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私は、いつも通り筍狩りをしていた。
時刻はもう夕方くらいか、
辺りが暗くなり始めていた。
竹林からの冷たい空気が頬を掠める…
「…今日はやたら大きいな、そんなに放置してた覚えは無いんだが…。」
採った筍を見比べていると
「うわぁぁん!!おかぁさぁぁん!!」
(迷い子かっ?!)
子供の泣き声が数十キロ先から聴き取れた。
筍が沢山入った竹籠を背負い、翔ぶように
その場所へ向かった。
(…何処だ、子供は…)
泣き声の在処へ向かうと、下駄を履き
沢山の花を持った男の子が座り込んでいた
「坊や?迷ったのかい?」
「う、うわぁぁぁ!!よ、妖怪…」
慌てて逃げようとする子供を安堵させるべく「…落ち着け、これをやるよ」
「?た、筍だぁ!」
とびきり大きい筍を渡した。
「さぁ、それをやるから着いてこい。お母さんに筍ご飯作ってもらいたいだろ?」
その子は「うん!」と元気よく返し、
私の手を握った。
「お姉さん、手が温かいね」
「そうか?自分じゃわかんないもんだなぁ…」暫くして、人里の外れに出た。
そこに居たのは
「…慧音じゃないか」
「妹紅!その子はどうしたんだ?」
「あぁ、竹林に迷い込んだらしくてなぁ…ちょいとそこの広場まで連れてってやろうとしたんだ。」
「私も着いていこう、その子の兄弟は寺子屋に通っているんだ。」
慧音が私の隣を歩き始めた…
「…やけに笑顔だな、慧音」
「な、なんの事だ?!」
惚けながら、余所見をする。
最近、慧音の様子がおかしい…何かあったのかと心配になる始末だ…。
「なぁ、慧音…体調とか大丈夫か?顔が真っ赤っかだぞ?」
「い、いやいやいやいやっ!元気だぞっ?!」「…それならいいんだけどな」
話していたら、広場に着いた。
「じゃぁな坊や、次は気を付けるんだぞ」
「ありがとう、妹紅さん!」
「慧音、またな…」
私は竹林まで戻ろうとした…
「も、妹紅!」
「なんだよ」
「…その、寺子屋にこないか?」
突然の提案に戸惑ってしまった。
「な、なんでだよ」
「いや、話したいなー…って」
「…なら私の家に行こう、筍料理でも摘みながら話そうじゃないか」
「あ…あぁ!」
私は慧音の手を握り、深い竹林にある家まで
連れていった。
慧音は驚きながらも笑顔だった。
いつもひとりぼっちの竹林は明るく、
素敵な場所に見えた。