輪廻転生って信じる?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 🍵「輪廻転生って信じる?」
 恋人からの突然の質問。
最近、すちくんはやけにこういうスピリチュアル系の質問をしてくる。
理由はよくわからないけれど。
俺はというと、そういうものに今まで興味を持ったことがないので最近のしつこさには少し困っている。
 👑「え〜、どうやろね」
 「まあ、普通に考えたらないけど、いろいろな話があるしわからへんし…」
 なのでいつもありきたりな返答を返して話題を変える。
 👑「てゆーか、」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 🍵「ねえ、みこちゃん」
 👑「なあに?」
 🍵「前世とか来世って信じる?」
 👑「え〜、」
 またか。もともと顔に出やすい君だから、心を許してしまった俺にはより一層わかりやすい態度をとる。そんな姿が愛おしくて、何度も何度も聞いてしまう。だって、もうじきこの質問もできなくなっちゃうから。
 
 
 
 
 
 付き合って2年の記念日。
2人で背伸びしてちょっといいディナーを食べに行って、カップルらしくイルミネーションを見に行ったあとの出来事。
 東京にしては少し寂れた街を2人で歩く。
大きな貴方の手は冬だって言うのにじんわりと汗ばんでいて、なんだか俺にもそれが伝染してしまう。
 さっきからずっとポケットに突っ込まれた貴方の右手が気になってしょうがない。
こんな期待するなんてちょっと図々しくて卑しいやつだと思うけど、そんくらい俺を好きにさせて、俺がこんな期待するくらい甘えさせちゃった貴方が悪いんだ、なんて笑えてきちゃう。
 でも、貴方の右手に握られていたのは俺が想像するような円形の金属じゃなくて、お揃いのキーホルダーがついた俺の部屋の鍵で。
 🍵「別れよう」
 👑「え、…?」
 「ど、どして急に、…」
 🍵「急じゃない、4ヶ月前くらいから考えてたよ、」
 👑「そ、っんなの、っすちくんの中だけでやろっ、!」
 🍵「…うん、」
 👑「意味わからへん、…っなんで、ひどい、」
 「ずっと好きやって言ったくせに、」
 🍵「うん、」
 👑「、っ…、」
 「うそつき、」
 🍵「うん、」
 👑「…っ、なんで、今日なんよ」
 🍵「…」
 👑「今日、付き合って2年の記念日なの、知ってた?、」
 🍵「…」
 👑「おればっかすきやったんや、結局最初から、」
 🍵「そんなこと、」
 👑「きらいや、すちくんなんて」
 🍵「っ、」
 👑「…、」
 🍵「?、なんか落ちた、よ…」
 👑「…」
 🍵「…、指輪、?」
 👑「、ぁ、っ…、か、かえしてっ、」
 🍵「…なんで、」
 👑「、っそんなの捨てればいいじゃん、いらないんだから、」
 🍵「、え、」
 👑「、っ…さいあく、」
 🍵「これ、俺に、?」
 👑「…ちがう、」
 🍵「じゃあ誰に、?」
 👑「知らん、そんなん、はよ捨てたら?」
 🍵「…、みこちゃん、」
 👑「…、」
 🍵「…、今までありがとう、楽しかったよ」
 
 
 
 
 
 
 
 🍵「荷物とかは全部捨てちゃって大丈夫。必要な物は全部もう持っていってるから」
 👑「…」
 馬鹿みたい。フったやつのこと律儀に家まで送って、荷物の片付けはもう終わってるなんてノンデリにも程があるんじゃない?
 🍵「じゃあ、おやすみ。」
 👑「…、」
 おやすみなんて言いたくない。
今日も貴方とここにいたい。
こんなに好きなのに。
 👑「…、だいきらい」
 こうでも言わないと壊れちゃいそうになる。
一方通行の恋心。自分勝手な利己的解釈。
 🍵「、うん」
 寂しそうに笑う貴方がきらい。だいきらい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 2年経って、だいぶ傷は癒えて、
それでも恋愛する気にはなれなくて。
 
 👑「あ、」
 🦈「!、お〜っ、みこちゃんやんっ」
 👑「こさめちゃん、久々」
 🦈「んねっ、…あ、てか大丈夫なん?」
 👑「、?何が、?」
 🦈「、え、何がって…」
 「すちくん、まだ元気、?」
 👑「…、あ、言ってへんかったっけ、?」
 「すちくんとは2年前にお別れしたよ」
 🦈「へ、」
 👑「、?」
 🦈「なんで、」
 👑「…、すちくんが、別れようって…」
 「他の好きな人でもできたんやないかな、
俺可愛くもないし魅力的でもないし、飽きられちゃったんやと思う、」
 🦈「それ、ちゃうよ…、」
 👑「え、」
 🦈「一緒に病院行こっ、!おるかわからんけど、っ…」
 👑「えっ…どゆこと、、?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 🦈「あの、っすちさんの面会って、」
 モ「すちさんですね…、」
 「…現在当院にはいらっしゃいません。人間違いでしょうか?」
 👑「なんで病院なん、?こさめちゃん、」
 🦈「、っ…あの、2年前のデータとかみてもらえますか?」
 モ「できますけど、」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 モ「あ、緑水すち様ですか?」
 🦈「そうですっ、!」
 モ「…申し訳ありません。症状の起伏が激しく当院では治療が難しかったので大学病院に移動されたあと、ご臨終されました。」
 👑「…、え?」
 🦈「っ、…、」
 モ「それと、これ。」
 👑「え、」
 🦈「…、?みこちゃん、なんか知っとるん、?」
 👑「、これ、どうしたんですか、?」
 モ「生前すちさんが大事にされていた指輪です。大好きな人からのプレゼントだ、と。」
 「棺桶には絶対に入れないで、と伝えられていて。」
 間違えるはずなんてなかった。
2年前のあの日の前日。
奮発して買った貴方の指によく映えそうなシンプルなデザインのペアリング。
片方は今も俺の首に。もう片方は、
もうとっくの昔に捨てられちゃってたんだと思ってた。
 こんなに綺麗に保存されてるなんて思いもしなくて。受付の看護師さんから渡されたそれからはすこし塩素の匂いがした。でもそれだけじゃなかった。大好きな貴方の甘くて苦くて、今になっても忘れられないこの匂い。
 👑「、っすちく、」
 だいきらいなんてうそだった。
すきで、だいすきでたまんなくて、
 🦈「…外で話そう、昔みたいにみんなも呼んでさ、」
 そう言ってから俺の手を取って近くのカフェに連れていってくれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 👑「…、だいたい、わかった」
 みんなから話を聞いて、大体の内容は掴めた。
 約3年前、すちくんのがんが見つかったこと。もう治療が難しい段階まで進んでしまっていたこと。見つかってから約8ヶ月後に余命宣告をされたこと。入院を求められていたが断り続けていたこと。4ヶ月後には目に見えて病気が進行してきたこと。
 
 🍍「…すちは、みことに迷惑をかけたくないってずっと言ってた」
 「迷惑になんてなるわけないって俺たちも何度も言ったけど、それでもすちは頑なに嫌がってた」
 📢「…すちの言う通り、俺たちは結局お前に伝えなかったけど、」
 「俺は、後悔してる。最後までお前がいてくれた方が絶対にあいつだって幸せだったはずだし、」
 🌸「…、いるまが言ってることが間違ってるとは思わないけど、俺は後悔してない」
 👑「、どして、?」
 🌸「…、すちだって一人前の男なんだぜ?」
 「好きな人に弱ってるとこなんてみられたくないだろ」
 👑「…、そ、それでも、」
 🦈「うん、」
 👑「、…、それでも、そばにいたかった、」
 「苦しいなら、しんどいなら、俺に言って欲しかった、無理なんてさすんじゃなかった、病気だって、もっと早く入院してたら治ってたかもしれないのに、俺が我儘いって同棲なんてするから、ずっと一緒にいてなんて言ったから、…っ、」
 「、ぜんぶおれがわるいんだ、」
 メンバー「それは絶対に違う、」
 🦈「悪くなんてない、好きだったらカッコ悪くなっちゃうもんなんだよ、」
 🍍「すちだって、お前の前ではかっこつけたかったんだよ、お前は間違ってないし、悪くない。もちろん、すちも。」
 🌸「すちは絶対に無理なんてしてなかったと思うよ、病院に行くたびに、お前の惚気話ばっかでうんざりするくらいだった、」
 📢「最後まで、すち、お前のことばっかだったからな、」
 👑「…、でも、おれ、」
 「だいきらいっていっちゃった、っ…」
 「だいすきなのに、っうそついて、」
 📢「それはお前が悪い」
 👑「…、ぅん、」
 🍍「悪いと思うんなら、一緒に謝りに行こうぜ」
 👑「へ、」
 🌸「みことが来たら驚くだろうな、」
 🦈「こさめにもないしょにしてたんだから会ってガツンと言ってやんないとっ、!」
 🌸「実はこさめは間違えて言いそうだから口止め食らってた笑」
 🦈「はーー??!!あいつ許さんっ、笑」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 らんらんの車で片道2時間。
のどかでとても東京とは思えないようなここに、どうやら貴方は眠っているらしい。
 黄色の菊の花は綺麗に咲き誇っているけれど、榊は少し萎んでいて、これじゃダメだとらんらんといるまくんはお花屋さんに
 なっちゃんとこさめちゃんはお墓を掃除するために水と箒をとりにいった
 
 
 
 
 カンカンと照る太陽に反射された綺麗なお墓
綺麗に咲き誇る黄色の菊の花
お供えされた緑茶と和菓子
 👑「…、すちくん、だいきらいなんてうそだよ」
 「ずっと、だいすき、…いまも、」
 「指輪、大切にしてくれてありがと、っ…」
 言葉が詰まってうまく話せない、
涙が滲んで貴方の姿が見えないの
 俺が泣いたらいつでも抱きしめてくれて、背中を撫でながら頭を支えてくれて
もうしてもらえないっておもったらどうしようもないくらいやるせなくて
 👑「…、すちく、あいしてる、」
 
 
 
 
 「おにいさん」
 👑「、!…へ、」
 知ってる。間違えるわけない。こんなに優しくて大好きな声は貴方だけだから。
 振り返ったら、貴方と瓜二つな学ランを着た男の子。他人の空似なんて言葉が頭をよぎって、少し冷静になってからもう貴方はここにいないことを思い出す。また少し目頭が熱くなる。
 🍵「輪廻転生って信じる?」
 少しイタズラっぽく笑った貴方に、大きく首を縦に振ったあと、思いっきり抱きついた。
 その後戻ってきた4人も、すちくんに次々抱きついて、大人気ない俺は少し嫉妬したけど、でも、大好きな貴方がいるなら、もうこれ以上何にもいらないって思ったよ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
コメント
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緑黄だぁぁ!!!!!嬉しすぎます😆タイトルが毎回違う読み方があるの好きすぎます💕全体的に神なんですけど特に最後ら辺の緑くんが指輪持ってたあたりが涙腺ヤバかったです😭
ぇ~感動🥲︎💞 最後まで格好付けたかった緑さんかわいすぎるし、最後まで緑さんを思い続けた黄さんも本当に好きすぎる😖🫵🏻💗 本当は緑さんだって黄さんの事大好きで仕方なかったのに癌のせいで別れを告げちゃったのがほんとに切ない😢 何で指輪から塩素臭がしたんだろう.ᐣってずっと疑問におもってるんです😶💭 他🍜さんもちゃんと緑さんや黄さんの事を考えて行動.ᐣしてて涙出ました🥲︎