テラーノベル
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全てを受け入れられる方のみお進み下さい。
それではどうぞ👋
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
どうしようもなく寂しくなって、一夜の繋がりを求めて夜の街へ出かけた。
俺は出会ってしまった。
そいつは洒落たバーの隅で、場に合わないジョッキのハイボールを浴びるように飲んでいた。
「綺麗な目ェしてんな。お前。」
「…なぁに?僕とエッチしたいの?いいけどお〜、その代わりお金ちょーだい?」
「……」
「おっけー?ってこと?…おにーさん喋んないね、どーてー?緊張しちゃってる感じ?」
「違う。」
「あは、やっと喋った〜。じゃあついでにおしえて!男抱いたことはあるの?」
「……ねぇな。」
「ふーん、 じゃあ男は僕が初めてってこと?」
「まぁ…そうやね。」
「…なんでそんなテンション低いわけぇ?」
「なんだっていいだろ。悪いが大人しく抱かれてくれ。」
「あは、それ得意〜」
奇抜なピンク髪。右耳に光るイヤリング。
鼻腔をかすめる酒の香り。
真っ黒なシャツ。濁った瞳。
「あ、ぅン…ッ♡♡」
砂糖をとかして煮詰めたみたいな甘い声。
それが、俺の中のあいつだった。
「あ、れ?あは、この前のおにーさんじゃ〜ん…。」
「おま…何があった、大丈夫か?」
あいつにまた会ったのはその一、二ヶ月後だった。この前とは違って、路地裏でぐたりと倒れていた。こちらを見て、へにゃりと笑うのは以前と変わらなかった。
「ん〜?大丈夫だよぉ。ちょっとオイタしちゃっただけだしぃ。」
あの時とおなじ、仄暗い瞳でこちらを見る。よく見れば首の周りには痣のような跡が散らばっていて、それを強調するようなオーバーサイズのパーカーは彼の印象にそぐわない大人びた紫色で、なんとも言えない不快感を感じる。
「……着いてこい。」
「えー、ちょっとなにぃ?ナンパぁ?」
「あ”?…まぁ、そういうことでいいわ。怪我してんだろ、大人しく着いてこい。」
「……」
ぐつぐつと、身体の中に怒りとも、嫉妬とも言える何かが煮えたぎっている。こいつは危機感が無さすぎる。路地裏に転がってたら誰に何をされたって文句なんか言えないぞ、と悪態をつきながら自宅へと向かう。
「ここお家?イイとこ住んでんねー。」
「いいからほれ、脱げ。」
「えー!ケダモノじゃーん笑」
「オメェ人の善意をなぁ……」
「んは、うそうそ。はいどーぞ。」
取り敢えず傷の具合を確認するために紫のパーカーを脱がす。現れたのは噛み跡、キスマーク、痣、引っ掻き傷…。あぁ、男に抱かれたんだ、と遅れて理解した。にしてもだいぶ酷いことになっている。青あざになっている所もあるし、首の跡が痛々しい。噛まれて溢れた血が固まって黒く残っている。
「…おい」
「なに?こういうことするのやめろって言ったって聞かないからね。」
濁った瞳が瞳孔をきゅっと細めてこちらを見る。それが彼なりの生き方だから、否定はできない。
ただ。
「自分の身体は大事にしろよ。あんまり自分を安売りすんな。」
「…はぁ?なに、心配?」
「そうだよ。お前みたいな若いのは調子に乗るがそういうのは後からツケが回ってくるんだから…。」
「……ぅははは!!なにそれ!おじいちゃんじゃん!僕とそんな変わんないくせに!」
「あ”〜?俺は白狼だからお前みたいなガキよりよっぽど長い人生生きてんだわ。」
「はくろー…って西にいるんじゃないの?」
「よく知ってんじゃん。そう、俺は西の人間だよ。お前は東生まれ?」
「ん?知らなぁい。僕生まれた時から一人だったからねぇ〜。」
「そうなんか。親はどうしたん」
「わかんない。少なくとも僕の記憶にはないから。」
「そうか…消毒液塗るぞ、染みるかも。」
「んぅ……ぃッたあい… 」
身体には情事の余韻が刻まれているのに、口調や表情には幼さの残るコイツのこのアンバランスさはそのせいかと納得する。今も消毒液が沁みる痛みに文句を言いながらこちらを見ている様子は我儘な子供のようだ。
「次、絆創膏な。」
「はあい」
「…ところでお前、行くとこあんの。」
「ないよぉ。またあの路地裏で誰かに拾ってもらう予定〜」
絆創膏を貼る様子をまじまじと見ながらさも当たり前のようにそう言う。
「…うちにいろよ。飯とか、風呂とか諸々好きにしていいから。」
「…え〜?そうやって言うけどさー、すぐ飽きるんでしょお?また路地裏に戻るの嫌だから、あんまし優しくしないでよ〜…」
「……は?」
「違うわけ?」
「違うに決まってんだろ。自分より若いのが路地裏で寝てんのが許せねえってだけって言ってんだろ。少なくともお前が家見つけるまでは嫌でも置いておくからな。」
「……そ。別にいいけど…」
ソファの上で俯き、そうぽつりと零した。その様子は初めての場所で怯える猫のようだ。
「居心地良ければずっと居ていいから。とりあえずお試しでここいてくれよ。」
「わかった…、なんて呼べばいいの?」
「あー…ロウで。」
「ロウ、ね……あ、僕のことはウェンって呼んでね。」
「ん。ウェンな。とりあえずよろしく」
「…よろしく、お願いします。」
差し出した手をおずおずと握ってくる。目線がおろおろと落ち着かなくて、生まれて初めての経験に戸惑っているようだ。その様子は見た目にそぐわず幼子のようだった。
「遠慮しなくていいからな。」
「…ん。」
結局僕は一日だけ、ロウの家にお邪魔することにした。 一緒にお布団で寝て、人のあったかさを思い出した。 朝ごはんにカップラーメンを食べようとするから、慌ててパックご飯を開けておにぎりを作った。自炊をしないから、お家に何にもなくて、仕方なく卵とネギを買いに行って、お昼ご飯にチャーハンを作った。おいしい、って沢山食べてくれて嬉しかった。
その後は一緒にゲームして、僕の得意なレースゲームでロウをボコボコにした。調子に乗っていたらその後FPSでボコボコにされたから「次は絶対勝つ!」って、次の約束をしちゃった。
次の約束をしちゃったら、もう帰れなかった。
だから、次の日も、その次の日もロウと同じお布団で起きて、ご飯を食べて、ゲームして、一緒のお布団で寝た。その次の日も、同じように一緒にいた。
初めのうち、僕はどうしてもロウが身体目当てで家に置いているとしか思えなくて、時々夜彼を誘った。でもその度ロウが悲しそうな顔で断るからやめた。ときどきちゅーして、たくさんぎゅってするだけでいいって言ってくれた。
「ロウくん、ぎゅうして!」
「はいはい。」
それだけで、とっても幸せだった。
でも
神様は僕の幸せが気に入らなかったみたい。
ぜえ、ぜぇ、と苦しそうな呼吸が聞こえる。時々、ゔ、と呻き声が零れて咳き込む。
「まじでお前さぁ怪我するなよぉ”!!俺が運ぶことになるんだからぁ!」
任務終わり、同僚が怪我でぶっ倒れ、俺が運ぶはめになった。要するに、面倒くさい仕事を押し付けられてしまったわけだ。怪我は報告しろと口酸っぱく言われているのにこの狼は頼るということを知らないらしい。こうなるまで黙るくらいならとっとと報告して医務室に行って欲しい。ひとつ、大きなため息を吐き、目の前のドアを見上げる。
「鍵どこ!ほら!渡して!」
「インターホン押してくれ…」
「は、誰かいんの?」
こいつ、誰かと住んでるのか。こんな、THE・一匹狼みたいな男が?
「ん”…」
「…」
どうやら本当に人と住んでいるらしい。まさか女?というか男と住んでいたらそれこそ謎が深まる。困惑しつつも早くこの重りを放り出したい一心でチャイムを押す。
ピンポーン
「はーい!どちらさ…ま…」
出てきたのは男。しかも、忘れもしないド派手なピンク頭。特徴的な猫のような目と、血色のいい肌。昔と違うのは瞳がきらきらと光を閉じ込めているところか。
「あれ、お前…」
「え、な、んで…」
「いや、こいつがやられたからさ」
「え!?ロウくん!!ええっととりあえず、一旦ベッドに…」
「俺運ぶよ。場所教えて」
「いや、大丈夫、ですから…」
おろおろと俺を家にあげないようにする態度にイライラする。こっちだってやりたくてこんなことしてる訳じゃないんだからとっとと家に入れて、こいつの重みから解放して欲しい 。
「運べないでしょ?ほら。」
「……こっち」
控えめに開かれた扉に体をねじ込み、案内された寝室に小柳くんを投げる。
ドサッ
「う”、てめ”…優しくおろせよ”…」
「ここまで運ばせておいてその態度な訳?次はねぇからな。」
「…あ”ざした…」
「じゃあ俺そっちいるから。」
俺が寝室を出るのと入れ替わりで、絆創膏や消毒液を抱えたウェンが部屋に入ってきた。いつの間に取りに行ったのだろうか。
「ロウくん!大丈夫!?」
「う”ぇん…すまん…」
「だいじょぶ、早く元気になってね!あ、なんか食べたいものある?飲み物は?」
「ふは”…お母さんかよ…ま、とりま寝るわ…ありがとな」
「うん!なんかあったら呼ぶんだよ!」
「うい……」
すぅすぅと寝息を立て始めた奴の手をぎゅっと握り、頬を撫で、髪の毛を手ぐしで梳かす。
「ろうくん……」
その献身的な様子に俺はなんとなく腹が立った。
「…久しぶりだね。ウェン。」
「……」
「知らないフリする訳?あんな可愛がってあげてたのに。まさか同僚の家に転がり込んでるとは思わなかったけど笑」
「…ロウくんは、そういうんじゃない…」
「ああ、そう。…もしかして、小柳くんに恋しちゃった感じ?」
「ちが…ッ!」
「いや、わかりやす…笑。へー。じゃあ小柳くんはウェンの秘密も知ってるんだ。」
「だめ!お願い、言わないで……」
「あのこと、隠したまま一緒に住んでんの?」
「……」
「俺が言ってあげようか?ウェンは」
「やめて!やめて…ください……。」
「……はぁ。」
気に食わない。あれだけ俺にべったりで、俺で処女を捨てて、俺の形まで覚えていたのに。いつの間にか俺の手から逃げ出して、別の男の家で俺の前では見せたことの無い、こんな、『恋をしています』と言わんばかりの顔をしていて。
「内緒にして欲しいんだ。じゃあ、もう一回俺に飼われてよ。」
「ッ!それは…」
「できないならいいよ。今から小柳くんに言ってきてあげるから。」
「……ゃ…なる、ペットなる…から……おねがい、いわないで……」
目をいっぱい涙を貯めて、こちらを上目遣いで見つめる仕草は俺が教えてあげたごめんなさいの合図。
結局お前は、ちゃんとご主人のこと覚えてるんだよ。どれだけ逃げても、嫌がっても、お前は俺のペットなんだよ。次は逃げないように、ちゃんと首輪をつけてあげる。リードも繋いで俺がちゃんと握っててあげる。
「取り敢えず今日は帰るから、また今度ね。」
「……はい」
「…大人しく小柳くんに全部話すか、俺のところに来るか、自分で選んでね。 」
「……!」
ドアを閉める。おれって結構優しいみたい。あんなに手放したくなかったのにな。まぁ、二人の幸せそうな空気を感じとれないほど俺は馬鹿じゃないから。せいぜいウェンの秘密を知って苦しんでしまえ、と誰もいない夜の小路に恨み言を吐いた。
「…………は…」
喉から押し出された空気が漏れた。そこで初めて自分が馬鹿みたいに緊張していたことに気づいた。
「……ろうくん、僕のこと嫌いになるだろうなぁ…。」
当たり前だ。誰彼構わず身体を売っていたら、たまたま好みの男に拾われてそのまんま飼われてました、なんて。しかもそれがロウくんの知り合いとか…僕ってつくづく運が悪い。
ショウくんは僕の初恋の人によく似ていた。二つ上の先輩で、お月様みたいな優しい人で…僕の変な目を可愛いって言ってくれた初めての人だった。
だから路地裏で声を掛けられたときに女神だと思ったの、この人だったら、僕を救ってくれるかもって。
「貴方の目、宝石のようですね。店に飾りたいので、暇なら少し付き合ってくれませんか?」
「……うん。いいよぉ、おにいさん、僕のこと愛してくれる?」
それで、お家に着いてったの。
〜〜〜〜終〜〜〜〜
・没理由⬇️
wnの隠す謎がなんなのかが上手く回収できない。
結局rbのところに戻るか否かを決められない。
引いた伏線が回収できずに終わりそう。
またダラダラと書いちゃいそう…。
#ローレン・イロアス
律華 #🤝 🗝️💸
7,090
コメント
2件

すごい好きです、、🦖🍱が可哀想になってるのすごい可愛くていいんですよね、、!ruwn ってやっぱりいいです!主様のここの没のお話、あんまり見た事ないものばっかりでどんどん癖が増えていきそうです😊上手く伝えられなくて申し訳ないです😢
いやあ、もうもうもう……読んでて胸がぎゅうぎゅうになりました。ウェンの過去と、ロウの優しさ、そしてショウという“飼い主”の存在が、一章の中でこれだけ凝縮されてるのに、すごくリアルで、切なくて。最後の没理由をさらっと書いてあるのも、正直「いやいや十分引き込まれたよ!」って思いました。ウェンの視点がぽろっと出たあたり、心臓掴まれました。続きが気になるよう……!