楽しそうだ。今日は遊園地に行くとか、皆で水族館に言ったとか。羨望したってオレの兄弟が変わるわけではないのだが。
『どうすれば良いと思う?』
それでもやっぱり、もう少し兄弟っぽいことしたい。家族みたいなことしたい。欲を言って良いなら、構ってもらいたい。るべ兄もロウ兄もカゲツも、オレにとっては大好きな家族だから。
『そんなん直接言ったらええやん!』
『でも』
『ライはツンデレだから出来ひんか〜w』
『そんな訳無いが???』
『ほんなら言え!!!』
わかった、と打つ手を止める。わかった、わかったけど。実際に行動に移せるかは別だ。一言言うだけで良いはずなのに、断られたとき、煙たがられたとき、そんな想像が広がってしまう。どうすれば…。
『やっば!提出期限今日までの課題終わらせてなかったわ!俺、なんか役に立った?』
『分からんけど、急にごめんな!ほな課題終わらせてくる!』
役にしか立ってないよ。ちょっと怖いけど、今日は無理だけど、いつか言おう。その決心が出来たオレはラインに文字を打つ。
『ありがとう、超助かった』
まだ作業をしている3人。時計を見るとあと少しで日を越えそうだった。やば、オレも今日までのレポートがある。ちょくちょく進めていたので今日中には終わるのだが、心の中の蟠りからは今日中に抜け出せない。課題の提出時間は、23時58分だった。
思考が回らない。マナに相談してから2週間、だろうか。大量の課題、メカニックの仕事が重なって寝る時間をまともに取ることができず、人生最大の眠気が到来していた。なんとか電車を降りて、家の前までやって来る。
「ただい、ま」
歩いているのに眠い。手を洗っているのに眠い。誰も居ない家を見て、今日のご飯はオレが担当だったことを思い出す。作らなきゃ、でも眠い。ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ、仮眠。
hsrb視点
「ただいま」
鑑定士のお仕事が長引いてしまい、きっと俺が最後だろうと家に帰った。聞こえてきたおかえりの声は、2つ。ライがいない?今日はライがご飯担当だったはずでは。それなのに、温かい中華風なスープの匂いが鼻をくすぐる。
「ライは?」
カゲツの手で口を覆われ、ロウが指を指す。指の先には、ソファで寝ているライが居た。そういえば最近、彼が寝る瞬間を見ていなかった気がする。忙しい、という理由を言い訳に、他人を見ることが出来ていなかったようだ。
「んぅ、るべ?」
「起こしちゃった?ごめん」
「ううん、ろう兄もかげつも、おかえり」
にっこり笑う彼の目は、いつもの3割程度しか空いていなかった。大学から帰ってきたまんまの格好。放ったような鞄の中からは、講義用のノートが数冊顔を出している。
「かげつ」
手を広げるライの姿。普段甘えることのない彼から発せられる愛情表現の愛おしいことと言ったら。彼にとって「お兄ちゃん」で居られるのは、カゲツの前だけだ。それなのに、俺やロウのこともしっかり見てくれている。
「みそお兄ちゃん………!」
久しぶりの甘えたいモードか??今のライは、いつも冷静な素振りを見せる彼とは違う。それはカゲツも感じているらしく、カゲツはライへ一直線で飛び込む。
「んわ、くすぐったい」
「へへ、みそお兄ちゃん今日甘々だね」
「そんなことない」
「いーや、ある」
カゲツがこちらに来い、と目配せをしてくる。末っ子は、末っ子なりに自分の世界を形成している。世間一般では我儘と言うものの、「我儘」という単語一言で済ませてはならないほどカゲツは自立していると思う。
「え〜ずるい。じゃあ俺もお邪魔しま〜す」
「んふ、るべ兄の髪なが。たべちゃいそう」
2人に覆いかぶさると、ライとカゲツはより笑顔になった気がする。ロウを見ると、気にもとめない様子。ロウも、次男なりにたくさんのやるべきことはある。それを難なくこなすのが当たり前かのように、時間を有意義に使っている。あぁ、素敵な兄弟に恵まれている。目を瞑っていると背中に温かい手が当たる。きっとこれは、ロウ。
「おれね、みんなのこと大好き」
「だからさ、その」
今の睡魔に任せて言いたいことを全て言おうとしたが、やっぱり恥ずかしさの方が勝ってしまうのだろうか。ライが口籠る。目を開けると、カゲツとロウの目は開いていた。今にも睡眠へ向かおうとしているライは、最後に一言を発する。
「もうちょっと、甘えてもいいのかな、なんて」
俺もロウもカゲツも、この瞬間だけ気持ち悪いほど笑顔だったと思う。普段素っ気ない態度をしている彼の本心を聞けて、嬉しかったのだ。小さな寝息をたてている彼から離れ、既製の卵スープに火をかける。この4人の大好物の匂いが部屋を充満させて、幸せな気分になったのは言うまでもない。
「明日、みんな休みだったよね?」
ロウとカゲツが頷く。考えていることは皆同じらしい。ソファの周りに布団を敷いてライを囲む2人。さぁ、明日はゴロゴロしよう。実は大好きなご飯とか、兄弟の好きなところとか、たくさん話そう。ちょっとだけ面倒くさいお客さんが居ること、嫌いな先生がいることだって、全部満足いくまで話そう。炊飯器が炊けたのを知らせる音が、ライ以外の耳に届いた。
コメント
1件
リクエスト書いて頂きありがとうございます、! ツンデレ等で中々言い出せないinmさんほんとに可愛くて最高です! ほんとにありがとうございました...!