テラーノベル
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「…もう、玩具でもなんでもいいんです。最初は暇つぶしって言ってましたし…先輩の悪い噂を周囲に流そうとも思ってないですし、だから……もう構わないでください…っ」
懇願するような宇佐美の言葉が、胸に突き刺さる。
(違う…そんなんじゃないのに……)
心臓が冷たい鉛に変わって、胃の腑へと落ちていくような感覚がした。
「…本当に思ってないんだってそんなこと……っ、全部嘘なんだ。誤解を解きたいんだよ……頼むから、一度でいいから話を聞いてよ」
「…っ、」
宇佐美が拒絶するように耳を塞ごうとしたそのとき
無情にも予鈴のチャイムが学校中に響き渡ってしまった。
「も、もう行きますから」
拒絶を決定づけるように、冷たく背を向けた宇佐美。
その瞬間、俺の脳から理性が消し飛んだ。
完全に考え無しで、動いていた。
俺は激しく遠ざかろうとするその華奢な背中に、後ろから縋り付くように抱きついた。
「…っ!?」
「ごめん。本当に違うんだ……っ、俺、本気で宇佐美のこと、好きだから……!」
廊下の喧騒が一瞬で消え去ったかのように思えた。
腕の中に感じる彼女の体温は細く、そして小さく震えている。
「そ、そんなこと今更言われたって────」
「お願い……っ、絶対ちゃんと理由を話すから。放課後…俺の教室に来て。俺……ずっと待ってるから」
これ以上拘束して恐怖を煽るわけにはいかない。
俺はそれだけを一気に伝えると、後ろ髪を引かれる思いで、すぐに宇佐美の身体から両手を離した。
宇佐美は一瞬
信じられないものを見たというように目を見開いて驚いた表情を見せたが
すぐに我に返ったように、弾かれたように自分の教室へと駆けていった。
一人取り残され、3年生のフロアへと戻る俺の足取りは、鉛を仕込まれたかのように重かった。
あんな風になりふり構わず
偉そうな約束を取り付けた自分に対して、再び激しい後悔が押し寄せる。
こんな強引な真似をしたって、所詮は俺の一方通行でしかない。
宇佐美が放課後、本当に来てくれる保証なんてどこにもないじゃないか。
考えてみれば当然だ。
怯えている相手なんだ。
散々「暇つぶし」だの「玩具」だの呼ばわりしてきた最悪の男に「待ってるから」と言われて
はいそうですかと素直に来るはずがない。
(普通、顔も見たくないよな…っ、いや……マジで何やってんだろ、俺)
宇佐美への底知れない申し訳なさと
自分の不甲斐なさにただただ意気消沈しながら、俺は重い足取りで自分の教室の席へと戻った。
◆◇◆◇
放課後
終礼のSHRが終わるアナウンスが流れる。
逸る気持ちをどうにか抑え込みながら、カバンを素早く肩にかけ、教室の出口へと一歩を踏み出した。
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み お .
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