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み お .
蛇口をひねり、凍るような冷たい水を何度も両手で掬って顔に叩きつける。
皮膚感覚が麻痺していくほどの冷たさを味わっても
胸の奥で燻り続ける後悔の念だけは、どうしても消えてくれなかった。
登校し、教室に向かう廊下は妙に長く、まるで底なしの沼を歩いているようだった。
周りからは、むさ苦しい男たちの下らない話し声や笑い声が遠く響いてくる。
いつもならその雑音に溶け込んでいたはずの自分が、今は完全に浮いているように思えた。
席に着いてからは、ただひたすらに昼休みになる瞬間だけを待った。
時計の針が進むのが遅くて狂いそうになる。
こんなに昼休みが待ち遠しいと感じたのは
宇佐美と初めて屋上で昼飯を食べるようになった、数ヶ月前のあの初々しい時期以来だった。
あの頃は胸が躍るような期待感に満ちていたけれど、今は違う。
心臓をギリギリと締め付けられるような、破滅の一歩手前の焦燥感だけが俺を突き動かしていた。
◆◇◆◇
昼休み
3時間目の終了を告げるチャイムが鳴り響くと同時だった。
移動教室から戻った俺は、机の上に教科書と筆記用具を乱雑に放り出した。
カバンを片付ける時間すら惜しかった。
何も持たず、ただ宇佐美の姿だけを求めて、俺は教室を飛び出した。
階段を二段飛ばしで駆け下り、1年生のフロアへと向かう。
騒がしい廊下を掻き分け
宇佐美の教室の前までたどり着いたとき、人混みの向こうに彼の姿を見つけた。
いつも通り、お気に入りの財布を両手に愛おしそうに抱えた、見慣れた宇佐美の姿だ。
「う、宇佐美……!」
心臓が跳ね上がる。今を逃したら次はないと思った俺は、なりふり構わず名前を呼んだ。
しかし——。
宇佐美は一瞬、俺の声に反応して視線を向け
目を合わせたと同時に
野生のオオカミに突如遭遇したウサギのように、ビクッと小さな肩を大きく震わせた。
その瞳に明確な「恐怖」の色が浮かぶ。
次の瞬間、宇佐美は踵を返して脱兎のごとく逃げ出した。
「宇佐美、待てって…!!」
廊下を行き交う生徒たちの視線が集まるのを感じたが、そんなものは知ったことか。
俺は必死に宇佐美の後を追いかける。
体格差の分、案の定すぐに追いつくことが出来た。
俺がその行く手を阻むように回り込むと
宇佐美は逃げ道を失った顔で振り向き、再び怯えた表情を俺にぶつけてきた。
「…なっ、なんで、追いかけてくるんですか……っ、!」
悲痛な叫びが廊下に響く。
「…っ、昨日のこと、ちゃんと謝りたい。話を聞いて欲しいんだよ」
できる限り声を荒らげず、冷静を装って言葉を紡ぐ。
だが、喉の震えを隠しきれないその声すらも
どうやら今の宇佐美には、ネガティブな方向に捉えられてしまったようだった。