テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
お久しぶりです!
最近色んなことがありすぎて全くと言っていいほど小説が書けませんでした…
久しぶりに書けたのでこれからまた定期的な更新頑張っていきます!
くもりさんのリクエスト2!
どうぞ!
大森「…好きです。」
さぁっ、と一気に周りの音が消えた気がした。
藤澤「 “~~~” 。」
……
事の発端は12年前。
いつものように一人でスタジオに入ろうとしたとき。ドアを開けると片付けが遅れたのか、前の人がまだ室内に残っていた。
その人はバッサバサの金髪で、白いスキニーパンツに赤いベルト、Vネックの鯉がのぼってるピチピチの黒Tシャツといったド派手な服装。
最初は関わりたくないなー、早くどっか行って欲しいなー、なんて思ってた。
でも、
藤澤「ごめんねぇ、すぐ退くから…!」
なんてずっと言いながら慌てて片付けようとして、がしゃーんと逆に散らかしてしまうような姿を見て、少し愛らしいなって思ってしまって。
話しかけてから12年。
ずっと僕は…”彼に恋をしてる”。
結構攻めた行動をしても彼はほわほわと受け流して全く気がついていない様子で。
いつか絶対告白する、って決めていたけど、なかなか勇気が出ずにいた。
ある日の練習後、若井がふと思い出したように声を上げた。
若井「そういえば、今週末〇〇でお祭りあるらしいよ」
大森「そうなの?お祭りかー、最近行ってないなぁ…」
記憶を探ると、お祭りなんて最後に行ったのは2年も3年も前のことだった。
若井「涼ちゃんと二人で行ってきたら?」
大森「え、若井は?」
若井「あー、その日仕事なんだよね」
大森「あれ?そうだっけ?」
若井「そーそー、なんか急に入ったみたい。」
大森「ふぅん。」
どうにも違う気がして予定表をぱらぱらと見ていると、涼ちゃんが帰ってきた。
若井「あ、涼ちゃん。ちょうどよかった」
藤澤「え?なになにー?」
若井「あのねー…」
若井が僕にしたのと同じ説明をしていて、涼ちゃんも同じように「若井は?」と聞いているのをみて、本来の目的を思い出す。
今週末はー…
最新の予定表には3人offの文字。
大森「やっぱこの日オ…」
と言いかけると、若井が静かに近づいてきて、人差し指を僕の口にそっと当ててその後の言葉を封じてきた。
若井「しー。」
大森「なんでだよ」
若井「せっかく2人にしてやるんだから。」
大森「はぁー?」
そして僕にしか聞こえない声でとんでもないことを言い出した。
若井「だからさ、絶対成功させろよ?」
大森「なにが?」
若井「え?そんなの決まってんじゃん!告白だよ こ、く、は、く♡」
聞いた瞬間思考が停止した。
こいつは何を言っているんだ?
だんだんと冴えて嫌々理解していく僕の頭。
大森「はぁ!?むりむり!何言ってんの!?」
突然すぎる言葉に動揺を隠しきれない。
若井「大丈夫、大丈夫。」
僕の肩にぽん、と手を置き、んじゃ、お先ーと若井は帰ってしまった。
大森「ちょ、」
まじかよ…大丈夫じゃねーよ、
ちらっと涼ちゃんのほうを見ると、るんるんであと片付けをしていて断るにも断れなさそうだった。
まぁ、僕も楽しみだから断る気はなかったけどさ…
てか、なんであいつ僕の気持ち知ってんの?
…
バタバタしていると1週間なんてあっという間に過ぎて、悩んでいるうちにもう前日。
状態を確認するためにクローゼットから浴衣を取り出す。
夏祭りのことを考えるとどうしても若井の言葉が蘇ってくる。
大森「はぁ…告白なんてできないよ…」
12年想い続けてきた。
だからこの気持ちが本物なのはわかっているし、涼ちゃんともっと深い関係になりたいと思ったことがないかと言われれば嘘になる。
だけど。
今の関係が壊れるのがどうしても怖い。
これで振られた場合ミセスはどうなる?
また休止?解散?そんなの絶対に嫌だ。
ここまで築き上げてきたものが崩れることほど心が壊れるものは無い。考えるだけで胸が苦しくなる。
考え続けること数時間。
大森「はぁ…頭ん中ごちゃごちゃになってきた…また明日考えよ、」
浴衣を綺麗にハンガーにかけ、歯を磨いて布団にくるまった。
次の日の朝は案の定、お日様より先に目が覚めてしまった。
気分を切替えるために散歩に出る。
戻って朝ごはんを食べてゆっくり曲作りや家事をしたりなんてしていたらあっという間にお祭りの時間が近づいていた。
楽しみだけど、どこか気が重い、なんて初めての気持ちを抱えながら支度をする。
夕方、空がオレンジに染まり始めた頃。
支度を終えた僕は、浴衣の襟をそっと直して、深呼吸して家を出た。
待ち合わせ場所に向かう足取りがいつもより重いのは、きっとこの胸のざわつきのせいだ。
角を曲がった瞬間、そこに涼ちゃんがいた。
黒地の浴衣に、金の波みたいな模様がさらっと入ってて。
普段はふわふわしてるのに、今日はちょっと“大人の涼ちゃん”みたいで。
灯りで髪がふわって光って、そのあまりの綺麗さに息を飲んだ。
大森「……っ」
思わず足が止まる。
藤澤「あ、元貴。来たんだ」
いつもの笑顔。いつもの涼ちゃん。
なのに、声の端っこにちょっとした“余裕”みたいなの混じってて、心臓がどくん、と跳ねた。
来たんだ、って……
まるで僕が逃げると思ってたみたいな言い方じゃんか、
大森「行くって言ったじゃん…来るよそりゃ」
藤澤「うん、分かってたよ。でも……」
一歩だけ近づいてくる。
浴衣の裾がさらって揺れて、その距離が一気に縮まる。
藤澤「今日の元貴、すごく緊張してるから」
大森「……なんで分かんの」
藤澤「そりゃ分かるよ。12年見てるんだよ?」
柔らかく言うくせに、そのなんでも分かってるよ感がずるくてさ。
もう逃げ場ないじゃん、って思わされる。
藤澤「ほら、行こ?」
歩き出した涼ちゃんの袖がふわっと揺れて、
まるで僕を先導するみたいに前へ進む。
気づけば、自然とその後を歩いてた。
胸の重たいのも少しずつ溶けていて。
屋台の灯りが遠くに見え始める。
藤澤「元貴、何食べたい?なんでも付き合うよ」
その言い方もさ、今日くらい全部任せていいよ
って言われてるみたいで。
ずるいなぁ、ほんと。
屋台の灯りが近づくにつれて、胸の奥がじわじわと熱くなる。
人の声も、提灯の赤も、どこかぼやけて見えるのはやっぱり隣にいる涼ちゃんのせい。
藤澤「元貴、これ食べる?」
差し出されたのは、ひとつだけ取ったたこ焼き。ソースの香りがふわっと上がって、それだけでお祭りに来た実感がやっと湧いてくる。
大森「……一個だけ?」
藤澤「うん。元貴が食べてるの見たかったから」
なんでそんな恥ずかしいこと、さらっと言えるの…
たこ焼きひとつなのに、胸の奥では花火みたいに熱が弾ける。
大森「じゃあ僕、他のも買ってくるよ」
そう言って歩き出そうとした瞬間、ぐん、と腕が引かれた感覚に思わず振り返る。
涼ちゃんが僕の腕を掴んでいた。
藤澤「なら、一緒に行こ」
その指が自然に絡んでくる。
手…繋いじゃった……///
そのまま二人でいくつかの屋台を回る。
もう手を離すタイミングなんて分かんない。
藤澤「ねえ、元貴」
名前を呼ぶ声がやわらかくて、胸がくすぐったい。
大森「なに?」
振り向いた瞬間、涼ちゃんがぐっと近づいて、僕の唇の縁をそっと指で撫でた。
藤澤「……ふふ、ついてた」
指先についた欠片を、ためらいなくぱくっと食べる。
んな…っ……!
ほんとこういうとこ、ずるいんだって…
灯りが涼ちゃんの横顔を縁取って、今日の彼はほんとに反則級で。
風より先に、涼ちゃんの気配が胸の中へ落ちてきて……逃げ場なんてもうどこにもない。
藤澤「ほら、行こ。花火、始まっちゃうよ?」
袖ごしにつつかれた一瞬だけで、胸のざわつきがぽん、と火がついたみたいに弾けた。
花火に照らされる涼ちゃんの横顔は、いくつもの色が重なって、いつもよりずっと綺麗だった。
この花火が終わらなければいいのになぁ…
なんて気持ちとは裏腹に、時間はどんどん進んでいく。
最後の花火が全ての空を彩ったとき、涼ちゃんが僕の方を向き、にこっ、と笑った。
大きく胸が弾み、改めて好きなんだと実感させられる。
フィナーレの音楽も終わって、他の人が立ち上がって帰っていく中、僕たちはまだしばらく余韻に浸っていた。
藤澤「僕たちもそろそろ行こっか」
涼ちゃんが片付けをしながら口にした。
大森「そ、そうだね!」
慌てて立ち上がり、荷物を持つ。
ゆらゆらと2人で歩きながら最初の待ち合わせ場所へ向かう。
あの街灯が遠くに見えてきて、どうしようという気持ちに心が締め付けられる。
どうしよう、言えるかな。やっぱり怖いな、
言わなければいいかもな。
そんな複数の気持ちが浮かんではぐるぐると黒く渦巻き始める。
…やっぱり、言えない。
振り向いてくれるはずないから。
底まで落ち込んでしまった気持ちはもう掬い上げる事が出来ず、僕はそう決断を下した。
藤澤「もう、ついちゃったね。」
大森「そうだね、」
藤澤「楽しかったね。元貴と来れてよかった。」
最後までそんなふうに言われて、また心が揺れ動く。
藤澤「…それじゃ気をつけて帰ってね。」
大森「うん、ばいばい」
手…離れちゃった。
このまま離れていくのだけは嫌だな。
後悔の念が激しく押し寄せ、もう一度気持ちを整理して考え直す。
僕は本当にこれでいいの?
ううん、良くない。
やっぱり伝えたい…!
続きは今日の21時投稿します!
#みせすぐりーんあっぷる