テラーノベル
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───2人がカルラ村に着いたのは日が登り朝を迎えた頃だった。
ハーデス一人であったなら何百倍も早く着く事が出来たがメインに合わせていた事もあり、時間がかかってしまったのだ。
とはいえ、一般的な男性より少し下ぐらいの体力しか持たないメインと超越者たるハーデスと比較するのは酷であろう。
ともかくとして彼ら2人は無事カルラ村に着く事が出来た。
息も絶え絶えで地面に寝転がっているメインを見下ろしながら、ハーデスはカルナ村までの道中の事を思い巡らす。
メインを気遣って何度か休憩を挟みながらカルナ村に向かう道中で、ハーデスは幾つか知りたい事をメインに訪ねた。
「幾つか貴様に問いたい事がある」
「⋯⋯ハァ⋯⋯⋯⋯ハァ⋯⋯⋯、私めで⋯⋯答えられる範囲で⋯⋯あれば答えましょう」
メインが息を整えるまで少し待ってからハーデスは口を開いた。
「冒険者なる者にはどうしたらなれる?」
他に聞く事があったであろうにハーデスはそんな事をメインに訪ねていた。
最も、冒険者という響きに城を出てきたのがハーデスである。
当然と言えば当然か。
対してメインは、ハーデスの問いに面食らったようにへっと声を漏らした。
「えっと、ハーデス様は冒険者ではなかったのですか?」
「うむ、これより冒険者になるつもりよ」
恐る恐ると言ったように訪ねてきたメインに肯定を示し、ハーデスはニッと笑った。
「⋯⋯ハーデス様はもしやこの大陸の者ではないのですか?」
「何故に、そう問う」
「『アース』において、冒険者になる方法を知らぬ者はいないでしょう。
それほど冒険者というものは有名で皆の憧れであるのですよ。
小さい子供でもその方法を知っています。
それに他の大陸には冒険者がいないとも聞きます。
ですのでハーデスは他の大陸から冒険者になるべく来たのではないかと考えたのです。」
「うむ、貴様の考えの通り余は他の大陸より来たばかりよ」
異世界から来ました、何て言える筈もなくハーデスは不自然がないようメインの言葉を肯定する事にした。
それに対し、メインはやはりそうですかと口にすると続きの言葉を紡いだ。
「それなら、冒険者になる方法の他に通貨などの説明もした方がいいかも知れませんね。
大陸が違うと通貨も違うと聞きますし」
「うむ、その方が助かる」
「では、お先に通貨の方から。
こちらの大陸ではGと呼ばれる硬貨が通貨となっています。
5Gほどで林檎なんかが買えますよ。
庶民の平均的な月の収入は20000Gで、無理をしなければ一月は余裕で食べていけます。
税なんかも他の国に対して比較的に安いのも大きいですね」
そう言って懐から財布と思わしき布袋を取り出すとその中から幾つかの硬貨を取り出しハーデスに見せる。
1番大きいもので五百円玉ほどの、小さいもの1円玉ほどの大きさだ。
メインはその中の五百円玉ほどの大きさの硬貨を指さす。
「硬貨は大きさによって価値が違うんですよ。
この1番大きいものが最も価値があって1枚で1000Gほどの価値があります。」
その次に大きい硬貨を指差しながら説明を続けるメイン。
『アース』における通貨は全て硬貨であり、1Gが日本円にしておよそ10円の価値がある。
大きさによって価値が変わり、硬貨には国の紋章である獅子が刻まれていた。
その裏に数字が刻まれており、その硬貨の価値が直ぐ分かるようになっている。
硬貨の種類は全部で7つあり、1000G、500G、100G、50G、10G、5G、1G
で全部である。
「以上が『アース』における通貨です。
国によって刻まれている紋章の違いこそはありますが、その価値は全く同じなので安心して下さい」
布袋に硬貨を仕舞うと、次に懐から取り出しのは一枚の地図であった。
「では、次は国について軽く説明しましょう。
この大陸には五つの大国と四つの小国があります」
『アース』は日本における四国に近い形をしており、メインが言ったように地図には五つの大国と四つ小国が記されていた。
その中の一つ、地図に描かれた大国の中で最も大きく大陸の丁度真ん中を領土とする国をメインが指差す。
「此処が今私達がいる国『スヴェリア王国』でございます。
大陸で1番大きく、最も豊かな国とされています。
女王エリス様がつい最近王位に就いたばかりですが、先代女王のフラン様が居りますので大きな混乱は起きていませんね。
後、抱えている冒険者の数も最も多いですから、最も戦力を持っている国と言っても過言ではありませんね」
次にメインは『スヴェリア王国』の左に位置しその国土に匹敵する大きさの国を指差す。
「こちらの国の名は『ガリア帝国』といい、皇帝エドモンド様の独裁が敷かれています。
それを民や貴族が受け入れているのですからその政治力が伺えますね。
噂によればエドモンド様は武の方も立つようで冒険者に匹敵する強さをお持ちとか⋯⋯。
『スヴェリア王国』の次に冒険者を抱えている国で、強い者はとても優遇されるそうですよ」
そこまで言うと徐に地図を仕舞い始めその様子をハーデスは訝しげに見つめる。
それに気づいたメインは困ったように笑いながら口を開く。
「ははは、いやぁ全てを説明していると時間が掛かかりますからね。
冒険者として活動するなら主に知っておく必要があるのはこの二つの国だけですよ。
他の国に関しては時間がある時に説明しましょう」
「好きにせよ」
「さて、冒険者になる方法ですがそこまで難しいものではありません。
恐らくハーデス様なら簡単になる事が出来るでしょう」
「ほぅ⋯⋯」
「冒険者になるには冒険者組合で試験を受けそれに合格する必要があります。
危険な仕事を受ける事が多い仕事なので弱ければ務まりませんからね」
「なるほどな。
して、冒険者組合は何処にあるか存じているか?」
「大抵の場合は王都にありますね。
人の行き来の盛んな都市なんかにもたまにありますよ。
私達がこれから向かうオリオンにもありますので安心してください。
場所に関しても宜しければ私めが案内しましょう」
「うむ、期待しておこう」
「はい、お任せ下さい。
さて、私めの所為とはいえ随分長めの休憩を取ってしまいましたので、少しだけペースを上げようと思いますが大丈夫でしょうか?」
「貴様は自分の心配だけをしておればよい」
「それも、そうですね。
先ほど私めが先にバテてしまいましたし」
照れくさそうに笑った後、メインはハーデスに声をかけて走り出した。
案の定、メインがバテた。
───そこまでの事をハーデスが振り返っていると漸く、落ち着いたのかメインがゆっくりと起き上がった。
明らかに無理をしているのがハーデスは一目で分かったが、それを口にする事はなかった。
というより必要がないだろう。
「カルラ村で少し休んでいきましょう!」
気迫迫るその言葉にとりあえずハーデスは頷く事にした。
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